放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
「これだけやりたいことをやらせていただいていて、人生が早送りされているような気分にもなりつつ、不思議な10代だったなと思います」。2016年に芸能界入りして以来、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)、ヒロインの声を演じた新海誠監督の劇場版アニメ「天気の子」、連続テレビ小説「エール」(NHK)の梅ちゃん、放送中の初主演ドラマ「この恋あたためますか」(TBS系、火曜午後10時)……と話題作への出演が続いた女優の森七菜さん(19)は、10代をこう振り返る。森さんに、声での活動と女優業についてや、今後の目標を聞いた。
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森さんは、2001年8月31日生まれ。大分県出身。2016年に大分県内でスカウトされ、芸能界入りした。昨年は、ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」、NHK「少年寅次郎」などに出演したほか、「天気の子」ではヒロイン・天野陽菜の声優を務めた。
今年1月公開の岩井俊二監督の映画「ラストレター」では一人二役をこなし、主題歌「カエルノウタ」で歌手デビュー。窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合)で、ヒロイン・音(二階堂ふみさん)の妹・関内梅を演じ、大きなメガネがトレードマークの文学少女“梅ちゃん”として人気を集めた。
ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。(おじカワ)」(読売テレビ・日本テレビ系)ではナレーションを担当。映画「青くて痛くて脆い」(狩山俊輔監督)、「461個のおべんとう」(兼重淳監督)も公開された。
「『エール』も、『この恋あたためますか』の主演っていうのも、ホントにすごいことだなって思いますが、『天気の子』だったり、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』だったり、本当に作品の力が大きくて。また作品に助けられる年だなというのをすごく感じていて……」と話した森さん。
森さん自身も、森さんのまわりにいる顔ぶれも変わらないというが、「今年はすごい一年だね」と言われるように。そんな状況に、「ちょっと驚きもあったり……」と率直な思いを話した森さんは、「もしかしたらこれが最後かもしれない。そうならないために、今、頑張っているけど、これだけ出させていただけたりするのも、本当に最後かもしれないから。とにかく今を拾うのに一生懸命で……」と忙しい日々を過ごしている。
今年の春、高校を卒業。来年20代に突入するが、10代について聞いてみると、「同級生が進路を決めているのを見ていて。私は、もうすでに『お芝居をずっとやっていく』って決めていたから、三者面談とかもせずに、受験もせずに終わっちゃって、それがすごく不思議な感じで……」と振り返る。
「もともと『お芝居するのかな?』とは思っていたのですが、スカウトしていただいて、なんとなく始めたというか。『やりたい』という確固たる信念を持っていたわけではなかったから、それでこれだけやりたいことをやらせていただいていて、人生が早送りされているような気分にもなりつつ、不思議な十代だったなと思います」
「この恋あたためますか」は、21歳のコンビニアルバイトの井上樹木(森さん)と、樹木が勤めるコンビニチェーン「ココエブリィ」の社長・浅羽拓実(中村倫也さん)が、コンビニスイーツの開発を通して、次第にお互いを意識し、引かれ合うようになる……というオリジナル脚本の物語。
「天気の子」でヒロインを演じたり、「おじさんはカワイイものがお好き。」でナレーションを担当するなど、声での活動も続いている森さん。樹木を演じる上でも“声”は大事にしているといい、「声色、息の度合いも意識したりもしますが、樹木に関しては、どのシーンで違っても別に大丈夫なのかな、と思って」と明かす。
「樹木はいろいろな顔を持っている女の子で、私の引き出しが全部、樹木に引き出されちゃうかなっていう恐怖もあったんですけど(笑い)。これで使い果たして、また次の自分がどんなものを生んでいくのか、という興味もあったから、今は出し惜しみなく演じています」と話す。
ヒロインの声を演じた「天気の子」では、Vコンテに合わせて、新海監督があてた声があったといい、「(監督と)同じテンポで、声の高さだったり、ちょっとした息の吐き方、ニュアンスで、『森七菜がやったんだ』という良さを出さなきゃというところがありました」と振り返る。そんな経験を通じて、「いろいろな角度の見方がちょっと増えたんじゃないかな、という気もしますし、そこは本当に(女優業に)いかせていると思います」と明かす。
魅力的な森さんの声で、次はどんな表現をしてくれるのだろう?とワクワクする視聴者も多いのではないだろうか。しかし、森さん自身は、自分の声が「嫌いだった」という。
「歌もやってて、だんだん声の出し方が、ちょっとは気持ち悪くなくなったなと思って……。声の出し方を教えてもらって、もうちょっと素直にというか、聞こえる声になれたのかなと思って。ちょっとだけ、自分の声が好きになったりもしました」
私生活で役が出てしまうことも「ある」という森さん。「いじめられている子の役とかだったら、本当に暗くなっちゃって……。みんなは現場のことを知らないから、『あれ? なんか今日暗いんだけど(笑い)』ってなっちゃう。一緒にいる人には申し訳ないです(笑い)」と明かす。
演じるシーンにもよるが、苦しいときは本当に苦しい。いてもたってもいられず、スタジオから逃げ出したくなるときもある。「それでもやっぱり現場が終わると、『ああ、楽しかった今日!』っていつも思います」と明かしながら、「求めていただけるようになるまで、とりあえず頑張ることと、それが続く限り(女優業を)やりたいなと思います」と力を込める。
目標は、「信頼される女優さん」だ。「『この人が出てたら絶対面白い』とか、『この人がこの原作のあのキャラクターを演じるんだったらうれしい』とか、思ってもらえるような女優さんになれたら、すごくうれしいなと思います」
***
今回の取材中、記者が「おじさんはカワイイものがお好き。」が好きだと伝える場面があった。「ありがとうございます」と応じていた森さん。終始、記者の質問に対し、率直に答えてくれ、楽しそうな笑顔も見せてくれた。
あっという間に約束の時間になってしまい、取材を終えようとしたところ、突然、テーブルに置いてあった記者のICレコーダーに近づきだした森さん。レコーダーに向かって顔を近づけ、「もっちりもちもちパグ太郎~!」と、“おじカワ”のナレーションの声を披露してくれた。記者の「永久保存版!」という言葉に、「ははは!」と天真らんまんな笑顔を見せ、取材部屋から出ていく姿がとってもキュートで、一気に魅了されてしまった。
そんな森さんが、20代ではどんな一面を見せてくれるのか。今から楽しみにしたい。
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