ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
10代を中心に若者から絶大な支持を得るクリエーターユニット「HoneyWorks(ハニーワークス)」。その10周年記念作品として、同ユニットがプロデュースするアイドルユニット「LIP×LIP(リップリップ)」の結成秘話を描く劇場版アニメ「HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”」が公開中だ。同作やHoneyWorksの楽曲を原作としたアニメ「告白実行委員会」を手掛ける斎藤俊輔プロデューサーはHoneyWorks作品の魅力を「共感性の高さ」と考えているといい、LIP×LIPの劇場版アニメでは「今までの作品は恋愛が軸だったが、今回は彼らの成長物語、人間ドラマを描こうとした」と語る。HoneyWorks作品が若者をひきつけ続ける理由、劇場版アニメの見どころを聞いた。
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HoneyWorksは、2010年に動画投稿サイトで活動をスタート。その音楽性はキュンキュン系、青春系などと言われるロックサウンドが特徴で、楽曲を原作とした「告白実行委員会」シリーズは、アニメ、小説、舞台などでも展開し、若者を中心に人気を集めている。「LIP×LIP」は、高校生の勇次郎と愛蔵のアイドルユニットで、劇場版アニメ「好きになるその瞬間を。~告白実行員会~」(2016年)の劇中歌「ロメオ」で初めて登場。LIP×LIPの関連動画は累計再生回数7000万回を突破している。2019年にはファーストアルバムを発売し、初のワンマンバーチャルライブを大阪、東京で開催した。
LIP×LIPの劇場版アニメは、その結成秘話を描くアニメパート「この世界の楽しみ方~Secret Story Film~」とバーチャルライブパートで構成され、LIP×LIPの過去の物語、今のパフォーマンスが楽しめる内容となっている。
斎藤プロデューサーは、LIP×LIPの劇場版アニメの制作の経緯を「これまでのシリーズでメインキャラクターのストーリーを描ききり、ハニワさんが『次の世代をどうしていくか』という時にLIP×LIPに力を入れていきたいという話があった」と話す。
「ストーリーは、LIP×LIPの楽曲『夢ファンファーレ』『やっぱ最強!』のMVで描かれている彼らの過去を膨らませていきました。ハニワさんも一緒に台本打ち合わせに参加していただき、これまでの劇場版アニメ以上にオリジナル要素が強い形で作りました」
LIP×LIPはステージの上では、キラキラとしたまさにアイドルという姿をファンに見せるが、ステージを降りると辛辣(しんらつ)な言葉でケンカをしたりとただの仲良しユニットではない一面もある。今回の劇場版では、LIP×LIPの中学生時代のそれぞれの親との葛藤も描かれる。
「今までの作品は恋愛が軸でしたが、今回は彼らの成長物語を描く人間ドラマにしたいと考えました。彼らも若いですし、いろいろな家庭環境で育ったゆえの悩みも抱え、マイナスな一面も当然ある。それをどうやって自分で乗り越えて、プラスの気持ちで進んでいこうとするか。そのドラマに共感してもらえるのではないかと。単にアイドルキャラクターのキレイな一面、ファンサービスを見せるだけにはしたくないと思って作りました」
劇場版アニメでは、アニメパートの後にライブパートが上映される。
「デビュー前の話をアニメパートで描き、デビュー後の成長した姿でバーチャルライブを見せたら、物語がつながるし、アニメ映画として新しい提案ができるんじゃないかと考えました。また、ライブ会場ではその会場キャパのお客さんにしか届けられないと思いますが、ライブを映画館に持ち込めば、より多くの人に楽しんでいただける」
斎藤プロデューサーは、HoneyWorksの「告白実行委員会」シリーズの劇場版アニメ「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」「好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~」(ともに2016年)、テレビアニメスペシャル「いつだって僕らの恋は10センチだった。」を手掛けた。HoneyWorks作品の魅力を「共感性の高さ」と感じているという。
「HoneyWorksの作品は、主に高校生の恋愛を描いていますが、みずみずしい気持ちを持った子供たちが見ると、すごく憧れる世界観が広がっています。ほとんどの人が経験する恋心であったり、輝かし瞬間をキュンキュンするようなサウンド、ヤマコさん(HoneyWorksのイラストレーター)のイラストで見せられると、やはり心が動かされるのではないかと思います」
斎藤プロデューサーが、HoneyWorksのメンバーとアニメの打ち合わせをする際は「保守的じゃないところが面白い」と感じるという。
「MVから得られる印象だと、『このキャラクターの振り幅はここまでだろう』と思う時も、メンバーは『むしろもっとやっちゃいましょう』と。もっとドラマを描いたほうがファンに楽しんでもらえるし、キャラクターとしての感情の振り幅が強い方が絶対面白いという考えなので、アニメでキャラクターを描く際も『単なる爽やかキャラクターじゃなくていい』『キャラクターそれぞれトラウマがあったり、人には見せない一面がある。そこを深く描いてほしいんです』とよく言われるんです」
テレビアニメスペシャル「いつだって僕らの恋は10センチだった。」に登場する芹沢春輝は、幼いころに兄を病気で亡くしたというトラウマを抱えており、そのトラウマゆえに激しく取り乱す様子が描かれたが、その描写もHoneyWorksと共に生み出した。
「今まで積み重ねてきた延長線上にキャラクターをただ置くのではなくて、そこにファンに対するドッキリだったり、話題にしてもらえるようなことを盛り込んでいきたいというのが彼らのプロデュースなんです。原作の楽曲はあるけれど、アニメではまた別の違うエッセンスを加えて、ファンを驚かせたいという発想なので、一緒に作っていても楽しいですね」
HoneyWorksの楽曲が原案となっている小説は、多くの図書館に置かれ、小中学生の愛読書となっているという。斎藤プロデューサーは「ハニワの世界観を小説、YouTube、アニメで体験できる。しかも、高校生だったキャラクターが大人になった姿も描いたりと、地続き感がある。キャラにお別れを告げることなく、ハニワさんがファンに対してコンテンツを届け続けているところが、今の強さを生んでいるのではないかと思います」
等身大のキャラクターたちの物語を音楽、アニメ、小説などさまざまなメディアで10年間提供し続けているHoneyWorks。今後どんな新たな楽曲、物語が生まれるのか、注目したい。
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