人気グループ「King & Prince」が、6月10日に5枚目のシングル「Mazy Night」をリリースした。同楽曲はメンバーの平野紫耀さんが主演(「Sexy Zone」の中島健人さんとダブル主演)する連続ドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系、土曜午後10時)の主題歌(「Sexy Zone」の「RUN」とダブル主題歌)となっており、エッジの効いた疾走感あふれる曲調に加え、グループ史上最高難易度というダンスも注目ポイントの一つ。発売初週で約51万8000枚を売り上げ、「Kinki Kids」「KAT-TUN」に次ぐ、デビューシングルから5作連続での初週30万枚超えを果たした。“王子様”感たっぷりのデビュー曲「シンデレラガール」から始まり、彼らはこれまでも新曲をリリースする度に異なる姿を見せてきた。その“進化”を振り返りながら、最新曲の魅力を掘り下げていきたい。
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記念すべきデビューシングル「シンデレラガール」は、「King & Prince」というグループ名をより印象づけるような、正統派アイドルらしいキラキラとした楽曲だった。歌詞にはタイトルの「シンデレラ」を想起させる「魔法」「AM0時の鐘」といったワードや、「ボクはキミを守り続ける」など王子様感あふれるフレーズが登場する。
MVは王宮のようなゴージャスなセットで、メンバーがガラスの靴を手にする場面や、花びらの舞う中でダンスを踊るシーンなどもあり、童話のような世界観となっている。それに合わせ、衣装はきらびやかな装飾が施された白のジャケット×パンツスタイル。首元のネクタイやリボン、ジャケットの下からのぞくメンバーカラーのたすきなど、ほどよくポップさも取り入れられ、全身にアイドル要素がちりばめられていた。
続く2枚目のシングル「Memorial」も王道路線。それもそのはず、実はこの楽曲はデビュー曲を決める際に「シンデレラガール」と並んで最後まで候補として残った曲なのである。「描いてゆこう未来」「永遠を誓おう」「ずっと守るよ」などの言葉が並んだ“プロポーズソング”で、デビュー曲で出会ったKing & Princeとティアラ(ファンの愛称)が結束を固める=愛を誓い合うような楽曲とも言えるかもしれない。
ウエスト部分にリボンが巻かれたガウン風のジャケットにパンツ、シューズまで白で統一された衣装で、装飾は前曲よりも控えめ。MVではカラフルな花に囲まれた空間で6人がダンスを踊るシーンをはじめ、料理をしたり寝転がる姿など同居気分を味わえるような家での胸キュンカットも含まれ、最後はメンバーからティアラを贈られるようなシチュエーションで締めくくられている。女子の憧れが存分に詰まった1枚目と2枚目のシングルで、彼らは王子様のイメージを確立させた。
2019年4月に発売された3枚目のシングル「君を待ってる」は、春らしい爽やかなエールソング。作詞をシンガー・ソングライターの高橋優さんが手掛け、「切り開け輝く未来」「不器用に何度もつまづいたって 夢は叶(かな)えられる」「今踏み出そう」など力強いメッセージで聴く人の背中を押してくれる楽曲だ。これまでのかっちりとした衣装とは対照的な、白のパーカにデニム、スニーカーといったラフなスタイリングで、MVも装飾のないシンプルなセットに。真っ白な空間の中でメンバーが水を蹴り上げるシーンなども映し出され、フレッシュで清涼感のある仕上がりだった。
その後、初のアルバム「King & Prince」をリリース。リード曲「Naughty Girl」では、トップスの裾をまくり上げて腹筋をちら見せさせるなど、男のセクシーさを表現したダンスで、イメージを一新するようなクールな姿を披露した。デビュー曲以降、MVでは白を基調とした衣装が続いていたが、同曲では深みのある赤×黒で統一されたモードな雰囲気漂うコーデや、モノトーンのスタイリッシュなコーデにチェンジ。指先や首の動きといった細部まで意識された振り付けが光るダンスパートに加え、それぞれが挑発的な視線を投げかけるソロカットなど、洗練された大人の色気を感じさせる内容で、グループにとっても“二面性”を見せる大きな転機となった。
4枚目のシングル「koi-wazurai」は、はじけるようにポップで明るいアイドル感満載のチューン。私服風のカジュアルな衣装で、MVでは学校をイメージしたカラフルなセットの中、メンバー同士がラブレターをめぐるコミカルなやり取りを繰り広げている。一方で、King & Princeらしいキラキラ感も忘れてはいない。MVの終盤にはゴールドの装飾が施されたブラックのジャケット×パンツという衣装に“変身”する場面が描かれ、「Naughty Girl」で得た大人っぽさがプラスされた、以前とは一味違うシックな王子様スタイルを打ち立てた。
そして、今回の新曲「Mazy Night」で彼らが見せたのがワイルドな“野獣”っぽさ。警察学校を舞台にしたドラマ「未満警察」の主題歌となっていることから、警察の所作をイメージしたような振り付けも取り入れられており、フロアを使った高低差のある動きや、大胆なフォーメーションチェンジが特徴の激しいダンスに挑戦している。
また、今までは彼らの体のシルエットが映えるようなタイトな衣装が多かったが、新曲ではダボッとしたつなぎ風衣装で雰囲気を一変。MVでは赤いライトが交錯する空間で力強く踊る様子や、メンバーそれぞれが叫ぶシーンなど、迫力のある男らしい姿を見せている。
デビュー時の“王子様”イメージもあってか、これまでの楽曲ではどこか“きれいさ”が意識されていたように思うが、新曲ではその“きれいさ”を打ち破り、葛藤しながらも未来に向かって突き進んでいく“ギラギラ”としたオーラを放っている。SNSでは、今回のパワフルなパフォーマンスに対し、「キンプリの振り幅すごい」「今までのキンプリとガラッと違う」「がしがし踊ってるの新鮮」といった声も上がっており、彼らのイメージの幅をぐんと広げた一曲になったと言えるだろう。
キラキラの王道アイドルからギラギラとした野獣へと新たな進化を遂げたKing & Prince。“王子様”の彼らが、これからさらにどんな新しい一面を披露してくれるのか、今後の活躍からも目が離せない。