SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
アニメも人気の西尾維新さんの人気小説「<物語>シリーズ」(講談社)のオーディオブックが、Amazonの「Audible」シリーズから配信されることが明らかになった。阿良々木暦役の神谷浩史さん、戦場ヶ原ひたぎ役の斎藤千和さんらアニメの声優陣が小説の各巻を朗読する。1巻あたり約8時間という大長編で、各キャラクターのせりふを含め一冊まるごと一人の声優が朗読するという試みに神谷さんは「収録は本当に修行のようだった」と振り返り、斎藤さんは「阿良々木くんの気持ちが分かってすごく楽しかった」と笑顔を見せる。収録の裏側を聞いた。
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「Audible」は、小説やビジネス書といった人気書籍などをプロのナレーターが朗読した音声コンテンツで、スマートフォンやパソコンなどで楽しむことができる。「<物語>シリーズ」のオーディオブックは、「ファーストシーズン」第1弾として神谷さんが朗読する「化物語(上)」が2月17日に配信された。八九寺真宵役の加藤英美里さんによる「化物語(中)」が3月19日、斎藤さんによる「化物語(下)」が4月16日に配信予定。「ファーストシーズン」には、井上麻里奈さん、櫻井孝宏さん、坂本真綾さんも参加している。
――「<物語>シリーズ」のオーディオブックは、1巻あたり約8時間という大長編です。最初にAudibleでのオーディオブック化の話を聞いた時はどう思いましたか?
神谷さん そもそも、アニメーションの作り方として「西尾維新が書いた文章しか音にしない」という制約があったんです。僕らが音にしてきた文章が、原作に詰まっている。それを改めて読み手の力量だけで、もう一度作品に仕立て上げるというのは、実は不可能なんですよ。
――「<物語>シリーズ」は阿良々木暦の語りでストーリーが進んでいきます。
神谷さん アニメーションでは、ナレーションとモノローグ、せりふというように明確に分かれていましたけど、それは監督たちスタッフが決めていることで、僕らが決めていることではないんですね。それを今回、1冊全てを一人の声優が朗読するということで、話し合いがなされたんですけれども、ディレクターから言われたのは「好きに読んでください」ということだったんです。あれだけの膨大な文章を全部自己責任で、改めて音にしていくということには、やはりとてもプレッシャーがありましたし、困難な作業だったのは想像に難くないと思います。
――アニメでは神谷さん演じる暦のモノローグ、ナレーションが多いです。朗読で地の文を読む上でアニメとの違いはありましたか?
神谷さん 地の文だと思って読んでいたけれども、実は感情が乗ってくるモノローグだったみたいな、文章の中で変化していくことが結構ありました。自分の感覚でナレーションとモノローグを使い分けていくと、齟齬(そご)が出てきてしまうので、あくまで阿良々木暦の声の人が地の文を淡々と読む。モノローグに寄っている文章であったとしても、なるべく地の文に近いニュアンスで読むということは心がけていました。ただ、アニメーションをやらせていただいている以上は、「ここは地の文じゃなくモノローグだった」という記憶もあるので、地の文を読んでいるつもりでも、モノローグ寄りというか、多少演出が付いたような形にはなっているとは思います。
――「化物語」では、斎藤さんが演じる戦場ヶ原ひたぎは暦と恋人同士になっています。どのように朗読されたのですか?
斎藤さん 私が今までアニメで演じてきたひたぎのせりふは全て、括弧に入ったせりふだったのですが、オーディオブックでは、それ以外の阿良々木くんが考えてきたことまで全てひたぎとして読んでくれということなので、すごく混乱する部分がありました。阿良々木くんがほかの女の子にガンガン言っているせりふも、ひたぎとして読んでしまうと齟齬が出てしまうというか、違和感があるところがたくさん出てきます。「ひたぎだったら、こんなこと絶対怒っちゃうだろうな」とか。だから、ひたぎが朗読を仕事として受けて淡々と読んでいる感じにしています。本来だったら感情を入れそうなところもあえて淡々と、“ひたぎロボット”のような感じで読んでいます。
――神谷さんが朗読した「化物語(上)」、斎藤さんが朗読した「化物語(下)」は、西尾維新アニメプロジェクトの第1弾として2009年に放送されました。改めて原作を朗読するのは、どんな感覚でしたか?
