注目映画紹介:「花とアリス殺人事件」 岩井俊二が長編アニメ初監督 花とアリスの出会いを描く

「花とアリス殺人事件」のワンシーン (C)花とアリス殺人事件製作委員会
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「花とアリス殺人事件」のワンシーン (C)花とアリス殺人事件製作委員会

 「スワロウテイル」(1996年)や「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)などで知られる岩井俊二監督が初めて手掛けた劇場版長編アニメ「花とアリス殺人事件」が20日に公開される。岩井監督が原作・脚本・監督を手がけた実写映画「花とアリス」(04年)の前日譚(たん)で、花とアリスの出会いが描かれる。実写版でダブルヒロインを演じた女優の鈴木杏さんと蒼井優さんが、アニメ版でも再び同じ役の声を担当するのに加え、岩井監督が脚本・音楽も自ら手がけたことでも話題を集めている。

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 石ノ森学園中学校に転校してきた中学3年生のアリスこと有栖川徹子(声・蒼井さん)は、1年前に3年1組で起こった「ユダが、4人のユダに殺された」といううわさを耳にする。さらに、アリスの隣の家が“花屋敷”と呼ばれ、近隣の中学生に怖がられていることも知る。花屋敷に住む花という人物ならユダについて詳しく知っているはずだと聞いたアリスは、花屋敷に侵入し、そこで引きこもりのクラスメート・荒井花(声・鈴木さん)と出会う……というストーリー。

 「花とアリス」はこれまで何回か製作されており、岩井監督にとって思い入れが強い作品だということは容易に想像できるが、監督の最新作が同作の長編アニメというのには正直驚いた。しかも岩井監督が長編アニメ初挑戦であるのに加え、当時と同キャストの鈴木さんと蒼井さんが花とアリスの声を担当していることにもさらに驚かされた。同作ファンにはたまらない花とアリスの独特な掛け合いも健在。今作はタイトルに「殺人事件」とあるようにミステリーの雰囲気をまといながらも、実は恋愛や友情といったテーマを内包した青春ドラマに仕上がっている。映像だけでなく音楽からもみずみずしさを感じさせ、ストーリーを軽やかに演出している。劇場版アニメでありながら岩井監督らしさも随所に見られ実写映画のファンも楽しめる。20日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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