ドラゴンボールDAIMA
第7話 クビワ
11月25日(月)放送分
「イヴの時間」「サカサマのパテマ」などの吉浦康裕監督のオリジナル劇場版アニメ「アイの歌声を聴かせて」が10月29日に公開される。高校を舞台に、見た目は人間そのもののAIの転校生・シオンとクラスメートたちの友情や絆を描くストーリーで、声優の興津和幸さん、小松未可子さん、日野聡さんがシオンのクラスメートを演じる。日野さんらは同作を「未来に対して夢が持てるような作品」と感じているという。3人がそろって行われたというアフレコの様子や、メインキャラクターを演じた土屋太鳳さん、福原遥さん、工藤阿須加さんの演技の印象を聞いた。
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興津さん 僕たちが子供の時に未来だと思っていたものが、今日常になりつつあるんだなと感じました。AIが日常生活に活用されている現代ですが、まだ未完成な部分もあって、その一歩先をこの物語の中で見せてもらえる。時代が変わったというか、新しい時代に今いるんだなと感じました。
小松さん 描かれているのはすぐ先の未来で、「おはよう」と言うと、AIがカーテンを開けてくれたり、その日の気温を教えてくれたりする描写もあるのですが、それは現実でもすでにあるようなものだったりします。そんなリアリティーもありつつ、ファンタジックな部分もあり、学校を舞台にしていてミュージカル要素もあります。吉浦監督も「こんなてんこ盛りな要素で作れるのか。作っちゃいました」とおっしゃっていましたが、見事なエンタメ作品として仕上がっていて。見た後に気持ちよく未来を見据えられるような作品だなと思います。
日野さん シナリオを読んだ後は、すがすがしい幸福感がありました。テクノロジー的な意味でもアナログとデジタルのバランスが非常にすてきで、ファンタジックすぎる未来ではなく、「今後本当にそうなるだろうな」「こうなると良いな~」という未来が描かれています。未来に対して、すごく夢が持てるような作品になっています。今現実では、先々の夢を語りづらい世の中になっていると思うんですけど、この作品を見ていただくと、そういう気持ちがふとこみ上げてくるんじゃないかなと。
小松さん アヤは、最初の登場シーンから周囲を不穏な空気にするようなせりふを言うキャラクターだったので、ちょっと意地悪な子かなと思っていたのですが、吉浦監督に「嫌な子には見せたくない」と言われて。この子には、この子なりの行動の理由があって、根はいい子というのが後半はどんどん明らかになっていくので、嫌な子にしすぎず、いい子にしすぎないというか。「学校の中にこういう子はいるよね」という温度感を気を付けて演じました。
興津さん いや、悪い子ですよ(笑い)。
小松さん そんなことないです!(笑い)。だって、(興津さん演じる)ゴッちゃんと付き合っているんですよ。ゴッちゃんはアヤのいいところを知っているはず。
興津さん ゴッちゃんは、意地悪なことを言っちゃいけないと思っているんですよね。
興津さん おかしな空気が漂っている微妙な関係なので、ゴッちゃんも素直な感情が出せなくて、ストレートにしゃべりたいけど、しゃべれない。「この一言でアヤ、気付いてくれよ。分かってくれよ」という思いを込めながら、ぽつり、ぽつりとせりふを吐きましたね。イケメンだから多弁ではないんです(笑い)。
小松さん 多弁のイケメンもきっといますよ。
日野さん サンダーは、頑張り屋さんですよ。純粋で真っすぐで、マスコット的キャラで可愛くて、ある意味完璧ですよね。完璧なんですけど、本番に弱いんですよ(笑い)。決めなきゃいけないところで決められない。なので、みんながシリアスな雰囲気になっている時でも、彼だけ少し路線がずれているような雰囲気は常に意識していましたね。
日野さん やっぱり一緒に収録できると、バランスが取りやすいですよね。掛け合うことで、みんながどういうキャラ作りをしてきているのかが分かるので、そこでまた微調整できる。
小松さん アヤとゴッちゃんの関係性は、物語の前半戦のキーポイントにもなっています。一緒に収録できて、ゴッちゃんの少し冷めてしまっている感じを直接肌で感じ取れたからこそ作り出せた空気感があると思います。台本でせりふを見てストーリーは分かっていても、キャラクターの温度を持った声を聞かないと、本当のキャッチボールができないというか。この3人は、一緒に録(と)れてよかったですね。
日野さん トウマのぼくとつな感じはすごく難しいと思うのですが、工藤さんは初めてと思えないぐらいすごくお上手で。
小松さん リアルな空気感が出ていました。
興津さん 後半は生き生きとされていて、登場人物の変化がすごく伝わってきました。
小松さん 監督が「何よりキャラクターに合っているかどうか」を大切にされたとおっしゃっていたのですが、まさしくその言葉通りだなって。第一声で「トウマだ」という空気感が伝わってきて。
日野さん 土屋さんもシオンという難しいキャラクターを絶妙なバランスで演じられていて圧巻でしたね。感情を持ったAIとロボット然としているAIとの間を絶妙なバランスで演じられていて。それが話が進むにつれて、感情のほうが上がってきてより人間に近付いていくような、あのお芝居って本当にすごいなと思いました。
小松さん 現実の世界でもAIの音声は結構ナチュラルになってきている中で、それでもどうしても感じるAI感というのがあると思うんですけど、土屋さんが演じるシオンに関しては、それがすごく絶妙。歌もAI然とした部分も持ちつつ、シオンらしさみたいなところもあって、コントラストが素晴らしかったです。
小松さん 福原さんは、声が非常に可愛らしくて柔らかい声質をお持ちだと思うんですけど、サトミの芯の強さや、どこか持っている影の部分を表現されていて。あと、声優経験があるけど、THEアニメ声優というわけでもなくて、ナチュラルさとアニメーションが融合している感じがすごくいいバランスで、「私もそれやりたい!」と(笑い)。
日野さん 我々も最初の頃は、みんなできていたんだよね、ナチュラルなお芝居。経験を多く積むことで、良くも悪くも小慣れてきてしまうというか。順応しすぎてしまうというか。そこをうまく使い分けられたら最高だけどね。
興津さん そうなんです。置いてきちゃった。
小松さん 研ぎ澄まされていってしまうというか、特化していってしまうというか。
興津さん 声優の経験を積むにつれて、「アニメーションを作っているんだ」という気持ちになっちゃいがちなんですよね。これは自分の話ですが、完成形を想像して「ここはこんなシーンになるのかな。だったらこれぐらいのお芝居をしたほうがいいかな」なんておこがましいことを考えがちになってしまう。今回は、監督が「作りたいものを作りたいように作るんだ」という確固たる意志を持って作品作りをされていたので、監督が言うことに対して応えていけばいいんだという安心感がありましたね。
「アイの歌声を聴かせて」は、吉浦監督が原作、脚本を手掛け、「コードギアス 反逆のルルーシュ」などの大河内一楼さんが共同脚本として参加。マンガ「海辺のエトランゼ」などで知られる紀伊カンナさんがキャラクター原案、「コードギアス 亡国のアキト」などの島村秀一さんが総作画監督を務める。「SK∞ エスケーエイト」などの高橋諒さんが音楽、「アイドルマスター」シリーズの松井洋平さんが楽曲の作詞を担当する。「とある魔術の禁書目録」などのJ.C.STAFFが制作する。
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