名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々(あくたみ・げげ)さんのマンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の劇場版「劇場版 呪術廻戦 0」(朴性厚監督)が、2021年12月24日に公開され、話題を集めている。同作で、主人公の乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)を演じるのが、声優の緒方恵美さんだ。緒方さんは、多くの作品で魅力的なキャラクターを演じてきた人気声優だが、「皆さんの力を借りてキャラクターを作り上げることができたことが、新しい扉だったと思います」と話す。乙骨憂太というキャラクターをつかむことに苦労したという緒方さんに収録の様子、作品への思いを聞いた。
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「呪術廻戦」は2018年から「週刊少年ジャンプ」で連載中。強力な“特級呪物”の封印が解かれたことで、高校生の虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)が呪いを巡る戦いの世界に身を投じることになる……というストーリー。テレビアニメが2020年10月~2021年3月に放送された。
劇場版は、「呪術廻戦」の前日譚(たん)にあたるコミックス「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」、通称“0巻”が原作。虎杖悠仁たちの1学年先輩の世代が登場するエピソードで、幼少期に事故死し怨霊(おんりょう)となった幼なじみ・祈本里香の呪いに苦しみ、自身の死を望む高校生・乙骨憂太が、五条悟によって呪術高専に迎え入れられる。一方、乙骨たちの前にかつて一般人を大量虐殺し、高専を追放された最悪の呪詛師・夏油傑(げとう・すぐる)が現れる。
緒方さんは原作を読み、「作品は文句なくとても面白い。0巻に関しては、自分が出ていなくても映画になったら観(み)に行きたいと思うような作品でした」と感じたという。自身が演じる乙骨については「ぽんこつで優しい」と魅力を表現し、「戦うため、生きるための原動力が優しさなのではないかと思います」と語る。
乙骨は、怨霊と化した里香が原因で自身の死を望んでいたが、呪術高専に編入し、仲間たちと出会うことで生きる力を得ていく。そして、里香の呪いを解く決意をする。劇中での乙骨の成長はすさまじいものがある。夏油と対峙(たいじ)する乙骨は、呪術高専に入学した頃とは別人のようにすら映る。緒方さんは乙骨の成長を表現する上で「まずベースを探る作業が大変でした」と振り返る。
「成長で変化はしていくのだと思いますが、言動がちょっとずつ変わってきて、最後には夏油さんに『女誑(たら)しめ!!』と言われるような言葉が素で出てくる人間になっていなければいけない。成長したとしても、その素地がないと、あの言葉は出てこないので、彼の人間としてのベースがどこにあるのかをまずつかまなければいけないんです。そうでないと、成長の仕方も変わってきてしまうし、整合性が取れなくなってしまうと思ったので、彼のベースを探る作業がとても大変でした」
乙骨のベースを探る作業は「想像」するところから始まったという。
「0巻は、乙骨が最初から里香に取り憑(つ)かれていて、尋常じゃない状態でスタートするので、その前がどうだったのかという素の彼についてほとんど描かれていない。それを想像するしかないというところから始まりました。監督や音響監督、メインスタッフの方々と収録前にいろいろ話し合い、その上で、後は実際にやってみるしかないということになったので、一つ一つ探りながら収録を進めていきました」
緒方さんは、「周りの役者さんの芝居から出るもの」「絵の情報として流れてくるもの」を受け取ることを大事にし、監督、音響監督とのやり取り、ほかのキャストとの掛け合いの中で乙骨というキャラクターを少しずつつかんでいった。その作業は自身にとって「財産になった」と感じているという。
「役のつかみ方といいますか。私は、内面的にはまだまだともちろん思っていますが、声優としてそれなりのキャリアになっているので、演じる役の芯をきちんとつかんでいれば、アフレコの現場であまり演技について言われることがないような状態でもはや来てしまっていました。でも、乙骨のように分かりにくいキャラクターに対して『じゃあ、どうするか』という時にベースを探り、一から作っていくことになって、いろいろな方のお力をお借りして、やっと作ることができた。だから、改めて、自分一人である程度つかめばできるというようなものでは全然なく、本当にたくさんの人の力を借りないと、やっぱりできないことがあると自分を戒める機会になりましたし、そのおかげで超えられた部分がたくさんありました。それはすごく財産になっていて、感謝しています」
緒方さんは「改めて感じたことではあるのですが、皆さんの力を借りてキャラクターを作り上げることができたということが、新しい扉だったと思います」と思いを語る。緒方さんが演じる乙骨の言葉の一つ一つには、心を揺り動かされるようなパワーがある。緒方さん、キャスト、スタッフ全員で作り上げたという乙骨憂太という存在を劇場で感じたい。
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