劇団EXILE・町田啓太:「スキマスキ」で映画初主演 「スキがある女性のほうが魅力的」

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 劇団EXILEの町田啓太さんの初主演映画「スキマスキ」(吉田浩太監督)が7日に公開された。「スキマスキ」は、2001~03年に「ビッグコミックスピリッツ増刊IKKI」と「月刊IKKI」(ともに小学館)で連載された宇仁田ゆみさんの人気マンガが原作。物の隙間(すきま)をのぞくことが好きな男子大学生と、その男がのぞいている部屋に住む女性という一風変わった関係を描いている。“隙間フェチ”の主人公・ヘイサク役を演じる町田さんに、初主演の意気込みや役作りについて聞いた。

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 ◇「花子とアン」の経験が糧に

 今作が映画初主演となる町田さんは、「映画の主演をやらせていただける喜びと、『スキマスキ』という題材の面白さにすごく楽しみという感情が同時に芽ばえた」とオファーを受けた時の気持ちを振り返る。日ごろから仕事に全力で臨んでいるが、主演ということで「その責任というか重みがだいぶ違ったというのは正直ありました」と告白。「主演だから何かをするという大それたことは、僕にはまだ全然できない」と謙遜し、「一生懸命やって、いい作品ができるように、しっかりとやらせていただくだけでした」と力を込める。

 町田さんは14年に放送されたNHK連続テレビ小説「花子とアン」に花子の夫の弟役で出演し、注目を集めたが、今作ではその時の好青年ぶりからは想像できない役柄を演じている。「『花子とアン』はあの世界観の中であの役をやっていたのですが、今回は全然違う作品」と強調し、「そもそも時代も違います」と笑いを誘う。そして、「『花子とアン』で学ばせていただいたものを(今作の撮影に)持ち込み、学んだことを生かしながらやらせていただきました」と振り返る。

 ◇自分なりのバカさを掘り下げて役作り

 役作りは、作品の世界観を踏まえたうえで、自分の中に役柄と似たような部分を探しつつ作っていくという町田さん。何かを参考にしたりすることはあるかと聞くと、「役のために参考とかではなくて、普段からいろいろなものを見たり、いろんな方とお話をさせていただいたりして、そこで感情や知識とか新しい刺激を受ける」といい、「そういう場での『ああいうことあったな』というもので(役を)作っていければいいのかなと、現在は思っています」と持論を展開する。今作の恋愛要素の部分に関しても、「(ヘイサクは)これはこれでピュアな青年なので何も気にせず素直にストレートに行動する。自分も小学生や中学生の頃はそういった行動をしていたと思うので、そういうところを思い出したり投影して、今回やっていた部分が多かった」という。

 町田さんが演じている主人公のヘイサクは、隙間に猛烈な愛着を感じてしまうという人物。「大学生だけど、ピュアでちょっと3歳児ぐらいの感情というか、本当にちょっとおバカな青年、というよりも少年かな」とキャラクター像を語り、「原作の世界観もすごくすてきなので(原作の)ヘイサク(のよさ)も大事にしながらも、今回は僕なりのバカさがどこかしらにあると思い、そこを掘り下げていくように僕なりのヘイサクを作らせていただこうと思った」と話す。そして、「ヘイサクと僕が重なっているように感じてもらえたらうれしい」と自信をのぞかせる。

 ヘイサクを演じていて「部屋で自問自答したりとか『バカヤロー』とか声を上げたりとかがちょっとバカっぽいと思えたりしますが、そこは僕もちょっとあるなと思っていた」と共感する。「家で風呂に入っている時など、いろいろその日のことが思い出されてきて、『ああ、ちょっと違ったな』とか知らぬ間に口に出していたりする」と言って笑い、「そういうことあるなとすごく共感できたし、そこが入り口になっていろいろヒントになった部分が多かったかもしれない」と役作りの手助けとなったことを明かす。

 ちなみに、真面目な役と今回のようなコメディー要素も入った役を比べ、「体育会系で育ってきているので、いわゆる真面目といわれる人物のほうが、今はまだ演じやすいかもしれない」と感じているという。ヘイサクのような役については「コメディーやヤンキーだったりとか(自身と)全然違うふうになると、今度は自分にもともとあまりないものを探したりとかするので、そこは逆に楽しいと思います」と新たな挑戦にも意欲を見せる。

