佐藤健さん主演で公開中の映画「るろうに剣心 最終章 The Final」(大友啓史監督)に、明神弥彦役で出演している大西利空さん。和月伸宏さんの人気マンガが原作の人気実写シリーズの最終章で、田中偉登さん、大八木凱斗さんに続く“3代目・弥彦”として、メインキャストを見事に務め上げた。現在、中学3年生ながら、すでに業界のキャリアは10年を超える大西さんに、撮影の思い出や普段の生活について語ってもらった。
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「るろうに剣心」は、幕末に人斬り抜刀斎として恐れられ、明治維新後は不殺(ころさず)を誓い、流浪人(るろうに)として、新たな時代の生き方を模索していく緋村剣心(佐藤さん)が主人公。実写映画は、これまでに2012年の「るろうに剣心」を皮切りに、「るろうに剣心 京都大火編」「るろうに剣心 伝説の最期編」(共に2014年)の3作が公開されてきた。
最終章は、剣心の“十字傷の謎”に迫る物語と、中国大陸の裏社会を牛耳る謎の武器商人であり、志々雄真実を操っていた“シリーズ最恐の敵”雪代縁(新田真剣佑さん)との戦いを、動乱の幕末期と明治維新後の新時代の二つの時代を通して描く。最終章「The Beginning」は6月4日に公開予定。
大西さんは今回、弥彦役をオーディションで勝ち取った。「演技のオーディションで、結構な大役だったので緊張もしましたが、楽しめましたし、手応えとかはあまり気にしませんでした。役をいただけると聞いたときは、最初、自分に務まるのか、という思いもありましたが、好きな作品に出られることがとにかくうれしかったです」と振り返る。
弥彦は剣心のことを心から尊敬している少年だ。子供扱いされるのが大嫌いで、何とか仲間の役に立とうと日々けいこに励んでいる。大西さんは「弥彦は自我が強い方だと思います。自分なりの考えを持っていて、しっかりしている」という印象を抱いたという。
剣心に恨みを抱く縁が神谷道場に乗り込んできた際、目の前で左之助(青木崇高さん)らが一方的にやられているのを止めることさえできず、力のなさを嘆き、悔しさを爆発させた。また、さらわれた薫(武井咲さん)を救い出そうと、縁の元への向かう剣心を見送るシーンでの弥彦の真っすぐな瞳は、映画の見どころの一つと言える。
「自分が剣心みたいに強くないのは、弥彦自身もよく分かっていて。自分の力のなさを感じて役に立てないという悔しさと、それでも剣心に思いを託すっていう、感情の移り変わりを表現できるように頑張りました」と明かす。
大西さんは今回、主人公の子供時代を演じた「3月のライオン」(2017年)に続く、“大友組”となった。「大友監督はすごく優しくて気さくな方。試写会で再会したときも『大きくなったな』って声をかけてくださって。大友組の現場では、自分が自分でいられるというか、自分を表現できる。そういうものを引き出してくれる監督で、シーンごとの気持ちや感情をどうすればいいのか自分から聞いて、その中で弥彦役を作り上げていくことができました。監督は一つ一つの質問にちゃんと答えてくれて、これから役者をやっていく上で大切なことをいろいろ教えてもらった気がします」と感謝していた。
現在も仕事と学業を両立し、普段は「普通の中学生」という大西さん。「今も自分が俳優っていう意識はほとんどありません。普段は普通の中学生で、一つ一つの行動に気を付けていますが、あまり自分の中で意識や区別はないんです」と率直な心境を明かす。
「役を演じることはもちろん楽しいのですが、正直に言ってしまうと、テレビで見ているいろいろな方に会えるというのがこの仕事の一番の楽しみだったりもします」と笑顔を見せ、「しゃべることは好きで、話し出すと止まらない面もありますが、感情の浮き沈みもあまりない方だと思います」と自己分析も。
さらには「学校の授業では体育、家庭科、技術、楽器もやっているので音楽も好き。課題や勉強はぎりぎりで詰め込んじゃうタイプで、今はバスケットボールとゲームにハマっています」とプライベートの一端を披露。「学校と仕事と特に切り替えを必要としないので、現場でいる自分と、学校で友達と接している自分、そんなに差はないと思います」と自らを語ってみせた。
俳優としては「目標が誰っていうのも特になくて、誰かに寄せるんじゃなくて、自分の道を進んでいきたい」との考えの持ち主で、役柄的には「学園ものでスポーツをやりたい。できれば野球やバスケを」と声を弾ませる。
さらに「もちろん『るろうに剣心』のようなアクションはやってみたい」と目を輝かせると、「今回、青木さんのアクションを間近で見て、けがをしてもおかしくいないようなシーン、たぶん実際にけがもしていると思うのですが、それをスタントなしでこなしていて、尊敬に値します。正直、怖さはあるのですが、いつか自分も、という気持ちになりました」と触発された様子だった。
そんな大西さんには、プロ野球・読売ジャイアンツのファンという一面もある。家族の影響もあって、初めて球場に試合を見に行ったのが「3、4歳の時」という。好きな選手に、2018年まで内野守備のユーティリティープレーヤーとして活躍した寺内崇幸さんの名前を挙げるところからも、“ガチぶり”がうかがえる。
「いま独立リーグで栃木のチーム(栃木ゴールデンブレーブス)の監督をやっていると思うのですが、めっちゃ好きでした。『00』って背番号もかっこ良かったですし、2013年の日本シリーズでマー君(東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手)からホームラン打ったり、大事なところで活躍する印象で、サインボールも家にあります」とうれしそうに話してくれた。
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