全領域異常解決室
第5話 連続爆破!首都大パニック!千里眼VS爆弾魔
11月6日(水)放送分
「BLアワード2015」で第1位に輝いた凪良ゆうさんのBL小説が原作の連続ドラマ「美しい彼」(MBSほか)。高校から大学と青春期の2人の関係を繊細に描いた本作でダブル主演を務めているのが、俳優の萩原利久さんと、ダンス・ボーカルグループ「FANTASTICS from EXILE TRIBE」の八木勇征さんだ。初共演となった2人に、BL作品への挑戦や思い、それぞれの役作り、俳優としての“現状”について語ってもらった。
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本作では、対極な男子高生2人の、分不相応な恋心をめぐる物語が展開する。萩原さんが、吃音(きつおん)症を持ち、人前で話すことが苦手で、いつも“ぼっち”でクラスのカーストでは最底辺という平良一成を、八木さんが、学校内のカーストではトップだが、クールで人に流されず、周囲をよく観察し、独特の雰囲気とカリスマ性を持つ、平良から「キング」として崇拝される清居奏を演じる。
「タイトルのインパクトが強い作品」という八木さんは、「原作や脚本を読むと、スクールカーストの話から始まり、キングである清居奏と底辺の平良の、うまくいきそうでいかない、ちょっとドギマギする関係、コメディー感ありつつも核心をついたメッセージ性とか、『分かる、分かる』ということがたくさんある」と印象を明かす。
一方、「出演が決まったとき、初めてのテーマだったので、まず自分の中で挑戦だな」という思いが湧いてきたという萩原さんは、「高校生の役は10代の頃からたくさんやらせてもらいましたが、やったことないものというのはどうしても緊張する。どう入っていこうか考えなければいけないし、楽しみと緊張とチャレンジといったいろいろな感情が瞬間的に同時に出てきました」と振り返る。
脚本については、「小説はそれこそ言葉で補足的というか、感情や内面を教えてくれるものが多いですが、今回の作品は台本の中にモノローグがあり、それがちょっと小説チックでもあるのかなって」と切り出し、「平良の場合、発している言葉と思っていることが相反していることが多くて。台本を読んでいて新鮮で面白い。心の中で何を思っているのか書いてあるので、台本の段階でよりリアリティーというか立体的に空間を想像できました」と打ち明ける。
また監督との話し合いでは、「モノローグの部分をコミカルに描いていきたいとおっしゃっていたので、人に対して発するオンの言葉と内面で思っているモノローグの部分、遊びの部分をたくさん使って平良が持つ真っすぐさを表現していきたいと思いました」と役作りの一端を語った。
男性に友情以上の感情を抱くという役どころを演じる2人だが、八木さんは「全然戸惑いはなかった。いろいろな恋愛観があると思うし、今の時代だからこそ徐々に浸透しつつあると思う」といい、「ボーイズラブを扱った海外作品を見て、本当の愛というものは男と女関係なく成り立つものなのだなって感じたことも。『美しい彼』という作品に触れてみて、よりそう思うようになった」と力を込める。
そして、「本当に愛って自由だし、何に対しても形って決まっていないと思うから、そこの自由ってその人次第によっていくらでも変わってくるという気持ちは、(今作と)触れ合っているうちに次第に大きくなっていきました」と真剣な表情で語る。
萩原さんも「このジャンルに偏見はなくて、むしろ世代的に、目にする機会は最近特に多いし、もともとあったもの」とうなずき、「ただ作品として表現する上で、例えば身長が同じになると目線も同じだし、見え方一つとっても今までやったことがないものだった。攻め手がいて受け手がいてといったドラマだからこその“最低限のルール”みたいものがありますし、見ているときは深く考えたことはなかったけど、いざ表現側になると、そういう一つ一つに発見があった」と演じる難しさを口にする。
