元さくら学院のメンバーで、現在はソロで活動している武藤彩未さんが27日、赤坂BLITZ(東京都港区)でライブ「OWARI WA HAJIMARI」を開催した。今年4月にアルバム「永遠と瞬間」でメジャーデビューして以降、多くのライブを経験したことで、武藤さん自身、「トライアルな1年だった」と振り返る。そんな2014年の集大成となるこの日は、2015年2月25日にソロ2枚目のアルバム「I−POP」をリリースすることと、19歳の誕生日である4月29日に渋谷公会堂(東京都渋谷区)でライブ「BIRTH」を開催することを発表した。1年の締めくくりに、うれしい報告と多くのチャレンジを行うとともに、文字通り「OWARI WA HAJIMARI」を体現したステージを披露した。
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ライブタイトルの「OWARI WA HAJIMARI」は、「今日が終わった瞬間から、新しい自分というものを形作っていきたい」という、前向きな思いを込めて付けられた。セットには無数の白い傘がスクリーン代わりに使われ、衣装も最初はポンチョ風だったものから、最終的にはレインボーカラーのカラフルなドレスに。徐々に雨が上がって虹がかかるといった、ライブタイトルにかけたストーリー性のある演出で楽しませた。楽曲は、往年のアイドルソングを彷彿(ほうふつ)とさせる「桜ロマンス」や、ピアノをメインにした静かなサウンドでしっとりと聴かせるバラードの「とうめいしょうじょ」、タオルを振って盛り上がった「RUN RUN RUN」など、生バンドの演奏をバックに、アルバム「永遠と瞬間」の収録曲を中心に披露した。
さらに、「今からさっそく新しいことをやりたい」と、初披露の新曲を歌ってファンを喜ばせた。その新曲は、四つ打ちのダンスビートで少し和テイストの「Doki Doki」、ファンタジー感あふれる「ミラクリエイション」、ピコピコのエレクトロサウンドで聴かせる「パラレルワールド」、そしてアッパーで爽快なロックナンバー「OWARI WA HAJIMARI」の4曲。これらは、2枚目のアルバム「I−POP」に収録される予定で、そのアルバムについて、「タイトルの“I”には、愛とかアイデンティティー、アイドルなど、いろんな意味を込めています。私も、とても気に入ってます!」と説明。今回披露した4曲を聴いただけでも、アルバムに対する自信がうかがえた。ファンも、初めて聴く曲にもかかわらずリズムに乗って盛り上がり、武藤さんに大声援を送った。新曲を披露するたび、「どうだった?」とファンに問いかけていた武藤さんも、盛り上がるファンの様子に手応えを感じたようで、うれしそうな表情を見せた。
中盤には現役高校3年生らしく、終わったばかりのテスト結果を報告。家庭科が91点、ライティング(英文法)が92点など、点数を発表するたびに「オオーッ!」と場内が歓声で沸いた。「でも、(LINEのゲーム)ツムツムがなかったら、もっといい点が取れたと思うんだよね。あれ、ついハマっちゃう(笑い)」。こんなフランクで飾らないキャラクターも武藤さんの魅力の一つだ。
ほかにも、いくつもの“新しいこと”が。一つは、金髪のショートボブのウィッグを披露。初めて見る武藤さんの金髪姿に、ファンは驚きつつも歓声を送った。もう一つは、予定になかったダブルアンコール。「今年の締めくくりの曲はこれだ」と、「女神のサジェスチョン」を歌い、終わりだと思っていたところに再び武藤さんが登場し、「覚えて帰ってほしいので、もう1回歌っていいですか?」と、2回目の「OWARI WA HAJIMARI」を熱唱した。そして興奮冷めやらずといった様子で、「これがライブだよね」と達成感いっぱいの表情を見せた。
またこの日は、武藤さんが19歳を迎える2015年4月29日に、渋谷公会堂でワンマンライブ「BIRTH」を行うことを発表。「実は……へへへ」とうれしそうに、若干じらしながら発表すると、場内には割れんばかりの拍手が巻き起こった。「19歳の記念に何か特別なことをしたいから」と、チケット代は19歳にちなんで1900円とのこと。「今はまだ満杯にできるか分かりません。なので、みなさんのお力をお貸しください。これから5カ月、渋公を目標に頑張ります」と武藤さん。「でも、自分自身そのときまでに、どんなふうに変わってるかな?」と、成長した姿でステージに立つその日が、今から楽しみといった様子だった。
開演前に行われた会見では、19歳になったらファッションショーにも出てみたいと話した。「さくら学院で同期だった、松井愛莉と三吉彩花が、今、モデルでも頑張っているので、ファッションショーで共演してみたい。そうしたら、もっと女の子のファンが増えるかな」といい、また現役のさくら学院とも歌番組などで共演してみたいと、十代最後の年を迎えるにあたって、さまざまな思いをめぐらせていた。
年末年始は、富士山の近くの旅館で、富士山から1年分のパワーを感じて過ごすとのこと。また、「そのうち年末も忙しくしていられるようになりたい」と、“大みそか恒例の歌番組”への意欲もにじませた。足を開き、大地を踏みしめるようにしてステージに立つ姿と、通る声でハキハキと自分の気持ちを飾ることなく語る様子が印象的な武藤さん。凜とした表情で「時間がかかっても、目標とする道へ一歩一歩進めるように頑張りたい」と話した。ソロデビュー時から「ソロアイドルの頂点を目指す」「十代のうちに武道館」という目標を掲げているが、それに向けて確実に歩を進めていることを実感させるライブだった。(取材・文:榑林史章)