SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第4話 深海の冒険!迫りくる海底の脅威
11月24日(日)放送分
京都アニメーション(京アニ)の完全オリジナルアニメ「ムント」シリーズのブルーレイディスク(BD)ボックスが、12月22日に発売される。「ムント」シリーズは、「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」「けいおん!」など数多くの名作を生み出してきた京都アニメーションの初となる完全オリジナルアニメで、原点とも呼べる作品。「ムント」の主人公・日高ユメミ役の相沢舞さん、ムント役の小野大輔さんに作品への思い、京都アニメーション作品の魅力を聞いた。
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「ムント」シリーズは、主人公・日高ユメミと異界の王・ムントが出会い、世界の崩壊に立ち向かう姿が描かれたファンタジー。2003年にシリーズ第1章となるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)「MUNTO」、2005年に第2章「MUNTO ~時の壁を越えて~」が発売された。2009年にテレビシリーズ「空を見上げる少女の瞳に映る世界」が放送され、同年、劇場版「天上人とアクト人 最後の戦い」が公開された。
相沢さん 「ムント」シリーズを知らない方に知っていただけるチャンスができて、そんな機会をいただけたことがうれしいなと思っています。
小野さん 当時から音響監督の鶴岡(陽太)さんにもよく聞かされていたのですが、「ムント」シリーズは京都アニメーションさんにとって、とても大切な作品で、京都アニメーションさんの作品が持つ温かい気持ち、熱い魂が全て込められた作品だと思っています。こうやってBDボックスになることで、作品が未来に残っていく。「ムント」を好きな人、京都アニメーションさんを好きな人、全てのアニメファンにとって宝物みたいになったらうれしいなと思います。
小野さん 本当に楽しい思い出しかないですね。相沢さんと、小野イチコ役の堀川(千華)さん、今村スズメ役の今野(宏美)さんという仲良しトリオを演じた3人は、現場でもほんわかしているんですよね。癒やしの空気が漂っているというか。あと、相沢さんがそんなに緊張していないというか、堂々としていたのを思い出しました。
相沢さん 緊張していましたよ(笑い)。
相沢さん そうですね。現場ではユメミって呼ばれていて、堀川さんはイチコモードで話しかけてくれていました。
小野さん 役名で呼ぶって、作品に自分たちが入り込んでいないと起きないことだと思うんですよね。だから、相沢さんはユメミそのものだったんだなと思います。
小野さん 僕はムントになれていたのかと改めて考えると、結構一人で悩んでいたなと。主人公はユメミなんですけど、当時の座組みやキャリア、年齢的にも自分が座長として引っ張っていかなきゃいけない、大きな背中を見せなければいけないという思いがあって、気張っていました。相沢さんにもいいアドバイスしなきゃと思っていたけど、なんら必要なかったです(笑い)。
相沢さん 当時、一緒に受けたインタビューを見ると分かるんですけど、小野さんがユメミの話もしてくださっているんです。私が取材に慣れていなかったので。
小野さん 当時は、本当に相沢さんが立派だなと思って見ていたんです。それに対して僕は、音響監督の鶴岡さんに「王としてもっと立派に」と言われていました。今考えたら、僕とムントはリンクしていたんです。ムントはずっと一人で頑張っていて、ある時、人と人との関わり合いの中で生まれる絆という大きな力に気付く。自分もムントだったなと思います。当時は同い年の共演者が多くて、白石稔君や高橋伸也君と男子校のノリで過ごしていて、仲良くけんかしたり、いじり合ったり。それもよかったんだなと思います。ずっと笑っていた記憶があるし、優しい現場でした。
相沢さん ユメミの「やなこった」というせりふですね。
相沢さん 最初に台本を読んだ時も、結構シリアスなシーンで急に「やなこった」という独特なせりふが出てきたのでびっくりしちゃって。なんだろうこれは?と。もしかしたら本番ではせりふが変わるんじゃないかと思って、木上(益治)監督に聞いたら「これはこれで」と。
相沢さん その一言にすごく悩んでしまって、切羽詰まって出てきちゃった言葉なのか、考えれば考えるほど分からなくなって、その状態のままアフレコを終えたんです。
小野さん そうだったんだ。当時は全部を消化したわけじゃなくて、「こういう言い方もあるんだ」と迷いもありながら、声にしてみたってことだよね?
