コミケ90:日本最大の同人誌即売会12日から開幕へ 古株記者が語る魅力

日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(写真は2015年夏の「コミックマーケット88」)
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日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(写真は2015年夏の「コミックマーケット88」)

 「コミケ」の愛称で親しまれている日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット90」が12日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する。コミケの歴史や今回のポイントについて、かつて売り子を務めた経験もあり、15年近く毎回全日程を取材してきた古株記者が解説する。

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 「コミケ」は、お盆時期と年末の年2回、それぞれ3日間にわたって開催される。メインは、1日で1万サークル以上が参加している一般ブースだ。マンガが注目されがちだが、音楽や自作のゲームソフト、マニアックで独自路線の批評本など多種多様なジャンルを扱っている。サークルは人気が上がるに従い位置取りが変化する。配置される場所から「角」「壁」「シャッター前」などと呼ばれ、列整理のしやすいシャッター前は有名なマンガ家やイラストレーターらが出展していることも多い。人気のサークルになると、開幕と当時に長蛇の列ができ、昼前には売り切れる。また各社の編集者がスカウトするべく回っており、コミケでスカウトされ、その後売れっ子になったマンガ家も少なくない。

 もう一つのメインは企業ブース。コミケは元々「同人誌の頒布」が目的だが、「プロやアマチュアの垣根を越えた表現を模索する」という狙いのもと、準備会や参加者の意見が割れる中で、1995年夏から導入され、96年冬から本格的にスタートした。出版社やアニメ会社、ゲームメーカーだけでなく、テレビ局やエンタメとは直接関係のない企業が出展するようになり、出展を希望しながら落選するケースも多い。会場では限定グッズ、先行販売グッズが出そろうため、それを目当てに来場者の列ができる人気スポットとなっている。

 今回は企業ブースの開催日が従来の3日間から2日間に変更された。場所もこれまでの4階の西3、4ホールから1階の西1、2ホールに変更される。理由は2020年に開催予定の東京五輪を見越した増強・改修工事で使えなくなる施設があるためだ。一見すると残念な決定のようだが、企業ブースの売り上げは「初日で6割」と言われるほど集中する傾向にあり、最終日は“店じまい”をするブースも散見されることから、今回の決定については出展企業からは歓迎する声も多い。企業ブースはしっかりと下調べをして、狙いを付けて回るのが得策だ。場合によっては発売前のゲームの体験版や資料などを限定配布するケースもある。

 そしてコスプレも「コミケの顔」になりつつある。広場を埋め尽くすほど多くのコスプレーヤーが参加し、ヒット作からマニアックな作品、果てはイロモノ路線までさまざまな趣向を凝らしている。全国から参加者が集まるコミケはコスプレイベントとしても最大級の規模を誇っているが、近年はコミケのコスプレエリアの混雑を避けるため、会場に隣接するコスプレ更衣室などを利用する人も増えており、分散化の傾向もあるようだ。見るだけで楽しいエリアなので足を運ぶ人も多いはず。ついお気に入りのキャラクターのコスプレーヤーがいると、列に並んでも写真を撮りたくなるが、多くのコスプレを見ようと思う人は、できるだけ写真を撮らずに回るのも一つの考えだろう。我々「まんたんウェブ」をはじめとした各メディアは毎回コスプレ特集コーナーを組むため、そちらで見るほうが効率的かも?

 コミケは見どころも多い半面、近年は企業ブースだけを見て終わらせる人も増えているという。しかしコミケに来た以上は、散策程度でもいいので一般ブースも見てみることをおすすめする。無名のブースでもあっと驚くような自作ゲームや批評本が置いていたりして、出展した人との会話が盛り上がったりするのは、毎回新鮮な体験だ。刺激に満ちていて、他人にコンテンツを見せたい、知識を共有したい人たち特有の熱気が感じられるはずだ。(河村成浩/MANTAN)

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