ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第7回は、アニメファンでありながら、「2.5次元舞台」に出演した経験も持ち合わせる小新井さんがその魅力について語ります。
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二次元であるアニメやマンガやゲームを、三次元である舞台・ミュージカルにしたコンテンツを、その中間的な存在として「2.5次元舞台(ミュージカル)」といいます。
初期でいえば「セーラームーン」や「聖闘士星矢」、近年では「テニスの王子様」をはじめ「忍たま乱太郎」や「戦国BASARA」「弱虫ペダル」など本当に多様な作品の公演情報を目にすることも多いでしょう。
今回はそんな2.5次元舞台が「気になるけど観劇に踏み出せない。なかなか受け入れがたい」という人に少しでも興味を持っていただければと思い、原作ファンであると同時に出演もさせていただいた自分が実際に体験した2.5次元舞台への印象の変化を紹介します。
まず原作ファンの目線で言いますと、舞台化が発表された瞬間の反応は驚きと戸惑いがほとんどだと思います。正直な話、自分も最初はうれしいというより「なぜ?」という複雑な気持ちでそれらの情報を見ていました。
既に声優さんがいるキャラを別の人が演じる意味が分からないですし、何より原作ファンであるからこそ誰もが持つジレンマだと思うのですが、「作品をよく知らない人たちに好きなキャラや世界観を歪曲(わいきょく)されるかもしれない」という恐怖心から拒否反応が起きてしまうのです。
そんな、どちらかというと否定派であった自分の2.5次元舞台への印象を大きく変えた作品が舞台版「イナズマイレブン」でした。とにかく原作が好き過ぎて、二次元どころか超次元でしか表現し得ない世界観をどうやったら舞台化できるのかとおっかなびっくり観劇したのですが、予想外な技の演出やキャラの再現率にとにかく驚き、気づけば最後は「雷門イレブンが目の前にいる……」と感動の涙を流していました。
そして観劇後に友達と交わした「リアル(現実世界)に戻るのがつらい」という会話で自分たちがまさに今まで2.5次元の世界にいたことを実感したのです。
その後、ありがたいことに今のお仕事を始めてから「ペルソナ4」「らき☆すた」「DREAM C CLUB」の舞台化作品を経験させていただいたことで、関わる方々が原作のイメージを壊さずに舞台化することにどれだけ努力しているかを身をもって知ることになります。
確かに舞台の出演が決まるまで原作を見たことがなかったという役者もいましたが、忙しい稽古(けいこ)の合間に繰り返し原作をチェックし、声から性格から設定まで覚えてキャラを落とし込む姿は、モノマネなどではなくむしろ“憑依(ひょうい)”と呼べるほどのものでしたし、そうするうちに湧いてくるキャラへの愛着も含め作品への敬意を感じました。
それらは決して共演者としてのひいき目ではありませんし、だからこそ余計に以前の自分のように舞台化へ拒否反応を起こしてしまっている原作ファンの方々にも観劇してほしいと強く思うようになったのです。
自分もアニメが好きだからこそ舞台化を初めて聞いた瞬間の複雑な気持ちもすごく分かります。
しかし同時に、画面の向こうにしかいないはずの好きなキャラが目の前に体現される感動や、同じ空間で作品の世界を体感できるのは二次元だけでは味わえない、2.5次元舞台ならではの原作作品の楽しみ方だと思うのです。
今年もゲームでは「戦国無双」の舞台化が発表され、アニメも放送中の「神様はじめました」がミュージカル化されるなど観劇のチャンスはたくさんあります。
見た後での批判やご意見ならば、役者や製作側はむしろ真摯(しんし)に受け止めたいと思ってますので、まずは劇場に足を運んでぜひその世界を体感してみていただければと思う次第です!
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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