松尾スズキ:生田絵梨花&天海祐希ら出演のWOWOWコントドラマ第2弾 放送・配信前に魅力語る

「松尾スズキと30分の女優2」に出演する生田絵梨花さん(中央)=WOWOW提供
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「松尾スズキと30分の女優2」に出演する生田絵梨花さん(中央)=WOWOW提供

 劇作家で演出家の松尾スズキさんが、毎回女優一人と組んで繰り広げるWOWOWオリジナルコントドラマの第2弾「松尾スズキと30分の女優2」。各話30分のオムニバスコントドラマで、今回は生田絵梨花さん、松本穂香さん、松雪泰子さん、天海祐希さんが登場する。3月13日の初回放送・配信を前に、松尾さんがそれぞれの女優の魅力や番組の魅力を語った。

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 --まずは、第1弾の放送をご覧になった感想からお願いします。

 スタッフが頑張ってくれて映像的にも質の高いコント番組になりましたね。「ゴッドファーザー」のパロディーなんて、照明がすごくかっこよくて、その効果で僕が意外とマーロン・ブランドに似てくるという(笑い)。そういう世界観の構築はうまくいったなと思います。

 --こういう作り込まれたコントはあまり見たことがないなと感じました。

 いわゆるバラエティー番組のコントじゃない、作品としてのコントが作りたかったんですよね。カメラがあらゆる方向から入って、作り手の色がちゃんと見える番組というか。現場でスタッフが誰も笑ってくれないつらさもありましたけど。

 --第2弾にもそうそうたる女優陣が出演されますが、それぞれの起用理由と見どころを教えてください。まずは第1話の生田絵梨花さんから。

 生田さんは「キレイ-神様と待ち合わせした女-」(松尾さんが作・演出を手掛けたミュージカル。生田さんは2019年の公演で主演を務めた)でご一緒したんですけど、現場で僕がポンポン出すアイデアに飛びついて、ものにするスピードがすごく早いんですよね。そこにちゅうちょがない。バラエティー番組とかで鍛えられてきたんだろうなっていう。本当の芸人がすぐ横にいて、彼らのすごみっていうのをきっと知っているから、笑いのできる人が場を制圧するっていうヒエラルキーはどこか感じているとは思うんですよね。そういう世界で育って、歌はうまいし、踊りも踊れるっていう、かなりのポテンシャルを持った女優さんだなって。

 --そんな生田さんのポテンシャルを一番感じたシーンはどこですか?

 「音楽祭」のコントで、生田さんは、あの歌のうまさをあんなくだらない歌詞の中でも発揮できるのはすごいですよね。笑いに対してのハードルがなくて、どこまでも許容してくれるから、こっちもどこまでも求めてしまって、撮り終えた後で事務所にこっぴどく怒られるんじゃないかって心配とのせめぎあいです(笑い)。

 --第2話の松本穂香さんは松尾作品初挑戦ですね。

 実は松本さんのドラマや映画を拝見したことはなかったんですけど、CMで見る感じとか、YouTubeで芸人さんとコラボしたり、一人語りのコントをやったりするのを目にする機会があって。あと、雑誌でコラムを連載されてるんですけど、映画に対する感想がすごく的確で、頭のいい人なんだろうなっていう思いがあって。それで今回、一か八かのチャレンジでオファーしてみました。

 --実際に撮影してみていかがでしたか?

