女子高生がアニメ制作に打ち込む姿を描いたマンガが原作のテレビアニメ「映像研には手を出すな!」で、主人公・浅草みどり役でテレビアニメの声優に挑戦する女優の伊藤沙莉さん。子役出身で、ここ数年、出演作品が途切れることがなく、2018年11月には、「第10回TAMA映画賞」で最優秀新進女優賞を受賞。2019年もドラマ「これは経費で落ちません!」(NHK総合)、映画「生理ちゃん」など話題作に出演し、存在感を発揮した。伊藤さんは、大活躍の昨年を「新しいことに巡り合う機会がすごく多かった」と振り返り、「やったことがないことをやっている時が一番楽しい。自分がプレッシャーに感じていたり、いっぱいいっぱいになっている時が意外と幸せなんです」と語る。
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伊藤さんは、2019年に公開された劇場版アニメ「ペット2」の日本語吹き替え版で声優に初挑戦し、テレビアニメで声優を務めるのは、今回の「映像研には手を出すな!」が初めてとなる。ハスキーボイスで知られる伊藤さんは、自身の声に「ずっとコンプレックスがあった」という。
「声へのコンプレックスは、自分にとって、一番面倒くさい部分ではあったんです。でも、きっとこの声じゃなかったら『映像研』の浅草氏を演じるというお話をいただけなかっただろうと思いますし、どんどんこの声でよかったなと思えることが増えたことが幸せです。『映像研』の第1話を見て、『あ、意外といいかも』と思えたりとか、せりふの言い回しに合っているかもと少しずつ思えたことはうれしいです。『映像研』を通して、また一つ成長したのかなと思います」
伊藤さんは2019年を「新しいことに巡り合う機会がすごく多かった」と振り返る。2018年11月に「第10回TAMA映画賞」の最優秀新進女優賞受賞、2019年2月に「第40回ヨコハマ映画祭」の2018年日本映画個人賞・助演女優賞を受賞し、「授賞式から始まった年だったので、『ここからまた新たにスタートだ』という気持ちで始まった」と話す。
「映画、ドラマを撮影して、『ペット2』で声優をやらせていただいて、今までやったことのないことをたくさんやらせていただきました。同じ声のお仕事でも『ペット2』と『映像研』では、録(と)る環境も、作品自体も演じるキャラクターも全部違って、そうなると、アプローチも変わってくる。自分がいろいろな面で成長できた年だったなとすごく思います」
そんな2019年を踏まえて、2020年の目標を「役に対する深みを追求できるようになっていけたら」と語る。
「すごく格好つけた言い方になるんですけど、これまでは感覚を大事にやってきました。でも、もう少し奥深いところに手を届かせたいんだったら、役に関しても、もっとリサーチできる部分がある。もう少し裏の裏の裏の裏を探してみたら、『この人はこう考えているのかも』とか。役に対する深みを追求できるようになっていけたら、もっと役の幅も広がるだろうなと思います」
さらに、伊藤さんは「やったことがないことをやっている時が一番楽しい」と笑顔を見せる。
「自分がプレッシャーに感じていたり、いっぱいいっぱいになっている時は意外と幸せです。すごく今自分が成長しようとしていると。何かを課せられているということは、信用されているんだなと思えるし、そういう人たちの期待や信頼に応えたいと常に思っています。2020年は、みんなが知らない伊藤沙莉を出していきたいです」
キャリアの長い伊藤さんだが、「理想の女優像はずっと変わらない」という。
「ずっと『作品を見るきっかけの人になりたい』と常に思っています。作品のポスターが出た時に、『伊藤沙莉』と書いてあったら見てみたいと思ってもらえるような、作品を知る、見るきっかけになる人になりたいとすごく思いますね。それに関してはお芝居で応えていくしかない。見ていて苦痛な芝居はしたくないなと思うので。見ている人が共感を得たり、逆にすごく嫌いになってもらってもいい。私に対して感情が生まれることがすごいことだと思っているので、人を刺激する役者になりたいなと思います」
「いっぱいいっぱい」の状況を喜びと捉え、進化し続ける伊藤さん。2020年もその活躍に期待したい。
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