三池崇史監督がメガホンをとった市原隼人さん主演の映画「極道大戦争」が、5月にフランスで開催される「第68回カンヌ国際映画祭」の監督週間に出品されることが明らかになった。三池監督の作品が監督週間に出品されるのは、2003年の同映画祭で「極道恐怖大劇場 牛頭」がVシネマとして初めて出品されて以来12年ぶりとなる。20日、東京都内でのイベント後に緊急会見を開いた三池監督は「さっき聞いたんですが、さすがカンヌだなと思いながらも、カンヌ大丈夫か(とも思った)」と笑顔で喜びを明かした。
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カンヌ国際映画祭の監督週間は、フランス映画監督協会の主催で、1969年に創設。新しい才能や新人を発掘する一方で、巨匠監督などの独創的な作品を上映し、その監督の異なる側面に焦点を当てるのもこの部門の特徴となっており、最近の日本映画では、園子温監督の「恋の罪」や高畑勲監督の劇場版アニメ「かぐや姫の物語」などが出品されている。
三池監督は、監督週間に作品が選ばれたことに「ちょっと居心地がいいです。あんまり肩肘張らないエンターテインメントとして、カンヌのお客さんが盛り上がってくれるといいな」と語る一方、「世界中に何千本とある中から、あえてこれを特別招待して、というのは敬意を込めて、いい度胸してんな」と笑った。選ばれた「極道大戦争」については、「(仏映画監督協会の)彼らが見るべき、楽しむべき価値があると判断した」と胸を張ったが、「ただ、選んだのはそちらだから、俺には責任はありません。見た人がどう思うか、そういった意味でカンヌ大丈夫か、と思った」と、一抹の不安があることも明かした。
12年ぶりの監督週間への出品については「もう(監督業の)終わりが近いのかな……」と弱音をはいて報道陣を笑わせたが、「12年前の自分が作った作品と同じ熱を感じて、またそこ(監督週間)に戻れるのが、すごくうれしいです!」と喜びをにじませた。12年前にカンヌに出品した際は「一般の人がネットでチケットを買えて、熱狂的な映画ファンが楽しむために集まってくる。楽しもうとしている人たちと一緒に自分の映画を見るのはぜいたく」と振り返り、「観客が最後に自分の映画の色をつけていく、その場を体感できるといいな。ダメなときは途中でお客さんが帰っちゃって、ひどい目に遭うんだけれど、この作品ならどうなってもいいや。好きにしなさい!」と宣言し、笑いを誘っていた。
また主演の市原さんは「三池監督の現場は、毎日が輝き新鮮で職人という言葉が似合う風が吹いていました。撮影中現場に行く事が毎日本当に楽しみでした。今回フランスのカンヌで上映されるということで、多くの皆様にこの作品を可愛がっていただけることを願っております」とコメントしている。
この日のイベントは、「三池崇史presents 大人だけの空間」と題して、三池監督がプレゼンターを務め、豪華ゲストとともに、お酒を片手に台本のないトークを繰り広げる試写会で、今回で15回目。イベントでは「極道大戦争」が上映され、主演の市原さんも登場した。「極道大戦争」は、伝説のヤクザがバンパイアだったという設定で、ヤクザバンパイアにかみつかれた人間は、次々とヤクザ化してしまう……という異色のアクション作。6月20日に全国公開予定。
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