福山雅治さんが、2024年10月13日に長崎スタジアムシティ(長崎市)のこけら落としとして開催したフリーライブ「Great Freedom」を自身の手によって映画化した「FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM@NAGASAKI 月光 ずっとこの光につながっていたんだ」が57歳の誕生日となった2月6日から全国公開中だ。福山さんの脳内にある“理想のライブの音”“理想のライブの映像世界”を追求した、究極の“ライブを超えたライブ”とうたう本作。昨年デビュー35周年を迎え、音楽活動はもちろん、主演映画2本が公開されるなど、他の追随を許さない精力的な活動を続ける福山さん。その境地と原動力を探った。
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そもそも、映画となった故郷・長崎でのフリーライブ「Great Freedom(グレートフリーダム)」をなぜこのような形で開催しようと考えたのか。その根底には、福山さんが中学生だった頃、長崎から生中継された「ザ・ベストテンin長崎」(1983年)の記憶があったという。
「そのときの街の景色が、普段自分が見ている景色とはまるで違っていて、強く印象に残っています。思春期の頃は、理由もなく自分の街はつまらないと思っていたんですね。ところが『ザ・ベストテン』の生中継がやってくることで、一気に街が盛り上がり、熱量が高まった。エンターテインメントの力でこんなにも変わるんだ、と。その印象があって、街全体が大きく盛り上がる、熱くなる瞬間にしたいという思いが、このライブの出発点でした」
ライブには「Great Freedom(=大いなる自由)」というタイトルを冠した。
「僕自身、13歳の頃にギターと出会い、とても自由な感覚を覚えました。思春期特有の学校や家庭での閉塞感やいら立ちは、僕にもありました。でもロックミュージックやギターと出会い、音楽が心を解放してくれた。音楽の世界に没入することで、モヤモヤした感情や恋愛の甘酸っぱい思い、この街を出て遠くへ行ってみたいという冒険心など、さまざまな思いを解き放つことができた。それを“自由を感じた”と言っていいのかなと思っています」
また、故郷・長崎の“自由な感覚”も重ね合わせた。
「当時は長崎の魅力をまったく分かっていませんでした。改めてNHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)で坂本龍馬を演じさせていただくにあたり、龍馬さんを軸に長崎の歴史をさかのぼって知ることができました。そこには、江戸時代から近代日本へとつながる開国の歴史があり、自由という概念が西欧から日本に入ってきた場所が長崎だった。時代の変化を体現してきた街・長崎の歴史と、自分が思春期にロックやギターと出会って精神的に自由になっていったことを重ね合わせられたらいいなと。それがフリーライブ、そして今回のライブフィルムへとつながっていったんです」
1990年3月に歌手デビューした福山さん。35周年を迎えた昨年は、音楽活動に加え、主演映画2本(「ブラック・ショーマン」「映画ラストマン -FIRST LOVE-」)が公開。さらに、NHKの自然ドキュメンタリー番組「ホットスポット 最後の楽園」でガラパゴス諸島を訪れ、関連企画「大絶滅展」ではSPナビゲーターを務めるなど、“いつ寝ているのだろう”と思わせるほどの精力的な活動を続けた。その原動力は、どこにあるのか。
福山さんは「35周年だから、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと詰め込んでしまったんですよね」と笑う。
「入りきらずにあふれ出してしまったくらいで。正直、スケジュールをミスしました(笑)。でも一度きりの人生ですから、失敗も含めてフルでやりきるタイミングがあってもいいのかなと思っています。あくまで数字上の区切りですが、そんな時期に“死ぬほど忙しい”経験をさせてもらえること自体がラッキー。もう、やるしかない、という気持ちでした」
根底には「エンターテインメントが人にもたらす影響力を信じているのでは」と問いかけると……。
「エンターテインメントは“心のインフラ(基盤)”だと思っています。水や空気、住居、道などのインフラがなければ人は生きていけませんが、僕は心のインフラを担う仕事をしていると自負しています。自分にとっても、ファンの方にとっても、そして社会にとっても、必要な存在であり続けたい。その思いは強いですね」と力強く語った。
(取材・文:細田尚子/MANTAN)
福山雅治インタビュー後編
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