相沢さん そうですね。
小野さん だから、ああいう独特の言い回しなんだと、今分かりました。「やなこった」ってすごく印象に残るんですよね。
相沢さん アニメのラジオでも何回も言っていましたし、代表的なせりふのようになりました。あれから十数年たってみると、木上監督が生きてきた時代、見てきた作品の中では「やなこった」が普通に出てくるのかなと思って。もしかしたら監督が好きなキャラクターのせりふだったのかもしれないと勝手に想像してみたり。作品全体を通して見ると、言いたかったせりふなのかなとも思うんです。いろいろな思いや意図が込められて、あそこに「やなこった」があるんじゃないかなと。
小野さん 多分、とっさに出た言葉なんだろうね。よく知らない人が手を伸ばしてきて「一緒に来い」って言われたらパニックになるだろうし、それを拒絶するには言葉を選んでいる場合じゃなかった。相沢さんの「やなこった」には、そのとっさに出ちゃった感じがすごく表れていた。だから、悩んだままでやったのがよかったんでしょうね。
相沢さん 子供の頃にテレビの前に座ってアニメを見ていたような真っさらな感覚で見ていただけると、初めて見たとしても「うわ、懐かしい!」という気持ちになれると思います。長い時間をかけた作品なので、テレビシリーズの中でも作画がどんどん変わっていきます。それが京都アニメーションさんの歴史を見るような感じで、変化も楽しんでいただけると思います。
小野さん 「ムント」は、京都アニメーションさんが歩んできた道、そこで培われた技術、表現方法、それに京都アニメーションが持っている魂みたいなものが込められている作品だと思うんです。まずは先入観は持たずに見ていただいて、その後で別の京都アニメーションの作品を見ると、また何か新しい感動が生まれると思うんですよね。僕は、京都アニメーションさんの髪の毛の表現がすごく好きなのですが、ユメミの見せ場のシーンになると、すごく髪がなびく表現がきれいなんです。京都アニメーションさんを感じてください。
相沢さん まず現場が楽しい。「らき☆すた」も「日常」も、本当に自由にアドリブを入れさせていただいて、すごくおおらかだなと思います。
小野さん 「ハルヒ」の時も杉田(智和)君(キョン役)、すごくアドリブやっていたもん。僕がアドリブやったら却下されるんだけど(笑い)。
相沢さん スタッフの皆さんがすごく優しいんですよね。愛がすごくある。
小野さん 京アニさんのおおらかさ、優しさって、作品全体にもその空気が流れているんですよね。アフレコをする時のV(VTR)にも優しさが表れていて、僕が初めて京アニ作品に関わった「AIR」では、アフレコの時点で全部映像ができていました。ほかの作品で、映像ができていなかったとしても、キャラクターが今どんな表情をしているか、どんな体勢か、どんな距離感でしゃべっているのか全部分かる。どれだけ恵まれているんだろうと、アフレコの時に感動するんですよ。
小野さん ムントが慟哭(どうこく)するシーンがあったのですが、どれだけの空気が肺に入っていて、どれほど叫んだのか、絵で全部分かって、ゾクッと鳥肌が立ちました。京アニ作品は、どの作品を見ても、ちゃんと息をしているのが、すごいなと思います。
BDボックスは、テレビアニメ「空を見上げる少女の瞳に映る世界」(全9話)、劇場版「天上人とアクト人 最後の戦い」、声優陣によるウェブラジオセレクションなどを収録した3枚組み。価格は3万800円。
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