ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
段ボール工作を発表している工作クリエーターのつくるさんのYouTubeチャンネルが人気を集めている。つくるさんはアニメやマンガ、ゲームなどの武器を段ボールで再現。段ボールだからと侮るなかれ。ディテールにこだわった造形、変形や発射などのギミックなど、これが段ボールなのか!?と驚きのクオリティーの作品を続々と発表。作品を発表する度にSNSでは「すごすぎる!」「天才」などと絶賛の声があふれるほどだ。集英社のマンガ誌「週刊少年ジャンプ」「Vジャンプ」などの情報を発信するウェブサイト「Vジャンプレイβ」で連載「つくるさん ジャンプの武器を再現」を持つなど“公式化”したことも話題になっている。ハイクオリティーな段ボール工作はいかにして生まれるのか? つくるさんを直撃し、“職人技”に迫った。
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つくるさんのYouTubeチャンネルでは、展開ギミックを備える「遊☆戯☆王」のデュエルディスク、光る「ワールドトリガー」の弧月、抜刀できる「鬼滅の刃」の日輪刀など、段ボールで作ったとは思えない作品の数々を公開している。型紙も公開しており、時間や気合は必要にはなるが、やろうと思えばまねもできてしまう。そもそも、なぜ段ボールで工作しようとしたのだろうか?
「YouTubeのチャンネルを作ったのが2017年で、同じ頃に段ボールで工作を始めました。当時、会社勤めをしていて、倉庫に廃棄する段ボールがあり、それを持って帰って、息子のためにショベルカーを作ったら、喜んでもらえたんですん。これを発信したら面白いかな?と考えたのがきっかけです。最初の頃は、子供向けに簡単なものを作っていたのですが、鳴かず飛ばずで、『モンスターハンター』の武器を作ってみたところ、国内外から大きな反響があり、今の方針になりました」
造形の細かさ、ギミックなどクオリティーの高さに驚かされる。つくるさんは、美術関係の勉強や仕事をしていたわけでもないというから、さらに驚きだ。
「全くそういう経験はないです。製菓の専門学校を出て。ケーキ屋で働いた後は商社で営業をしていました。子供の頃も工作をしていたわけではく、手先は不器用な方です。パソコンで設計をして、レーザーカッターで段ボールを切り出しています。組み立てるのは手作業になります。レーザーカッターを導入したのがチャンネルを初めて1年くらいで、それまでは頑張って手でやっていました。手だと切り出すだけで1、2週間かかってしまうんです。レーザーカッターを導入してから効率がよくなりました」
緻密な設計が作品のキモになっているようだが……。
「学校で設計を勉強したこともありません。独学です。セミナーなどに通って勉強しました。まだまだ勉強中です。一番時間がかかるのが設計ですね。ものによりけりなのですが、シンプルな真っすぐな剣でしたら半日くらいでできます。ギミックがあるものは数日かかることもあります。設計図では動いても、実際にうまく動かないこともあるので、試行錯誤が必要になります。人間よりも大きいものは試作に時間がかかりますし、撮影も大変です。画角に収まらないので。ただ、物理法則にのっとっていれば、基本的に何でもできるはずです。空中に浮くとか物理法則を無視したものでなければ」
段ボールだけど本格的なところが大きな魅力になっている。身近にあるものが、作品になるという驚きもある。
「段ボールは、軽くて丈夫なのがいいところ。『アルミや鉄、プラスチック、木で作ってみては?』という声もありますが、マンガやアニメの武器は大きいですし、ほかの素材では重くなってしまいます。段ボールだからできるんです。『これが段ボール!?』という意外性もありますし」
これまで作ってきた作品は100点以上にもおよぶが、全てを保管しているわけではない。
「置き場所がないので廃棄しています。もったいないんですけどね。基本的に再現性があるものしか作っていないんです。頑張ればまねできるものを作っているので。100円ショップやホームセンターで手に入る材料を使っていますし、不器用でも作ることができるはずです。自分も不器用なので。まねをしてくださる方がいるとうれしいですね。国内外から『作りました!』という声をいただいて、本当にありがたいです」
つくるさんが大切にしているのは「作品の世界観を壊さないこと」だ。愛を持って作品に向かい合っている。
「その作品が好きかどうかを一番大切にしています。やっていることは2次創作なんです。作らせていただいている立場なので、リスペクトがないといけない。流行しているからやりました……というのは好きではありません。好きという気持ちがないと、にわか仕込みに見えてしまいますし。僕が好きなものを作っています。『作ってください』と依頼された場合も作品を全部読んで、どういう背景なのかを研究してから作るようにしています。そこは譲れないところです」
実在しないものを立体化しよとする中で、作品を読み込み、研究する中で見えてくるものもある。
「二次元のものは、平面で見せることに最適化しています。三次元にすると違和感がある場合もあります。そこをいかにリアルにするかにやりがいを感じます。この世界で、この武器はどうやって作られているのか?と考えています。観察して、部品に分割していると、作者の方はこういうことを考えていたのかな?と発見もあるんです。考えている時が楽しいですね」
つくるさんの工作は、作品への愛にあふれている。「Vジャンプレイβ」の連載では、ジャンプ作品の武器を再現しながら、愛を注ぎ込んでいる。
「子供の頃から『ジャンプ』を読んでいますし、やりがいを感じています。公式のコンテンツにしていただけるとは思っていなかったので、アドレナリンが出ますね(笑い)。うれしかったのが、『るろうに剣心』の和月伸宏先生からメッセージをいただいたこと。ジャンフェス(ジャンプのイベントのジャンプフェスタ)で、『ダイの大冒険』の三条陸先生が武器を持ってポーズを取っていただいた時は、涙腺が緩みました。こんなにいい思いをしていいのか!という気持ちです。ありがとうございます! ただ、プレッシャーもあります。安全性に気をつけて、より多くの人に楽しんでいただけるようにしていきたいです」
「作りたいものは山ほどあって、時間が足りない状況です。やればやるほどできることが増えてくるし、課題も見つかります。ぜいたくを言うなら、またイベントなどで使っていただけるとうれしいです」と語るつくるさん。これからもハイクオリティーな段ボール工作で驚かせてくれそうだ。
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