 すごかったです、彼女の笑いに対する針の振り切り方は。普段はテンションが低い方なんですけど、よーいスタートでパーンと一気に笑いのテンションに変わるんですよね。本編にはあんまり入れられなかったんですが、タイトルコールでくだらないことを言うっていうのを実は10本以上撮っていて。それは一つ一つ違うテンションでやらなきゃいけないんだけど、見事に全部一発でクリアしたんです。底知れない恐ろしさを持ってるなって。それでいて、あんなに透明感もあるのが、くだらなさを増幅させる。シリアスなことだけやらせとくのは非常にもったいない人ですね。

 --第3話の松雪泰子さんは松尾作品の常連とも言えます。

 松雪さんは「キャバレー」(2007年)や「キレイ-神様と待ち合わせした女-」(2014年)など僕の作品にも出てもらっているし、僕の作る世界観をすごく理解してくれていて。それに、笑いに対する理解度も非常に高いんですよね。

 --今回のコントも気負いなくフラットに取り組んでいらっしゃるように見えました。

 コントの経験を伺ったら、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)の初期メンバーだったっておっしゃっていて(1991~92年に出演)。やっぱり、ああいう人たちを目の当たりにしてきたっていうのは大きいことなんだなって思いますね。松雪さんには長尺のコントを3本やってもらったんですが、どれもハマり役でした。

 --「寒くはないとよ」というコントで演じた、でたらめな九州弁を話す居酒屋の女将(おかみ)も最高でした。

 あれだけで1時間半撮りたいですもん(笑い)。あの九州弁がたまらないですよね。普通なら「これは本当はなんて言ってるんですか?」とかって聞くと思うんですけど、すぐにこちらの意図を理解してくれて、何にも聞かずにやってくれて。さすがですよね。

 --第4話には天海祐希さんが登場します。

 天海さんとは20年以上前に「パンドラの鐘」(1999年)っていう野田(秀樹)さんの舞台でご一緒していたんですけど、数年前に映画「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(2017年)で久しぶりにご一緒して。「天海さんってワンシーンの役でも出るんですね」って言ったら、「出ますよそんなの、松尾さんの作品でも使ってくださいよ」っておっしゃったのを根強く覚えてまして。「絶対ですよ!」って念押しして(笑い)。そうしたら、すごいお忙しい中だったのに出てくださいました。

 --喜々として演じていらっしゃるのが画面からも伝わってきました。

 いろいろなパターンのかっこいい天海さんを見ることができますよね。「かっこよくだらない」っていう。天海さんはコメディーに対する姿勢がちゃんとしてるっていうか、スタイルがあるなって思うし、でも逆にそれを崩すこともいとわない、何でも言うこと聞きますよっていう感じで現場に来てくれるんです。それにちょっと現場が停滞してると、みんなに檄(げき)を飛ばしてくれたりして。僕より座長感がありました。

 --「スニーキー狩り」というコントでの天海さんの軍服姿にはキュンとしました。

 あれはシーズン2の締めを飾るにふさわしい、いろんな要素を入れ込んだコントになりました。「進撃の巨人」ファンにもウケるんじゃないかなって(笑い)。見たことはないんですけど。

 --今回、松尾さんご自身もいろいろなキャラクターを演じられていましたが、お気に入りのキャラクターはいますか?

 「スニーキー狩り」で演じたバルマンは、声優の声でしゃべる実写の俳優っていう新しいジャンルを切り開きましたね(笑い)。あと、ショーンKさんと高倉健さんを意識したキャラクターもやったんですけど、それもちょっと道を切り開いた感がありました。還暦間近になって、開けたことのないドアが次々と開いていくっていう不思議な現象が起こってます。

 --松尾さんにとっても新たな挑戦となった今作ですが、改めて見どころを教えてください。

 コントごとにオリジナリティーのある世界観が作られていて、その世界観を完璧に理解した女優さんが見事に演じてくれているところですね。しかも、それが1本に一つじゃなくて、1本の中でいくつも見ることができる。そこがやっぱり、他にはないコント番組だなって。WOWOWっていう枠にとらわれず、英訳して世界の人に見てもらいたいです(笑い)。そうしたら、天海さんにハリウッドから声がかかるんじゃないかなって。天海さんが日本のシガニー・ウィーバーと言われる日も近いですよ(笑い)。

 「松尾スズキと30分の女優2」は、3月13日午後11時からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。全4話。

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