テレビアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ(G-レコ)」の劇場版「Gのレコンギスタ」(富野由悠季総監督)の第4部「激闘に叫ぶ愛」のスタッフトーク付き上映会第1弾が8月3日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で開催され、ディスプレ-デザインの青木隆さん、仲寿和プロデューサーが登場。ディスプレーデザインの裏話を語った。
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青木さんは「機動戦士ガンダムUC」「機動戦士ガンダム サンダーボルト」「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のほか、「宇宙戦艦ヤマト2199」「蒼穹のファフナー」などに参加し、劇中に登場するディスプレー関連のデザインを担当してきた。青木さんによると「『G-レコ』は、四角いディスプレーがほとんどなくて、特殊に張り込むものが多かった」という。
劇中のディスプレーに表示される文字のフォント、アルファベットや記号などをデザインが紹介され、青木さんは「アルファベット読みしやすいものと、それっぽく見えるデザインのものを2種類用意して、本編内のモニターで使っていました。あんまりモニターで読ませる演出をするのが少ないということだったので、それっぽく見せるためにこういうデザインにしました」「このフォント名を“ニュータイプ”と命名して、フォントデータとして使っていました。フォントを切り替えるとちゃんと使えるようになっています」と説明した。
キャピタル・タワーに配置され、人々や物資を載せて往復するクラウンの運転席のディスプレーとタッチパネルのデザインも紹介。壁に張られていたザンクト・ポルトの路線図などもデザインしたといい「路線図は、最初はシンプルめに一直線だろうと思って作ったら、144個のナットがあるんだ、と言われて、路線を増やしました。路線図には序盤に登場するナットの名前とかも入っています」と話した。
G-セルフのコックピット内のコンソールパネルのデザインについては「いろいろなガンダムの中でも、一番特殊な形をしていると思います。最近だと『閃光のハサウェイ』などはコックピット内も3Dで作って、コンパネもCGでやっているんですが、それに3Dを張り込むとやりやすいんですよね。でも、『G-レコ』は全部作画なので。G-セルフは作画さんのカットによって形がすごく変わってしまう。僕はこの素材を出せば作業としては終わりなのですが、撮影スタッフの方々は形状を合わせるのに相当苦労されたと思います」と語った。
「G-レコ」のテレビシリーズの時のディスプレーなどを使用したのは、全26話で約360カットになったといい、「富野監督の演出方法で、話す時はモニター映像を使わないで、カットインで話して、戦況説明はせりふでしてしまうので。ほかの作品だと状況説明はモニターを使ったり、通信カットを使うので、平均すると少ないんですが、タイトな中でやっていたので大変でしたね」と振り返った。
キャピタル・アーミィやアメリアなどの各陣営のコンパネのデザインを紹介し「モビルスーツは入れ替わってどんどん出てくるので、外観的には敵か味方か分かりづらいところがあるので、コックピットの内装と表示で陣営の差別化をしようとしています。でも、クリムもマスクもあんまりコンソールを操作したりしないで、フィーリングで操縦して、せりふを叫んでいる感じなので、一応作ってあったよ、という感じです」と話した。
裏話として、テレビシリーズの第4話でG-セルフのモニターに武装管制表示が現れる中に「ガンダムハンマー」が描かれていることも明かされた。「メインはコア・ファイターの位置を調べるためのものだったんですが、演出の吉沢俊一さんのメモで“ハンマー”って書いてあって。序盤の話でハンマーは使わないけど、入れていいのかと確認したら“入れちゃおう”と。既成事実として入れちゃったら後半で富野さんが拾ってくれるかもしれないと、打ち合わせの場では言っていたんです。小さいメモで渡されたお遊び程度のものですが、画面にはしっかりとモデリングをしてハンマーを入れていたんです。ただ残念ながら、テレビシリーズの本編では拾われずじまいでした。いつかゲームとかで出たりするかもしれないですね」と語った。
「G-レコ」は、「機動戦士ガンダム」誕生35周年記念作品の一つとしてテレビアニメ版が2014年10月~2015年3月に放送。地球のエネルギー源を宇宙からもたらすキャピタル・タワーを守るキャピタル・ガード候補生のベルリ・ゼナムの冒険を描いた。劇場版は、テレビアニメ全26話に新たなカットを追加。全5部作として上映される。第4部が公開中で、完結編となる第5部「死線を越えて」が8月5日に公開される。
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