続けて、「『美しい彼』というタイトルだし、監督もきれいな画(え)を撮りたい、きれいに2人を映していきたいと最初の段階からおっしゃっていたので。そこは監督のイメージするものに何とか自分も乗りたいなと思って取り組みました。そういう面でのやったことのない表現や動きなどに対して、挑戦というか、戸惑いというか、緊張を感じていたかもしれません」と撮影時の心情を告白。
それでも清居と平良の“恋心”に関して、萩原さんは「言葉を発する上では変わらない。そこはやっぱり感情だと思いますし、そこに対しては本を読んでいる段階でも違和感はなかった」と共感を寄せた。
役作りで意識したポイントを聞くと、八木さんは「タイトルにもある通り、どう映れば美しいかなとかも研究し、見え方をすごい気にしました」といい、「あとは生い立ち。清居奏がどこで生まれたかや幼少期をどう過ごしたかということも描写されていて、自分自身と近いものもあり共感できた」と話す。
「清居奏の気持ちを自分に当てはめつつも清居奏になりすぎないようにしてクランクインに臨んだ」とも明かしていて、「あとは何よりキングでも人間というのを感じてもらえるように役作りも含めて、取り組みました」と自身の役作りを説明する。
そんな八木さん演じる清居について萩原さんは、「結構辛辣(しんらつ)です。言葉をぶっ刺しまくってきますね」と笑う。「平良がメンタル、バグってますよね(笑い)。ただ、そういうことを通り越すほど清居に対する好きという感情があるし、言葉をかけてくれることに喜びを感じているかもしれない」と平良の内面を分析。
続けて、「(八木さんが)キングとしていてくれる分、僕自身、平良をやる上でブレない真っすぐで純粋な清居への“忠誠心”というか、負けない純粋さを提示できる。お互いが与えてもらい合いながら演じられ、お互いに絶対外せない部分がちゃんとパチッとはめられていた」と八木さんの“キングぶり”に感謝していた。
近年、話題作や注目作への出演が相次ぎ、重要な役どころを演じる機会も増えてきた萩原さんは、自身の現状について、「もちろんありがたいことですし、出番が増えるというのはシンプルにうれしいこと。自分のアクション一つで物語の行く末が変わるというのはやりがいも感じます。でも根本は変わらないですね」と冷静に語る。
「どの作品もすべてやることは一緒だし、準備する方法も一緒。今作も要素が多かったですが、多いから何かを変えるというわけではなく、やることは一個ずつしかできない。一つずつ地道に、できないところ、分からないところを分かるようにして納得できるようにしていくという作業をするだけです」ときっぱり。その上で、「分量が多いと大変ではありますが、一つ一つやっていくしかないと思いつつ取り組むことが、やっぱり楽しくもある。そういう意味では、難しい分、やりがいを感じているかもしれないですね」と充実感をにじませた。
普段はアーティスト活動がメインの八木さんは、俳優業への挑戦に関して、「役者活動をさせてもらえるのは、もちろんグループ活動がありきのこと」と自覚し、「今作を機にFANTASTICSを知っていただけることはもちろんですが、なにより一人の人間としての表現力の向上が明確に感じられるし、好きなことが増えて好きなことに挑戦できることがありがたい」と笑顔を見せる。
俳優業で得たものは、「きっと歌にも生きてくると思う」といい、「芝居に関しても、利久君とかいろいろなキャストの方々と、いろいろなものが積み重なって織り交ざってシーンができているのも、現場ですごく感じたこと。全員で一つのものを作り上げる素晴らしさは、どこに行っても変わらないと強く思いました。初心に戻れたというか。よりもっと、どんどん新しい自分の引き出しを増やしていきたいなと思います」とさらなる飛躍を誓った。
最後に今後やってみたい役を聞くと、八木さんから「平良です」と思わぬ回答が。萩原さんも「見てみたいな」と目を輝かせ、「僕も(清居として)キャーキャー言われながら歩くシーンもやりたい」とノリノリ。八木さんは「まあ気持ちいいよ。かなうのならば面白い!」とまんざらでもない表情を浮かべていた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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