俳優の上川隆也さんが主演するドラマ「連続ドラマW 夜がどれほど暗くても」(橋本一監督、谷口正晃監督、全4話)が、11月22日からWOWOWで放送される。作家・中山七里(なかやま・しちり)さんの同名小説(角川春樹事務所)が原作で、息子が起こした事件で、“追う側”から“追われる側”に立場が逆転したジャーナリストが、絶望のふちに立たされながらも事件の真相に迫っていくヒューマンミステリーだ。中山さんに、本作が生まれたきっかけや、執筆するうえで心がけていること、さらに、コロナ禍での自身の変化を聞いた。
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角川春樹事務所の角川社長から「ほっこりするものを書いてくれ」と言われました。ただ、ほっこりといわれて一番困ったのは私でして(笑い)。今までほっこりしたものを書いたことがなかったのです。それで、「最後の最後に収まるべきものが収まるところに収まるのが一番ほっこりだ」と僕なりに考えました。
小説は2018年10月から書き始めたのですが、ちょうどそのとき、執筆者が差し障りのあることを書いて、それを掲載した雑誌が休刊になったことがありました。それから、不倫をした芸能人の取材がよくなされていたときでした。そのとき、例えば、不倫を追いかけている記者さんが、不意に取材対象からスマホを向けられたらどう反応するかと想像したんです。
また、芸能人や政治家の不祥事を追いかけている記者さんが、今度は同じようなことが自分の身に降りかかってきたときにどうなるのだろうと思いました。それがこの話のとっかかりでした。いつもたたいている人間がたたかれたら、そりゃひどいだろうな。たぶん全部失うようなことも可能性としてある。それで「夜」が来るんです。それで、「夜がどれほど暗くても」、最終的にはちゃんと朝が来る。そういう設定にしたのです。
上川さんは、前に「テミスの剣」(文藝春秋)がドラマ化(2017年、テレビ東京)されたとき好演していただいて一度拝見していますから、純然たる信頼感があります。だから、主演が上川さんと聞いた瞬間に、僕は何にもしなくていいなと思いました。
中山さんは、2010年、48歳のときに「さよならドビュッシー」(宝島社)でデビュー。10周年となる今年は、前代未聞の新刊単行本12カ月連続刊行を実施している。
2000字以内にまとめたプロットを3日間で仕上げています。それを版元さんに提出してオーケーをいただいて書き始めるのが、デビュー当時から今まで続いている流れです。(原稿は)頭の中で書いて、あとは“ダウンロード”するだけです。だからプロットができたときは、原稿の最初から最後の一行まで頭の中にできています。マンガでいうと、アタリをつけて、吹き出しをつけて、スクリーントーンを貼る直前まではできている状態です。
サイレントマイノリティー。いわゆる、ものを言わぬ少数派。もうひとつはサイレントマジョリティー。もの言わぬ大多数。どちらにも配慮しています。もっとはっきり言うと、ネットで聞こえてくるいろんな声は、あえて聞かないようにしています。あまり口を開かない人や、開きたくても声の小さい人、そういう人のことは絶えず考えて書くようにしています。
僕に限らず物書きは、閉じこもって原稿書いているので、もとからステイホームなんです。だから生活様式は変わっていません。ただ、家の中にこもる生活が増えたせいで、(人は)我慢したり、悩まなくてもいいことで悩んだりするようになりました。そういうときにみなさんの心の“よすが”になるのは、エンターテインメントではないかという思いは新たにしました。ですから、汎用性のある、持続性のあるエンターテインメントが、これからの需要になっていくのではないかと思っています。
コロナのせいで、よりその重要性が増したということと共に、2020年を舞台にした物語を作るのに、コロナはやはり避けて通れません。幸いにして、今、僕が書いているのは(設定が)まだ2019年までなのでセーフなんですけど、それをどう書いていくのかが今の課題です。
「連続ドラマW 夜がどれほど暗くても」は、11月22日から毎週日曜午後10時にWOWOWプライムで放送。全4話で、第1話は無料放送。
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