岡田准一さんが、司馬遼太郎のベストセラー小説の映画化「燃えよ剣」(原田眞人監督、10月15日公開)で、主人公の「新選組」副長・土方歳三を演じている。岡田さんは土方役について、「いつかやるかもしれない」と直感で感じていたという。そんな土方の役作りへの思い、相手役の柴咲コウさんら共演者について、主演のみならず、土方関連の殺陣も担当した“原田組”の現場について、岡田さんが語った。
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映画は、“史上最強”の剣客集団「新選組」と副長・土方の姿を描く歴史スペクタクル。近藤勇を鈴木亮平さん、沖田総司を「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さん、芹沢鴨を伊藤英明さん、土方とひかれ合うお雪を柴咲さんが演じている。
岡田さんは、自身が進行役を務める、歴史上の人物に焦点を当てた番組「ザ・プロファイラー~夢と野望の人生~」(NHK・BSプレミアム)で、2013年に土方を取り上げた際、「『この役を(今後)やるかもな』と思いました。身長が同じくらいだっただろうということを含めて、直感でした。いつかやるんだったら、10年以内くらいかなと感じました」という。
その直感が当たったことから、「僕自身歴史が好きなので、歴史を調べながら取り組みました。すごく魅力的な役柄でしたし、主演として、土方を通してその時代感を見せていくというのが、すごくやりがいのある役柄だなと。原田監督が僕にご褒美でくださった役だと思うので、感謝しながら味わい尽くさせていただきました」と、役に“没入”して取り組んだ。
土方の役作りについて、岡田さんは「原田監督は、映画の中にその時代(幕末)の空気を作ることを目指していらっしゃる方だと思います。だから僕自身も、あの時代にいそうだなと思われるような役作りができたら、それが僕の中での正解だと思っています」と考えていた。
“敗者”となった土方を演じるに当たって、「(映画は)『男の一生は美しさをつくるものだ』というような、負けるのは分かっているんだけれど、それが美しく見えるような男の生きざまが描かれていると思います。映画の後半、土方はどういう気持ちだったんだろうな、と考えながら演じさせていただきました。土方はとても魅力的な人。人間としての危うさと魅力がある人として、演じ切ろうと思っていました」と振り返る。
映画終盤に登場する、土方が肖像写真を撮影するシーンは、スタッフから「おそれを感じた」「土方っぽくて怖かった」と言われ、「(撮影時に)確かにスタッフさんたちが近づいてきてくれなかったんですよね。ちょっとほったらかしにされました(笑い)」と語る。
「このシーンは、自分も大事にしていた撮影で、気合が入っていたので、そういうふうにスタッフさんたちが感じてくださったのはうれしかったです。洋装の土方歳三というのは皆が知っているから、写真の雰囲気にどうやったら合わせていけるか、この顔にはどうやったらなっていけるのかというのは、役を作っていく上ですごく大事にしました」と力を込める。
互いにひかれ合う、お雪を演じた柴咲さんに対しては、「往年の女優さんとしての在り方を現場で体現されているというか、女優としての力を感じる方でした。柴咲さんは、映画の中で役を生きることができる、人生をそこにもってこられる女優さんだから、すごくナチュラルで、立ち姿もきれい。そんなに会話はしていないのですが、現場ではいつも美しいなと思って見ていました」と語る。
特に、「お雪さんが待っているところに土方が帰ってくるシーンで、お雪さんが青い服を着ていたのですが、それが遠目からでも本当にきれいでした」と印象に残っているという。
近藤勇役の鈴木さんについては、「NHKの大河ドラマ(2018年の『西郷どん』)前後で印象が変わって、自信や覚悟、視野の広さみたいなものが全然変わったように感じました」という印象を持った。
鈴木さんは「西郷隆盛を演じられた後に、すぐ『燃えよ剣』があって、本人も(立場がまったく異なる近藤を演じることに)悩んでいた」という。だが、現場では「鈴木さんが“局長”として、『あいつ、ふてくされてるな』って言いながら隊士たちを救いにいったり、皆でご飯食べにいく時の調整も『僕がやっておきます!』と、率先してやってくださいました」とリーダーシップを発揮し、主役の“副長”を助けてくれたという。
岡田さんは、「『燃えよ剣』は、主演経験者の俳優も多い現場で、自分が役の中でどういうことができるのか、また、自分の芝居だけではなく、現場の作り方も熟練された方たちが集まっていたので、鈴木さんはもちろん、皆さんに助けてもらいました。山田(涼介)君も、僕と鈴木さんに囲まれて、いじられながら、真面目で可愛い“沖田総司”でしたし、そういう3人のバランスもすごく良かったです」と“チーム燃えよ剣”を分析する。
アクションにも精通する岡田さんは、今作では“土方関連の殺陣”も担当した。岡田さんは、「原田監督は、“会話するような殺陣”を撮りたい方なんです。芝居がワンシーンあったら、頭から最後まで続けてほしい、そこにドキュメンタリー性が生まれると信じてらっしゃいます。ドキュメンタリー性と演出を両立させ、混在させた世界を作りたいという志向なので、アクションのためにカットを割ることは、ドキュメンタリー性が薄れるということで、あまりやられないんです」と、監督の意向をくみ取って殺陣シーンを作り上げていった。
結果、殺陣は「作り込んでいても、アクションを会話しているように見せるには、やれることが限られたり、見せ方が変わってくるので、(岡田さんの主演映画でファイトコレオグラファーも担当した)『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』とは真逆の世界になっている」といい、「それぞれのキャラクターが見えないと良くないと思い、殺陣でも登場人物それぞれにキャラ付けをして、刀の構え方から全員につけていきました。基本の構えをあえて崩して、それぞれの個性をどう見いだしていくか、そこからどういう殺陣を作っていくかという作り方をしていきました」と明かす。
「厳しい」といわれる“原田組”については、「最善の映画を作りたいという気持ちを揺るがずに持ち、映画作りをしたいと思ってらっしゃるのが原田監督。だから最善ではないスタッフはいらないし、最善を目指さない役者はいらない。現場も、主演だけではなく、すべての役者に緊張感がずっとありました。そんな監督の一番の理解者でいたいと思っていました」と語る。
前回、岡田さんが原田監督とタッグを組んだ2017年公開の「関ヶ原」の時は、「結構脱落者がいて。僕自身なんとか主演として救えたらと思っていました。自分がもっと動けば、もうちょっと周りを救えたかもしれないと思っていたので、脱落者を減らすことはひそかな課題でした」といい、「今回は、『関ヶ原』よりは脱落者が少なくて良かった」と晴れやかな笑顔で語る。
そして「一緒に乗り越えていける喜びと、緊張感を内包しているのが原田組。だから楽しいんです。映画人としての矜持(きょうじ)というか、誇りを試される現場ですし、“本気”の映画を作りたいんだという監督のもとに集まるので。見てくださる方にも『2時間半、この映画を見る覚悟がありますか?』と問う作品だと思うんです。そのぐらい濃厚で濃密なこだわった映像が描かれるので、皆さんも覚悟をもって見ていただけるとうれしいです」とメッセージを送った。
*司馬遼太郎の「遼」のしんにょうは点二つ。
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