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第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、12月27日午後9時から放送される俳優の香川照之さん主演のドラマスペシャル「当確師」(テレビ朝日系)だ。
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ドラマは、ベストセラー「ハゲタカ」シリーズなどで知られる真山仁さんの小説が原作。香川さん演じる当選確率99パーセントを誇り“当確師”の異名を持つ敏腕選挙コンサルタント・聖達磨(ひじり・たつま)が、日本中から注目を集める政令指定都市・高天(たかあま)市長選で、3期目を目指す現職市長・鏑木次郎の当選を阻止する仕事を請け負う……というストーリー。“日本一有名な市長”として知名度は全国区、市民からも絶大な支持を得る鏑木を高橋克実さん、聖が対抗候補として擁立する、市内で保育園を経営する女性・黒松幸子を檀れいさんがそれぞれ演じる。
今作の魅力は何と言っても香川さん演じる達磨というキャラクターだ。達磨は依頼者を当選させるためなら手段を選ばない、まさに“ダークヒーロー”。圧倒的に不利な状況の中でも、聖は情報戦や権謀術数を用いた“奇襲攻撃”を仕掛け、大胆不敵に選挙戦を進めていく。
弁舌巧みに、「他人と争うことが嫌い」という幸子を選挙戦に出馬させるため口説き落としたり、鏑木陣営の重要人物を籠絡(ろうらく)したりするシーンなどでは、連続ドラマ「半沢直樹」(TBS系)の大和田暁をほうふつとさせるような口調でまくしたてる。また、鏑木陣営が幸子のスキャンダルをあばいても、すぐ火消しに奔走するなど、常に相手の手の内を読み、反撃の計略を立てる、エネルギッシュかつ大胆不敵なキャラクターとなっている。そんな聖がエネルギーを補給するかのごとく、油そばやピザ、ナポリタンをがっつくように食べるコミカルな“食事シーン”もあり、怒濤(どとう)の展開が続く今作のちょうどよい緩和剤となっている。
聖が、“日本一有名な市長”として市民からも愛されている鏑木や、その周囲の人物の化けの皮を剥いでいくさまは見ていて爽快。香川さんがまた新たに記憶に残るようなキャラクターに命を吹き込んだ。1回で終わるのは惜しい“クセ強”キャラ、聖達磨の活躍をまた見せてほしい。
ドラマスペシャル「当確師」は、27日午後9時~10時55分に放送。