佐倉綾音:釘宮理恵の「レールを走りたい」 憧れの先輩への思い

劇場版アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X」で速杉ハヤトの声優を務める佐倉綾音さん(左)と少年ホクト役の釘宮理恵さん
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劇場版アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X」で速杉ハヤトの声優を務める佐倉綾音さん(左)と少年ホクト役の釘宮理恵さん

 新幹線がロボットに変形する劇場版アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X」(池添隆博監督)が、2019年12月27日から公開されている。テレビシリーズから引き続き、佐倉綾音さんが主人公・速杉ハヤトの声優を務め、劇場版の新キャラクターで、物語の鍵を握る9歳の少年ホクトを釘宮理恵さんが演じる。2人は同じ事務所の先輩・後輩で、佐倉さんは「いつか理恵さんのようにとずっと思っている。理恵さんのレールを走りたい」と語る。声優活動への思いなどを2人に聞いた。

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 ◇少年役は「男女の違いより、キャラクターがどう動くか」

 「新幹線変形ロボ シンカリオン」は、ジェイアール東日本企画、小学館集英社プロダクション、タカラトミーが原案のコンテンツ。テレビアニメは、2018年1月~2019年6月に放送され、特務機関・新幹線超進化研究所が、巨大怪物体から日本の平和と安全を守るため、新幹線変形ロボ シンカリオンで戦う姿を描いた。劇場版は、JR東日本の新幹線試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」がシンカリオンとして登場し、シンカリオン誕生の秘密や、ハヤトとホクトの親子の絆が描かれる。釘宮さんが演じる少年ホクトは、ハヤトの父・ホクトが時空を超えてやってきた姿だった……という展開。

 釘宮さん、佐倉さんは、さまざまな作品で多様な役を演じているが、今回の劇場版では、共に少年を演じた。少年を演じる上で心掛けていることとは……。

 9歳の少年ホクトを演じた釘宮さんは“感覚派”といい、「私が男の子を演じる時は、このぐらいの年齢の幼い男の子の場合は、あまり男女差を考えたことはないです」と笑顔を見せる。

 「好きとか苦手とか、怖いとか、いろいろな情報が台本に書いてありますし、絵も動いてくれているので、そこがアニメーションの素晴らしいところ。男の子か女の子かは、それほど大事な問題ではなくて、その子がどういうことを考えたり感じたりした結果、発言して、アクションするのかが大事であって、性別は大事なことではないような気がします。小学生ぐらいまでは、男女差はあまり感じないですね。男女の違いを付けるよりも、台本になぞらえて演技をすることに集中していると思います」

 佐倉さんも「たしかに小学生くらいまでは、男女の違いよりも個体差のほうが、(声に)差を付けやすいかも」と続ける。

 佐倉さんは、テレビシリーズで約1年半にわたり、主人公ハヤトを演じてきた。「朝の時間帯の子供向けロボットアニメということで、固定概念として、主人公は猪突(ちょとつ)猛進で、人の話をあまり聞かないようなイメージだったんです。だから最初のオーディションでは、そのアプローチをしてしまったのですが、『それは全部捨てて』と言われました。ハヤトは鉄道オタクで、シティーボーイであり、周りがとても見えているキャラクターにしてほしいというお話があったんです」

 佐倉さんは、当初とは全く違うイメージを告げられ、演技の方向性を変えた。

 「今までの主人公像は、(大門山)ツラヌキ(義理堅い熱血漢のキャラクター)に全部任せてほしいと言われて、すごく新しい主人公だなと。そこで、男の子役ということは、あまり考えないようになったかなと思います。ハヤトは、好きなものに対してとても真摯(しんし)で、探求心が強いキャラクターなので、男の子というより、『そういう人間なんだ』という目線でハヤトを見ることが増えました」

 ◇「そうなりたい」と思える釘宮理恵の“背中”

 劇場版では、ハヤトや少年ホクトという子供たちと大人たちが、信念を持って日本の平和と安全を守るために敵に立ち向かう。

 声優として第一線を走り続ける釘宮さん、佐倉さんに、声優として大切にしている信念を聞いた。

 佐倉さんは「これまでは、仕事のために生きる、仕事に対してアクティブといいますか」と振り返る。「とはいえ、20年以上声優の仕事をしてきて、やはり仕事をするためには健康な精神と健康な体でなければならないし、アウトプットだけでは行き詰まってしまうので、最近は、インプットの大事さや、自分自身の幸せを追求していくことを総合的に考えるようになっています。だから、自由時間は大事ですね。そろそろ腰を落ち着けて、それでなおかつ、いい仕事ができるように、一本一本を充実させないといけないなと、自分の気持ちがシフトしてきているなと感じます」

 釘宮さんは、読書や映画を見ることが大好きだといい、そうした“インプット”の重要性を語る。「やはり枯渇している状態では、出し続けることに精神的に疲れてきてしまう。若い時こそ、本を読んだり映画をたくさん見たりとか、当たり前のことをたくさんできていたのですが、どうしても仕事が詰まってくると、全くできなくなっていました。今は、余暇の時間を自由に使えるという気持ちの余裕というか。のんびりし過ぎてもいけないなと思うので、ほどよく頑張っていきたいなと思っています」

 佐倉さんは「理恵さんがそうしてキャリアを重ねてきた途中の道に私はまだいる」と感じているという。「今の私は、作品のために生きていたいと思っている時期なんだと思います。作品より自分のことが大切にならないように、今は現場に出たら、自分よりも作品とほかの人の幸せにちゃんと注力しようと。もっと昔はワケが分からなかったし、無力な時期もすごくありました」

 自身がキャリアを重ねる中で「作品のために生きていたい」という思いが強くなったという。

 今後について佐倉さんは「いつか理恵さんみたいな……理恵さんのレールを走りたい。私はずっとそう言い続けています」と釘宮さんへの憧れを語る。「マネジャーさんにも『佐倉は理恵さんの背中を見ているといいと思うよ』と言われたことがあって。そう思える先輩が同じ事務所にいるって、めちゃくちゃ幸せですよね。理恵さんは、現場にいると安心するし、同時に緊張もする存在。『こんな先輩になれたらいいな』という“背中”だなと思います。生き方や考え方もすてきで、私もそうしようと思える」

 そんな佐倉さんの思いに、釘宮さんは「全く無自覚です」と笑顔を見せながら耳を傾けていた。

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