先月、フランスで開催された第71回カンヌ国際映画祭で、最高賞であるパルムドールに輝いた「万引き家族」(是枝裕和監督)は、犯罪でしかつながれなかった、ある家族の物語。「そして父になる」(2013年)、「三度目の殺人」(17年)などの作品で知られる是枝監督がメガホンをとった。今作で、リリー・フランキーさん演じる柴田治の妻・信代を演じた安藤サクラさんと、信代の妹・亜紀を演じた松岡茉優さんに、初めての出演した是枝作品への思いや、「家族」から喚起されるもの、さらに多忙な2人の日々の健康法などを聞いた。
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安藤さんも松岡さんも、是枝監督との仕事は今回が初めてだ。是枝監督とたまたま街で出会ったことから信代役に起用されたという安藤さんは「セットの外とカメラの前とで、空間が変化しないというか、(撮影)現場で私たちが呼吸しやすい雰囲気やチームを作ってくださる」ところに、是枝監督の「すごさ」を感じたという。
かたや「是枝監督の作品にいつか出たいというのが、目標であり夢でした」という松岡さんは「今回、こういう機会をいただけてすごくうれしかったですし、何より、このメンバーで(作品に)出られたこと、皆さんとご一緒できたこと、一時でも“家族”になれたことが、とても幸せな体験でした」と語る。
「このメンバー」とは、安藤さん、フランキーさんに加え、治と信代の息子・祥太役の城桧吏(じょう・かいり)さん、祖母・初枝役の樹木希林さん、さらに、治がある夜、近所の団地のベランダで震えているのを見かねて連れ帰った少女・じゅり役の佐々木みゆちゃんだ。
「家族を超えた絆」を描く今作。では、何をもって「家族」というのか。松岡さんは、「私は子供もいませんし、結婚もしていませんから、家族というのはちょっとまだピンとこないんですけど」と断りつつ、自身、妹がいることから、「妹の存在は、最近すごく重く感じています。妹とは、これからとても長い間、おそらく両親よりも長く一緒にいるでしょうし、子供のときは、ずっと一人っ子に生まれたかったんですけど、彼女も大学生になって、いろんなことを人間として話し合えるようになったこともあって、妹がいるありがたみを、今、やっと感じています。誰よりも家族のことを一緒に話せるのは妹ですし、大事な存在です」としみじみ語る。
一方、昨年6月に俳優の柄本佑さんとの間に第1子が生まれた安藤さんは、「自分が育った家族」と「夫と、新たに生まれた子という自分の家族」、そして「夫が生まれて育った家族」の三つを挙げ、「自分の育ってきた家族は一番やっかいで、自分が選んだ家族、自分の現在の家族というのは、せっせせっせと今作っているんですよという感じで、自分の夫の家族というのは、案外、一番ほっとする家族だったりします。その三つの家族を経験していく中で、人と人との距離感は面白いなと思います」と家族にもいろんな形、いろんな印象があることを示唆する。
10月に放送がスタートするNHK連続テレビ小説「まんぷく」でヒロインを演じる安藤さん。かたや松岡さんも、昨年末に公開された初主演映画「勝手にふるえてろ」(17年)が高く評価され、また、今年に入ってからは「blank13」「ちはやふる-結び-」が封切られ、ドラマや舞台にも出演するなど引く手あまただ。
そんな多忙な2人に健康の秘訣(ひけつ)、日々心掛けていることを聞くと、「無理をしてでも水は飲んでいます」と答えたのは松岡さん。なんでも最近、「飲み過ぎなければいけないぐらい水を飲まなければいけないと気付いた」そうで、「このぐらいが私の一番欲しい量、それよりもうちょっと多めに、いつも飲むように」心掛けているという。
かたや安藤さんが挙げたのは、「なんでも笑うようにする」こと。すると松岡さんが、今回の撮影現場での安藤さんを思い出し、「あ、笑っていたかも」と証言。安藤さんは、「嫌なことがあっても、とりあえずいい方向に、いい方向に考えられる脳みそづくりに励んでいる」そうで、その言葉に松岡さんが「効果ありました?」とたずねると、安藤さんは、「考え方次第で自分の表情がまず変わるから、お化粧よりもがぜん(効果は)出ます」と答え、その言葉に松岡さんは「心の健康ですね」とうなずいていた。映画は8日から全国で公開中。
<安藤サクラさんのプロフィル>
あんどう・さくら 1986年2月18日生まれ、東京都出身。「風の外側」(2007年)で本格俳優デビュー。主な出演映画に「愛のむきだし」(09年)、「かぞくのくに」(12年)、「春を背負って」「0.5ミリ」「百円の恋」(いずれも14年)、「白河夜船」(15年)、「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」「DESTINY 鎌倉ものがたり」(共に17年)など。10月放送開始のNHK連続テレビ小説「まんぷく」ではヒロインを務める。
<松岡茉優さんのプロフィル>
まつおか・まゆ 1995年2月16日生まれ、東京都出身。2008年「おはスタ」でおはガールとして本格デビュー。主な出演ドラマにNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)、「コウノドリ」(15、17年)、NHK大河ドラマ「真田丸」「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」「水族館ガール」(いずれも16年)、映画は「猫なんかよんでもこない。」「ちはやふる」(ともに16年)、「勝手にふるえてろ」(17年)、「ちはやふる-結び-」(18年)など。
(取材・文・撮影・りんたいこ)
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