1956年、26歳の若さで引退を発表し、モナコ公国のレーニエ3世と結婚、その後、82年に52歳の若さで亡くなった美貌の銀幕スター、グレース・ケリーさんにニコール・キッドマンさんが扮(ふん)した話題作「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」(オリヴィエ・ダアン監督)が、18日から全国で公開される。公妃になってからの彼女の苦悩と、存続の危機に瀕したモナコを守るために、一世一代の大芝居を打つ姿を描いている。
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レーニエ公との結婚から6年がたとうとしているが、いまだにモナコ宮殿のしきたりになじめずにいたグレース(キッドマンさん)は、ヒッチコック(ロジャー・アシュトングリフィスさん)からハリウッド復帰の誘いを受ける。一方、レーニエ公(ティム・ロスさん)は、フランスのド・ゴール大統領(アンドレ・ペンブルンさん)と課税を巡って対立、モナコ公国存亡の危機に立たされていた。夫の窮地を知ったグレースは、自分にしかできない秘策でモナコを救おうと決意する……というストーリー。
ダアン監督は、「伝記映画を作ることに興味はなかった」「史実に基づいているとはいえ、これは歴史映画でもない」と言い切っているようだが、その言葉通り、今作はグレースの敵と味方が入り乱れ、スパイ疑惑が浮上したり、駆け引きがあったりなど、スパイ映画や政治ドラマ的な展開もあり、“女優グレース・ケリーの半生記”だけではくくれない内容になっている。グレースさんが生前、身に着けたドレスや宝石が忠実に再現され、ファッション面での見どころもある。偉大な女性を演じることに、おそらくキッドマンさんはプレッシャーを感じたことだろう。その重圧を跳ね飛ばし、凜(りん)としたたたずまいで、公妃として、母として、さらに女優としてのグレース・ケリーを演じたことは称賛に値する。ただ、やはりどうしてもキッドマンさんの個性が強過ぎて、グレース・ケリーのファンとしては、最後まで彼女がグレース・ケリーだと思い込むことに苦労した。TOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほかで18日から公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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