注目映画紹介:「予告犯」「予告犯」生田斗真がダークヒーローを好演 ネット時代のリアルを描き出す

映画「予告犯」のワンシーン (C)2015映画「予告犯」製作委員会 (C)筒井哲也/集英社
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映画「予告犯」のワンシーン (C)2015映画「予告犯」製作委員会 (C)筒井哲也/集英社

 俳優の生田斗真さん主演の映画「予告犯」(中村義洋監督)が6日に公開される。2011~13年にマンガ誌「ジャンプ改」(集英社)で連載されていた筒井哲也さんのマンガが原作で、警察や法律では罰せられない人間たちの罪を暴き、制裁の予告動画を投稿しては実行していく、新聞紙を頭にかぶった謎の予告犯「シンブンシ」と、事件を追う警視庁のエリート捜査官とのスリリングな攻防が繰り広げられる。謎の男・シンブンシを生田さんが好演し、それを追う刑事役を戸田恵梨香さんが熱演。ほかに鈴木亮平さん、濱田岳さん、荒川良々さんら実力派キャストが物語を盛り上げる。

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 ある日、動画サイトに新聞紙製のずきんをかぶったTシャツ姿の男(生田さん)が現れ、集団食中毒を起こしながら法律の不備を指摘し開き直った食品加工会社への制裁を予告する。警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官である吉野絵里香(戸田さん)らが謎の予告犯・シンブンシの捜査に乗り出すが、予告された通り、食品加工会社の工場が放火され事件が起きてしまう。その後も予告と制裁がくり返されていく中、ついには政治家の殺害を予告する動画まで投稿され……というストーリー。

 ネット犯罪という言葉が一般的になった今、今作の内容には圧倒的なリアリティーが伴う。原作のテイストである少し暗めの雰囲気やスピード感は失われず、むしろ画面から発せられるスリル感などは、スクリーンと相性がよく、原作の面白さをより際立たせている。サスペンスや頭脳戦、友情や社会問題、そして泣いたり、笑ったりというエモーショナルな要素がバランスよく配分され、見る人を選ばない。生田さん演じるシンブンシの存在感は、ダークヒーローならではのオーラが漂い、鈴木さんや荒川さんの演技はダークな空気感の中で一服の清涼剤として利いている。「誰かのためであれば小さなことでも人は動く」といったせりふがあるが、まさに今作の要ともいえる言葉だ。そして、生田さん演じるシンブンシと戸田さん演じる吉野の対照的な生き方に対し、どちらにより共感できるかで作品への見方が変わるだろう。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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