注目映画紹介:「台風のノルダ」元ジブリ新井陽次郎の劇場アニメ監督デビュー作 少年らの友情物語

映画「台風のノルダ」のワンシーン (C)2015 映画「台風のノルダ」製作委員会
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映画「台風のノルダ」のワンシーン (C)2015 映画「台風のノルダ」製作委員会

 スタジオジブリで「借りぐらしのアリエッティ」などのアニメーターを務めた新井陽次郎さんの劇場版アニメ監督デビュー作「台風のノルダ」が5日に公開された。「陽なたのアオシグレ」(2013年)で知られるスタジオコロリドの2年ぶりの新作で、「フミコの告白」「陽なたのアオシグレ」の石田祐康さんがキャラクターデザインと作画監督を担当した。離島の中学校を舞台に、少年たちの友情が描かれる。俳優の野村周平さんが主人公の少年・東シュウイチ役で、劇場版アニメの声優に初挑戦していることも話題だ。

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 とある離島の中学校では、観測史上最大級の台風が近づいている中、翌日に控えた文化祭の準備が進められていた。東(声・野村さん)は幼い頃から続けていた野球をやめたことがきっかけで、親友の西条(声・金子大地さん)とケンカ。そんなとき、東は突然現れた赤い目をした不思議な少女ノルダ(声・清原果那さん)と出会い……というストーリー。
 子供の頃、台風が来るとなると大人たちが慌ただしくしていても、なぜかワクワクするような感覚になるなど、大人たちと違った感じ方をしていたという人も多いだろう。今作の映像はそういった感覚を思い出させ、どこかノスタルジックな風景の描写と合わせて味わい深い。台風の話にピンとこなくとも、親友とのケンカや文化祭前夜の独特な雰囲気といった親近感が湧くシチュエーションが用意され、そこで不思議な少女に出会うという世界観に入り込みやすい。日常の中に潜むファンタジーのバランスが絶妙で、短編ながらも多彩な要素が絡み合っていて見応えは十分。中でも物語の軸となる少年2人の友情からは、言葉にすることや素直に話し合うことの大切さを痛感させられる。石田さんが監督が務めた「陽なたのアオシグレ」は同時上映。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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