万引き家族:安藤サクラと松岡茉優に聞く(下) 久しぶりの共演で「ヘビににらまれたカエル」の気分

映画「万引き家族」に出演した安藤サクラさん(右)と松岡茉優さん
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映画「万引き家族」に出演した安藤サクラさん(右)と松岡茉優さん

 「そして父になる」(2013年)、「三度目の殺人」(17年)などの作品で知られる是枝裕和監督の最新作「万引き家族」で姉妹を演じた安藤サクラさんと松岡茉優さん。過去に共演している2人に、今回久しぶりの共演で互いに感じたことや、撮影現場での様子、また、休日の過ごし方や最近気になるファッションアイテムについて聞いた。

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 ◇残念ながらカットされた共演シーンで…

 映画は、生計を立てるために軽犯罪を重ねる5人家族の元に、ある日、親に見放された幼い少女がやって来ることで動き出す。近所で寒さに震えているのを見かねて、リリー・フランキーさん演じる柴田治がその少女じゅりを連れ帰ったのだ。じゅりの体に虐待の痕(あと)を見た、安藤さん演じる治の妻・信代は、じゅりを娘として育てることを決意。6人になった家族は絆を深めていくが、ある事件をきっかけにばらばらになってしまう……というストーリー。松岡さんは、信代の妹で、風俗店で働く亜紀を演じている。そのほか治の母・初枝役で樹木希林さん、治と信代の息子・祥太役で城桧吏(じょう・かいり)さん、じゅり役で佐々木みゆちゃんが出演。先月、開催された第71回カンヌ国際映画祭で、最高賞であるパルムドールに輝いた。

 安藤さんと松岡さんは、約10年前、「愛のむきだし」(09年)で共演している。久しぶりに再会した感想をたずねると、松岡さんは、残念ながら完成した映画には使われなかったが、安藤さん演じる信代ににらまれるシーンを挙げ、そのときの安藤さんの目が「ヘビみたいにすごく怖かったんです(笑い)」と明かし、当時は自分が「ヘビににらまれたカエル」の気分だったと振り返る。

 それを隣で聞いていた安藤さんは、そのときの松岡さんの顔が「すごくきれい」で、「全身からのエネルギーがすごく強く」感じられ、また、「毛穴から何かが出ている感じがすごく魅力的」だったとした上で、別の場面で松岡さんが、「すーっと出てきた(現れた)ときの肌の感じがとても美しくて」、自分の次の芝居を忘れるほど見とれたことを打ち明けた。

 ◇母・安藤の姿に松岡は…

 昨年6月に、夫・柄本佑さんとの間に女児を出産した安藤さん。自身、母となったことで、出産前とは、「(子役の)子供と接するときや、触って感じることは随分違う」という。そんな安藤さんを撮影現場で見ながら松岡さんは、「私もお母さんになってみたい」と思ったという。「やっぱり、お子さんが生まれた女優さんって、私の知らないものが見えていると思うんです。産まなかったら産まなかったで、また違うものが見えると思うので、それは人生に委ねるしかないのですけど、(安藤さんの)子供の抱き方や接し方を見て、それはすごく感じました」と語った。

 映画の中で安藤さんは、ゆったりめのサマードレスやワンピース、松岡さんは、ブラウスやパーカ、デニムのショートパンツといったカジュアルな衣装を身に着けているが、自身が最近心引かれるファッションアイテムを聞くと、安藤さんは「今年は細身のパンツをはこうかなと思っています」と答え、松岡さんは「透けて見えるところが女の子らしくて可愛いと思うので」と「透け感」のアイテムを挙げた。

 共に引く手あまたの2人。休日の過ごし方をたずねると、このインタビューの直前まで舞台公演が約1カ月続き、その間、休日でもあまり友達と会う機会を持てなかったという松岡さんは、舞台が終わり、しばらくぶりに友達とに会い、友達と過ごす時間は「すごくリラックスできる」と実感したという。一方、安藤さんは「なんてことのない日を、家族と過ごすことが一番のぜいたくです」とかみ締めるように語った。映画は8日から全国で公開中。

 <安藤サクラさんのプロフィル>

 あんどう・さくら 1986年2月18日生まれ、東京都出身。「風の外側」(2007年)で本格俳優デビュー。主な出演映画に「愛のむきだし」(09年)、「かぞくのくに」(12年)、「春を背負って」「0.5ミリ」「百円の恋」(いずれも14年)、「白河夜船」(15年)、「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」「DESTINY鎌倉ものがたり」(共に17年)など。10月放送開始のNHK連続テレビ小説「まんぷく」ではヒロインを務める。

 <松岡茉優さんのプロフィル>

 まつおか・まゆ 1995年2月16日生まれ、東京都出身。2008年「おはスタ」でおはガールとして本格デビュー。主な出演ドラマにNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)、「コウノドリ」(15、17年)、NHK大河ドラマ「真田丸」「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」「水族館ガール」(いずれも16年)、映画は「猫なんかよんでもこない。」「ちはやふる」(ともに16年)、「勝手にふるえてろ」(17年)、「ちはやふる-結び-」(18年)など。

 (取材・文・撮影・りんたいこ)

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