 ◇ラブシーンの反応が楽しみ

 ヒロイン・文緒を演じる女優の佐々木心音さんの印象を「お話しさせていただいたらすごくフラットで皆さんに対してすごく丁寧に接する方」と評し、「現場でも雰囲気をすごくよくしていただきました」と感謝する。佐々木さんが演じる文緒について、「文緒ちゃんはスキがすごくある」と切り出し、「全部を閉ざしている女性よりもスキがある女性のほうが魅力的に感じる部分も多いのかなとも思う」と魅力を分析。「ピシッとされている方もすごくすてきだと思う」とも感じるというが、「スキがあるということにやっぱりフレンドリーさも覚える」という。そして「佐々木さんも信念というか芯をすごく持っていてフレンドリーな方なので、文緒ちゃんと佐々木さんがいい感じでリンクするところがたくさんあった」と評しる。

 そんな文緒とヘイサクは衝撃的すぎる出会いをするが、「本当によく見かけていた人が突然現れたりということがあると、運命なのかなと感じてしまう部分はあるのでは」と推測。「例えば、よく行く飲食店の人が実は同じ学校の生徒だったりとか、友達の友達だったりみたいな考え方でいくと、本当に変わった形ですけど(笑い)、ありなのかなと」と笑顔を見せる。

 映画ではヘイサクと文緒のリアルに描かれたラブシーンも登場。「ラブシーンはすごい衝撃的で、僕もすごくドキドキしながらやらせていただいた」と告白し、「僕がこういう役をやるというのもびっくりされる方もいらっしゃると思う」とファンを気遣う。公開された時の反応が気になるが、「どうなんでしょうね(笑い)」と苦笑する町田さんは、「そういうところも逆に反応を見てみたい」と目を輝かすも、「今までにない役柄で今までにないような結構大胆なこともやらせていただいているので、(観ている人が)楽しんでいただければ一番いいのかなと」とメッセージを送る。

 ◇意外なフェチぶりを告白

 今作には劇団EXILEのメンバー・八木将康さんがヘイサクの友人・マサジ役で出演している。「普段から仲よくさせていただいていて、助けていただきました」と八木さんに感謝し、「ヘイサクとマサジが友人という設定なのでそのままというか、すごく友人感を出してくださった」と日ごろの関係性が役立ったと町田さん。しかし、ほかの劇団メンバーの反応を想像して、町田さんは「何も言わずにニタニタされると思います」と笑った。

 ヘイサクは隙間フェチだが、自身にフェチのようなものはあるかと聞くと、「フェチかどうか分かりませんが、においに敏感で好きなにおいとかがある」と町田さん。「洗濯した洗剤のにおいとかいろいろありますが、一番好きだったのは子どもの頃によくかいでいた掃除機から出るにおい」といい、「掃除機が結構古いものだと排気をバーッと出していて、あのにおいがすごい好きでした」と笑いながら告白する。「親にはすごい止められていた記憶があるけど、ちょっとこんがりしたあのにおいが好き」と当時の記憶をよみがえらせる。

 今作を「自分は自分らしくあればいいというメッセージが込められている」と評し、見どころを「今までにないようなことにいろいろ挑戦させていただいている作品で、笑ったり楽しんだりしていただける要素がたくさんちりばめられている」と紹介。そして、「笑って楽しんでいただいて、見てくださった方の活力になれるような作品であればいいなと思います」とメッセージを送った。映画はシネマート六本木(東京都港区)ほかで公開中。

 <プロフィル>

 まちだ・けいた 1990年7月4日生まれ、群馬県出身。 2010年8月に行われた「第3回劇団EXILEオーディション」に合格し、同年12月に「ろくでなしBLUES」で舞台デビュー。主演舞台「SADAKO−誕生悲話−」のほか、連続ドラマ「ペテロの葬列」(TBS系)、NHK連続テレビ小説「花子とアン」、「ほんとうにあった怖い話」(フジテレビ系)など話題作に数多く出演。4月からはNHKドラマ「美女と男子」に芸能マネジャー役での出演が決まっている。初主演映画「スキマスキ」が7日に公開された。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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