女優の松原智恵子さん(71)と俳優の津川雅彦さん(76)が夫婦役でダブル主演した映画「ゆずの葉ゆれて」(神園浩司監督)が20日から順次、公開される。老老介護や、死、遺族の思いなどがテーマで、松原さんが、畑仕事をしながら夫をみとる妻の役を演じた。芸歴55周年を迎えた松原さんに、同映画への思いと、変わらぬ美しさの秘訣(ひけつ)を聞いた。
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松原さんは1960年、高校在学中に日活主催のコンテストに入賞し、芸能界デビュー。翌年に映画でヒロインを演じて以降、“都会の清純派女優”として活躍し、吉永小百合さんらとともに人気を博した。現在、放送中の連続ドラマ「営業部長 吉良奈津子」(フジテレビ系、木曜午後10時)で主演の松嶋菜々子さん演じる奈津子の姑(しゅうとめ)を演じている。
いつまでも可愛らしく、美しい松原さん。その秘訣を聞くと、まず挙がったのが「姿勢」。「小さいときから、背筋を正すのが習慣。スッと見えます」といい、「人の姿勢が悪いと『ピンとしなさい』って注意することもあります」と笑顔で明かす。
また「化粧は、眠たくても必ず落としてから寝る」といい、落とし方も念入り。2回、化粧落としを使い、2回目はマッサージも行って風呂に入る。その後、洗顔料で洗うのが習慣だ。
「1回目は化粧落としでサッと落とす。2回目はクリーム状の化粧落としを使って、首の方までマッサージをします。その後、(マッサージをした)クリームを塗ったまま、お風呂に入るんです。体を洗ったり、頭を洗ったりしていると、自然にクリームが取れているので、洗顔料をたくさん泡立ててやさしく洗う。そこでお化粧落としが終わり」
たくさんの段取りに「寝るまでに時間がかかるんですよ」とちゃめっ気たっぷり。ほかに健康のために「時間がある限り歩くこと」「食事をバランスよく食べること」にも気を配っている。
また「嫌なことがあっても引きずらない性格。物事を前向きに考える方」といい、「せりふをいつまでも覚えていると、次のせりふが覚えられない感じ(と似ている)」と笑顔を見せていた。
映画は、鹿児島市が市制100周年を記念して設立した児童文学賞「椋鳩十(むく・はとじゅう)児童文学賞」を受賞した佐々木ひとみさんの「ぼくとあいつのラストラン」が原作。海と山に囲まれた鹿児島県の喜入地区にある小さな町が舞台で、老夫婦の絆と別れを、隣家の少年とのふれあいを通して描いた。
松原さんは「脚本を読んで感銘を受けました。人を思いやる心、人と人とのつながりの大切さが描かれている。ぜひやってみたい役でした」と話す。
演じるにあたり、「子供には死について学んでもらい、若い人たちには、年を取っていく親にどう接するかを考えてもらえれば。年を取った二人(夫婦)には相手のことを思いやりながら過ごす時間をもってもらいたい」という思いで臨んだ。
取材前日には、出生地の岐阜を訪れ、いとこやおい、めいらと楽しい時間を過ごしたといい、「岐阜に親戚がたくさんいるんです。(帰省すると)いとこがいくつになっても、足を運んでくれる」とにっこり。
「私もつながりを大切にしています。(親類ではなく)ご近所の人でもいいんです。つながりを大切にすることを心がければ、楽しく明るく生きていける。都会にも人と人とのつながりがある、そういう世の中に、変わってくれたら」と語った。
<プロフィル>
まつばら・ちえこ。1945年1月6日生まれ。名古屋市出身。60年に日活主催のコンテスト「ミス16歳コンテスト」に入賞し、芸能界デビュー。61年に映画「明日に向かって突っ走れ」(古川卓巳監督)でヒロイン役を務めた。日活の専属女優として人気を誇り、その後、テレビにも活躍の場を広げた。2012年の映画「トテチータ・チキチータ」(古勝敦監督)で第22回日本映画批評家大賞・助演女優賞を受賞。17年に出演作「僕らのごはんは明日で待ってる」(市井昌秀監督)が公開される。
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