ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、中世を舞台に、恩人を殺した修道院への復讐(ふくしゅう)をたくらむ少女の物語を描いた竹良実さんの「辺獄のシュヴェスタ」です。小学館「ビッグコミックスピリッツ」編集部の山内菜緒子さんに作品の魅力を聞きました。
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--作品が生まれたきっかけは?
作者の竹良実さんは、スピリッツ新人賞の最高賞を受賞した投稿作「地の底の天上」で中世後期ヨーロッパの彫金師の男女を描かれました。16世紀ドイツ修道院での復讐劇を描く本作も設定として近しいですが、ご本人は元々ヨーロッパ史に造詣が深かったわけではありません。「自分と闘い、逆境に負けない強い人間を描く」ために、この舞台を選ばれたそうです。16世紀は印刷技術が発達し、それまで特権階級しか手に入れられなかった書物から一般市民も知識を得られるようになった。その「時代の変化」を描くことも魅力となったそうです。
連載開始前、「いま、このマンガを描く意味」に関してじっくり考えていただきました。読者の方々の身近にもたくさんの逆境があり、その中で毎日を積み重ねることは現代も16世紀も変わりません。竹良さんの「読者の方々がキャラクターと自分とを重ね、強気になれるマンガにしたい」という思いから、エラという主人公の少女が生まれました。
--編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
今まで大変だった記憶はありません。しいて言えば連載開始前にドイツの教会や修道院の取材に行ったのですが、早朝から資料写真を撮っていたら即座にカメラのバッテリーがなくなり、ふたりで困り果てたことぐらいです。寒冷地ではバッテリーの消費量が格段に増えるそう。次は予備バッテリーを持っていこうと2人で誓いました。マンガ家の皆さま、取材時にはお気をつけください!(笑い)
担当としてうれしかったことは……、本作の連載開始時に「地の底の天上」をウェブ公開したのですが、アクセスが集中し過ぎてサーバーがダウンしてしまいました。その時に「すごい反響でうれしい」と竹良さんにお伝えしたら、「今回のネームを山内さんが面白いと言ってくれたことのほうが私はうれしいです」と竹良さんがおっしゃったことですね。非常に冷静な方なんです。前しか見ていない。作家と作品は表裏一体だと思いますが、エラを決して屈しないキャラクターにしたいという竹良さんこそ不屈の精神を持っていると私は思います。
主人公のエラが収容されている女子修道院。少女たちを使って成し遂げようとする総長の策謀がついに明らかになってきます。エラはその現実とどのように対峙(たいじ)するのか、ご期待ください!
本作は、竹良さんのデビュー作にして初連載作となるのですが、ありがたいことに荒川弘先生、伊藤悠先生、ゆうきまさみ先生、幸村誠先生という超実力派の先生から熱いご推薦メッセージを頂戴しました。ほか、数々のマンガ家の先生方からもご注目いただいています。第2巻が発売となったばかり。まだまだ追いつけますので、ぜひお読みいただけたら幸いです!
ビッグコミックスピリッツ編集部 山内菜緒子
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