神谷さん 「化物語」に関わらせていただくに当たって、一番最初にやったことが原作を読むことだったんです。最初に原作読んだ感覚をアニメーションに持っていって、それが映像化されて皆さんに広く認知されて。僕らはDVDや再放送でアニメに触れる機会が何度もあったので「もはや原点というものはどんなだったっけ」と若干忘れている部分も当然あったと思うんです。ただ、あの時原作を読んでいた自分の感覚もどこか残っていて、今回の朗読はそれをもう一回確かめる作業になっていた部分もありました。やっぱり西尾維新先生の書いている「化物語」って、すごく面白いんだなと改めて思いましたね。
斎藤さん 私は「化物語」の上巻は読んでいたんですけど、下巻は読んでいなくて……。
神谷さん マジか?(笑い)。
斎藤さん 上巻は読みましたよ(笑い)。私はあくまで台本のひたぎのところを追いかけたいタイプで、ほかのキャラクターの感情も入ってきてしまうと、ぐちゃぐちゃになってしまうので、下巻は読んでいないんです。だから、今回下巻を読んで「そっか、阿良々木くんはこんなことを考えていたんだ」と分かってすごく楽しかったです。
――「化物語(下)」では、暦とひたぎの初デートが描かれます。
斎藤さん アニメの時もデートの回はすごく好きだったので、そこの阿良々木くんの気持ちを追体験できて、すごく楽しかった。面白かったです。アニメでは、ひたぎの気持ちだったので、その反対側の阿良々木くんの気持ちも一緒に読むというのは、すごく違った感覚があって、よりあのシーンが好きになりました。
――神谷さんもひたぎの気持ちを追体験するような感覚はありましたか?
神谷さん そうですね。てっきり僕は、ひたぎのせりふは斎藤さんが読むものだと思っていて、全部自分が読むと思っていなかったんですよ。まさか全部自分で読むことになるとは思っていなくて、これはより大変だと。収録は本当に修行みたいな感じでした。やっぱり、ひたぎの声や気持ちは、全部の音が斎藤さんの声で聞こえるんですよ。そもそもアニメでは、ひたぎの気持ちなんてこれっぽっちも理解できないんです。台本には書いていないから。
斎藤さん 確かにね(笑い)。
神谷さん 斎藤さんが言ったように、アニメでは暦の気持ちなんて理解していないわけですよ。だって台本に書いていないし、言わないから。例えば、暦がひたぎとデートに行くに当たって、いろいろ考えているけれども、アニメではそこを省略してワンシーンの芝居だけで全部を片付けるんです。でも、原作ではその間の気持ちがだーっと書いてある。
――デートのシーンは、暦とひたぎが、ひたぎの父親が運転する車で移動する様子が描かれます。原作では父親やひたぎに対する描写が詳細に書かれています。
神谷さん その中にはこんなに長い文章が潜んでいるということを僕は理解して、全てに答えがある中でアニメーションに参加できていたけれども、ほかの人たちはそうじゃない。それなのに、アニメではあんなに明確な答えを持ってせりふを言っていたということを改めて思い知ってすごいなと。それがあまりにもちゃんとできていたものだから、アニメで音にしていないせりふまで全部斎藤さんの声で聞こえるんですよ。だから、本当に優れた女優さんだし、優れた声優さんたちで作られていたんだなって、すごく思いました。
斎藤さん 今のところは強調して書いてください(笑い)。
神谷さん うん、褒めてますよ。分かりやすく褒めていますよ(笑い)。
<物語>シリーズの声優陣の声の魅力を存分に堪能できるオーディオブック。小説やアニメとはまた違った感覚でその世界観に浸れるはずだ。
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