SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
京都アニメーション制作のテレビアニメ「境界の彼方」を2部構成で劇場版アニメにした「劇場版 境界の彼方 I’LL BE HERE」の後編にあたる「未来篇」が公開された。原作は鳥居なごむさんのライトノベル。3月14日に公開された前編「過去篇」は、2013年に放送されたテレビシリーズをヒロイン・栗山未来の視点で再構成。後編の「未来篇」は完全新作で、主人公の神原秋人と未来の心の動きが鮮明に描かれている。石立太一監督に劇場版になった背景や「未来篇」の見どころなどを聞いた。
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テレビアニメ「境界の彼方」は、体内に最凶の妖夢「境界の彼方」を宿した不死身の少年・神原秋人と、その「境界の彼方」を倒すことができる呪われた血の一族の少女・栗山未来が出会い、妖夢たちと戦いながらお互いに引かれ合っていくダークファンタジーだ。テレビシリーズでは、秋人と未来は「境界の彼方」との戦いを経て、再び穏やかな日常に戻っていく……というシーンで終わる。大団円のラストで、最終回終了直後は石立監督も「劇場版アニメ化はまったく予定になかった」と語る。
だが、テレビシリーズ制作中はワンクールで終える難しさも感じていた。ファンタジーな世界観がバックボーンにある同作は、設定などの説明に時間を割く必要があり、ワンクールで消化するのはハードな作業でもあった。それでも、完結時は完全燃焼した実感もあり、「自分的には完全に燃え尽きたんです。できることはやったかな、と思った」と手応えを感じていたが、終了後、社内では「違う目線でも提供できる素材なのでは」という声が上がった。自身でも「メインの2人の心のやり取りみたいなものを、あまり結果論として描いてなかったかな」という思いもあり、劇場版に踏み切った。
石立監督が作品全体に通底するテーマとして描きたかったのは“つなぐ愛”。石立監督は「(親から)受けた愛があり、違う誰かと愛をつむいで、またそれを自分の子供たちに伝える。そうやって人は自分という存在をつなぎとめているような……。多くの人は、自分を大切に思ってくれる人がいるから生きていける、大切に思う人がいるから生きていけるものだと思う」と語る。「未来篇」では、最凶の妖夢を宿した半妖の神原秋人と、“呪われた血の一族”の生き残りの栗山未来という、「世界から受け入れられていない2人」の心の動きを通してこうしたテーマが描かれる。
テレビシリーズを再構成した「過去篇」は、栗山未来は戦いの代償のためか記憶を失っていた……というシーンで終わる。「未来篇」はその1年後が舞台で、記憶を失いつつも秋人に引かれていく未来と、未来とは距離を置こうとしつつも関わりを持ってしまう秋人の心の動きが描かれている。石立監督は、「未来篇」を制作するにあたって「(テレビシリーズより)分かりやすく、伝えやすく(描いた)。キャラクターたちの心情が、(“つなぐ愛”という)テーマにつながっていく」と語る。
凝縮したエピソードや張り巡らせた伏線、複雑な設定が特徴的だったテレビシリーズだが、石立監督は「分かりづらさは意図して狙っていた。予定調和を崩してやろうと。予定調和で『前回こうだったから次はこう』というのはイヤだった」と明かす。劇場版ではそうした複雑さは影を潜めており、「時系列を整理して、分かりやすく素直に(ストーリーを)つなぐ形で作った」という。普遍的で地域・時代を問わず語られている大きなテーマなので、「素直に分かりやすく描くことに不安もあった」が、完成した今は「素直につないで良かったと思っています」と笑顔で振り返る。
「未来篇」でも、テレビシリーズでおなじみのヒロインの「不愉快です」という口癖は健在だ。石立監督は「(『不愉快です』は)栗山未来のいろんな気持ちを表す言葉。彼女らしさにつながっている」といい、テレビシリーズからのファンにはうれしいポイントだろう。また、石立監督によると、「未来篇」のラストはハッピーエンドの予定という。テレビシリーズでは、ヒロインは“呪われた血の一族”という境遇ゆえに不幸を背負う展開だったが、「最後はハッピーエンドなんで、頑張って見てください。どん底まで落ちてもらって、幸せになってもらおうと」と笑う。監督自らも未来はお気に入りのキャラクターといい、「この子に幸せになってもらえなければうそだろう、と。宿命や生い立ちを取っ払って、十代の男の子、女の子の気持ちを『未来篇』には盛り込んでいるので、最後まで見ていただけると『良かったね』と感じると思う」と語った。
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