主演映画「ハルカの陶」(末次成人監督)が現在、公開中の女優の奈緒さん。今年はBS放送「BS12 トゥエルビ」で4月期に放送された連続ドラマ「のの湯」でも主演を務めた。さらに俳優の田中圭さん、女優の原田知世さんがダブル主演した連続ドラマ「あなたの番です(あな番)」(日本テレビ系、4~9月放送)で演じた、“最恐手作り女子”尾野幹葉(尾野ちゃん)のインパクトに勝るものはないだろう。2019年のドラマ界を代表する“ナンバーワン助演女優”として大いに輝きを放った奈緒さんの魅力に迫る。
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奈緒さんは1995年2月10日生まれ、福岡県出身の24歳。その名前が全国区となったのが「あな番」のちょうど1年前に放送されていたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」。同作では永野芽郁さん扮(ふん)するヒロイン・鈴愛(すずめ)の幼なじみ・菜生(菜生ちゃん)を演じた。
“菜生ちゃん”は、ポニーテールとリボンがトレードマークの心優しい女の子。当時、倉科カナさんや池脇千鶴さん、貫地谷しほりさんといった過去の朝ドラヒロインに「似ている」という声もあったが、その1年後に“菜生ちゃん”とは正反対の“尾野ちゃん”として、更なるブレークを果たすとは誰が予想できただろうか?
「あな番」では“尾野ちゃん”の張り付いたような笑顔や焦点の合わない目、どこかズレた言動、「ウエハース」「雷おこし」「プロテイン」といった謎めいた手作りアイテム、さらに黒島(西野七瀬さん)に緑の液体のようなものを吹きかけた“毒霧噴射”といった奇行に、視聴者は震え上がった。
毎週、連続殺人事件の犯人(黒幕)捜しをはじめ、数々の考察でSNSは沸いたが、怪しさ全開の“尾野ちゃん”としてミスリードを誘うだけ誘っておいて、実は事件とは無関係だったというオチ(?)に、視聴者はがっかりするどころか、「尾野ちゃん、ただのヤバイ人で最高」などといった声が上がったのは、それだけ奈緒さんによるキャラクター造形が見事だったからだろう。
奈緒さんは、連続ドラマ「高校教師」(TBS系、1993年)などで知られる脚本家の野島伸司さんが総合監修を務める俳優養成スクール時代に特待生だったといい、以前から演技力には定評があった。今年は映画化もされた舞台「散歩する侵略者」などで知られる演出家の前川知大さんの新作「終わりのない」にも起用され、初舞台を踏むなど、活躍の場を着々と広げている印象だ。
同舞台に出演するにあたり話を聞いたところ、「何かを初めてするのがとても好き」と明かした奈緒さん。演じることについても「楽しいですね。変わらずに楽しくて。毎回出会う役も違うので、そういった意味でも新鮮でいられて。飽きることもなく、ずっと楽しいし、これからも楽しいんだろうな」と笑顔で語っていた。
今後に目を向けると、連続ドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(日本テレビほか、2020年1月期)、映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2020年2月21日公開、中田秀夫監督)といった出演作が控えている。奈緒さんは“尾野ちゃん”のルンルンスキップばりに、軽やかな足取りで役を“着こなす”姿を見せてくれるに違いない。