ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
士郎正宗さんのマンガ「攻殻機動隊」が原作のアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」の劇場版「攻殻機動隊SAC_2045 持続可能戦争」が、11月12日から2週間限定で上映される。「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズの神山健治さんと、「アップルシード」の荒牧伸志さんが監督を務めたアニメで、劇場版は、映画「新聞記者」「ヤクザと家族The Family」などの藤井道人さんが監督を務め、シーズン1の全12話に新たなシーンを加え、再構築する。藤井監督に制作の裏側を聞いた。
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アニメーション作品は初めて手掛けました。お話をもらった時は、アニメ業界の別の監督と間違えて自分のところに連絡がきてしまったのではないかと疑いました(笑い)。それくらいトリッキーなオファーでしたね。視聴者としてもアニメにはあまり触れていないので、自分とアニメとの親和性は全くないと思っていましたし。いただいたオファーには全て目を通して、引き受けるかどうかを自分で決めているのですが、この作品を手掛けることで得るものが大きいのではないかという匂いがしたので、お受けすることにしました。僕自身、実写映画しか知らないし、ほぼ独学でしたし、業界的な正攻法の監督の在り方ではないと思っています。一方で、日本のアニメは世界から見てすごくクオリティーが高いと言われていて、この人たちと仕事をしてみるという点にとても興味を持ちました。結果、すごく面白かったですね。
歴史のある企画ですし、大ベテランのスタッフさんたちが集まって作っている作品に、自分の目線を入れさせてもらう、という仕事だと理解して取り組みました。元々、編集は自分でやっていて、得意ですし好きなんですけど、編集という作業を複眼で行うために今は編集技師を入れています。本作に編集技師として参加してもらった古川(達馬)は「攻殻」の世界観にとても詳しいので、いつもは僕が主眼で技師が複眼なのを、今回は僕が複眼で客観的な視点を担当して、それがとてもうまくいきました。僕がアニメに対して素養がない人間だから、知っている人間だから楽しめる、ではなく、一本の映画として楽しめるかどうかディスカッションするために、古川の存在は助かりましたね。最終的には脚本をバラして書き直したというような編集になっていると感じます。
どんな仕事をする上でも、制限の中の自由ということを大事にしていて、今回は120分という制限を意識して作業しました。編集技師の古川と、まず何も考えずに120分にしてみる、という作業をしてみました。作品を知っている人の脳で見てはダメで、できれば映画館で1900円を払って初めてこの作品を見る人の状態で。そうすると「ん?」というところが出てくるんですけど、映像はそのまま走っていってしまうので、そこを全部チェックしていきました。結局、分からないところは分からなくてよいという解釈になるように、前半は挑発するようにテンポを上げました。「あ、こういう話なんだ」というのは中盤のブレークからにして、そこでじゃあ本題に入ろうと。ポスト・ヒューマンというものがいて、これは人類を脅かす存在で、それを公安9課が捜す話なんだというところを、60分のミッドポイントに持ってきました。例えば往年の「攻殻」ファンであるお父さんが息子さんを誘ってフワッと見に行ったら、何も知らない息子が「めっちゃ面白かったね」という感じを目指しました。
どの作品を手掛ける時も、自分たちの作っているものは時代の映し鏡だと考えています。時代の照射しているものが自分の作りたいものである、と。この作品にも、時代精神という側面があったから、この映画を届けられたと思います。「新聞記者」はすごく堅く、直接的にそれをやっている企画ですが、ほかの映画でも「デイアンドナイト」や「ヤクザと家族The Family」など、オリジナルから生まれたものには共通して時代精神というものを書きこんでいるような気がしています。「攻殻機動隊 SAC_2045」とも、そういう共通項があった。ポスト・ヒューマンという存在や、その人たちがなぜ現れたのか。すごく今の時代に必要なテーマ性があるなと思います。
うまく答えられるか分からないんですけど、素子はやっぱりキレイで、強くて、冷静で。座長という感じですよね。彼女自体の思想というか哲学って、そんなに彼女はしゃべらないじゃないですか。そこが好きですね。ずっと前で、第一線で戦っている感じが。それから、プリン。。新キャラクターですが、ほかのキャラクターにも負けないくらい演じている方のお芝居がすごくて、驚きました。個人的に公安9課で好きなのはイシカワです。
シリーズも劇場版も見てくれた人なら、新たに一本の映画として楽しんでほしいと思います。やっぱり劇場であのアクションシーンを見られるというのは、すごくすてきな体験だと思うので、ぜひアクションシーンを楽しんで見てもらいたいですね。神山・荒牧両監督が盛りこんだテーマというか、ポスト・ヒューマンとの闘いというところに、娯楽性がちゃんとある。エンターテインメントとして楽しんでもらえる。そこですね。
シーズン1の劇場版を担当するということで、シーズン2の映像も途中まで見させていただいたんですけど、めちゃくちゃ面白くて、映画でもシーズン2を楽しみにしていただける内容になっています! もしシーズン2でも劇場版を担当させてもらえるのなら、頑張りたいと思っています。
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