テレビ質問状:「託されたアリラン~音楽家・梁邦彦 その旋律は世界に響く~」 国境を越える音楽の力

「ノンフィクションW 託されたアリラン~音楽家・梁邦彦 その旋律は世界に響く~」での梁邦彦さん
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「ノンフィクションW 託されたアリラン~音楽家・梁邦彦 その旋律は世界に響く~」での梁邦彦さん

 WOWOWは毎週土曜に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。12月12日午後1時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW 託されたアリラン~音楽家・梁邦彦 その旋律は世界に響く~」の番組プロデューサーを務めるWOWOW制作部の曽山睦子さんに、番組の魅力を聞いた。

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 --番組の概要と魅力は?

 日韓国交正常化50周年を迎えた今年、在日コリアン2世の音楽家・梁邦彦さんが、魂の歌「アリラン」を携え、アジアから欧州へと活動の場を広げています。日本と韓国での活動、ロンドンでのレコーディング、11月1日にパリ・ユネスコ本部で行われた設立70周年記念コンサートへの取り組みなど、世界を舞台に活躍する姿を通し、国境を越える「梁邦彦の音楽の力」を描き出していきます。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 日本で、ライブ活動やさまざまな映像音楽の制作などを行ってきた梁邦彦さんが、韓国でも活動を始め、ソウル最大のコンサートホール(3500席)をいっぱいにするまでの人気を博していることを知ったのは、今から12年前のことでした。そのコンサートの熱気は、インストゥルメンタル音楽とは思えないほどの盛り上がりで、この魅力あふれる音楽と彼の活動を、もっと日本でも知ってもらいたいと思いました。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 日本でも韓国でも、在日コリアンだから……という画一的な見方をされてしまうこともある中、それを払拭(ふっしょく)するだけの「梁邦彦の音楽の力」をいかに伝えるか……。音楽ジャンルも、国境も、国籍も、すべて超えていく、しなやかさとおおらかさを兼ね備えた姿から、一人のアーティストとして生きる梁邦彦の魅力を感じてもらえるようにと意識しました。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 うれしかったことは、長年抱えてきたこの企画がようやく実現に至ったこと。

 大変だったことは、長年追い続けた映像素材から、何を抜き出せばその魅力が伝わるかを考えなければならなかったこと。……とはいえ、次々と新たな取り組みをしていく梁邦彦さんなので、現在進行形の活動を見ていただくのが一番だという結論に至りました。

 --番組の見どころを教えてください。

 一人の音楽家の感性が、いかにして育まれてきたのか。その感性を生かして、どのように音楽と向き合い生きているのか。父親の意向で進んだ医学の道を断ち、音楽家として生きることを選ぶまでには多くの葛藤もありました。好きな道を選んだがゆえの人知れぬ覚悟、自分で人生を選択したからこそ、前を向いて歩き続けられるすがすがしさを感じてもらえればと思います。

 --視聴者へ一言お願いします。

 ここ数年、ギクシャクしたイメージをぬぐえない日本と韓国ですが、長年取材を続ける中で、そのような雰囲気すら感じることはありませんでした。梁邦彦さんの活動する舞台では日本人、韓国人、米国人、時に英国人、フランス人と、さまざまな国籍を有する人が、お互いの才能と存在価値を認め合いながら、音楽を作り上げています。そんな場面からも「音楽の持つ力」を感じていただければと思います。

 WOWOW 制作部 プロデューサー 曽山睦子

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