M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
1990年代に、全国ネットも含めて10本以上のレギュラー番組を持ち、現在は関西ローカルの「HITMON!!」(カンテレ 木曜深夜1時20分、10月からは月曜深夜1時25分)など関西を拠点に活動を続けるお笑いタレントの森脇健児さん。半年に1度の晴れ舞台だというTBS系特番「オールスター感謝祭」(10月1日午後6時半)の「赤坂5丁目ミニマラソン(赤坂マラソン)」に毎回全力で臨み、スポーツも仕事も“フルスイング”と“生涯現役”にこだわる森脇さんに、転機となった2008年スタートの番組「走る男シリーズ」(KBS京都)以降の仕事に懸ける思いや生き方について聞いた。
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高校時代は陸上部で活躍し、人気絶頂のころもボクシングジムに通いつめてプロライセンスを取得するなど、体育会系気質の森脇さん。再ブレークのきっかけとなったのも、北海道から沖縄まで完走する地元KBS京都のドキュメンタリーバラエティー「走る男」シリーズ(2008~14年)と、2003年から毎年出場している「赤坂マラソン」という、二つのランニング企画だった。
“マラソンタレント”といわれても、ホノルルマラソンなどの有名なフルマラソンの大会には目もくれず、「目標は赤坂マラソンの表彰台だけ」と言い切る森脇さん。赤坂マラソンには2003年秋に初出場で初優勝し、50歳を迎えた直後の2017年春に、13年半ぶり2度目の優勝を果たした。その2年後の2019年春に3度目の優勝。今回も7月1日から準備を開始し、55歳ながら本気で優勝を狙いにいくという。
7月中旬に実施したこのインタビューでも、オファー前ながらも、「今年も(オファーが)来るだろうと思って、すでに引くぐらい練習してますよ。昨日は500メートルダッシュ、300メートルダッシュ、100メートルダッシュをジョッグ(軽い走り)でつなぐというのを、3セットやりました」と誇らしげに語り、「東京からまた新しい仕事が来るようになったのは、やっぱり『赤坂マラソン』が原点だし、この表彰台に立つのが、一番カッコいいと思っています」と気合がみなぎっている。
森脇さんは、ここまで「走る男」キャラが受けた理由について、お笑いコンビ「ダイノジ」の大谷ノブ彦から「あれは壮大なボケですよ」と言われたことに「なるほど!」と思ったという。
「大谷君に『赤坂マラソン、真剣にやってるでしょ?』と聞かれて、『おお、優勝狙ってんねん』って答えたら、『それがボケなんです。一コーナーのマラソンに、その都度命を懸けてやっている人って、そんなにいませんよ。だからみんなが面白がるんです』と言われました」と明かす。「僕が真剣に走るというボケをやって、周りがツッコミを入れる。それを期待されてるってことなんですよね」と納得したように語る。
自身の経験を踏まえて、若手のタレントたちには「ランニングをやっといたら、仕事は増えないかも分からんけど、減らへんで」とアドバイスを送る。実際に小島よしおさんら後輩たちが、続々とマラソンの世界に飛び込んでいる。また、一般に向けたスポーツ啓蒙(けいもう)イベントの仕事も、芸能活動と同様に重視しているという。
「10年ぐらい前から、小学生向けのかけっこ教室をやってます。しゃべれる、盛り上げる、でも絶対足を速くさせると。かなり好評だったんですけど、今はコロナで全部中止になって……。落ち着いたら、また再開したい」と前を向く。「これからは高齢化社会になっていくから、今後はウオーキングのイベントもどんどん増やしたいですね。走るのは無理でも、歩く人は結構いるし、陸上競技は歩きがきっちりできないとダメだから」と将来を見据えていた。
今年2月で55歳となり、“アラウンド還暦(アラ還)”になった森脇さんだが「気持ちは17歳のまま」だと言い切る。芸能活動もスポーツも、“生涯現役”にこだわっている。
「スケジュール帳に『今日は○○の仕事』って書くのがすごくうれしいし、一本一本の仕事を大事にしたい。その気持ちは、17歳で初めて仕事をもらったころとまったく変わらない。今さら『東京で天下を取ったる!』なんて夢は見ないけど(笑い)、どんなに小さな仕事であろうと、このまま芸能の世界で生きていきたいという思いは、ずっと変わらないでしょう」と真剣なまなざしで語る。
どんな仕事も、赤坂マラソンと同じく「とにかくフルスイング」を目標に掲げている。また、最近読んだ本に「50歳を過ぎたら、3年単位で生きなさい」と書いてあったことも、今後の生き方に影響を受けたという。
「僕は今55歳だから、58歳で死んでも後悔がないように生きなきゃなあ……と思って、最近は本当に『すべてにフルスイングしたろう!』と考えるようになりました。この年になっても、当てに行くのなんかおもろないですし。三振するかもしれないけど、ホームランを打てるかも分からへんし、周りには『三振しても、ええ音してますな』って言ってくれる若い子もいますからね」と笑顔で語る。
続けて「赤坂マラソンで走るのは、やっぱり体の細胞がバーっと燃えて、いまだに『青春やってるなあ』と思うんです。こんなに幸せなステージはないから、何年たっても還暦になっても優勝を狙いたい!」と、改めて「生涯現役・生涯青春」の気概を見せた。
最近は、最新のドラマ情報から街のイベントまで、関西の旬の話題を幅広く提供する情報番組「HITMON!!」に出演している影響で、これまで自身には縁のなかったジャンルの催しにも、足を運ぶようになったという。
「あの番組がよくできてるのは、商品とか役者さんとか、いろんな『旬』が分かること。年を取ると、情報を遮断してしまう部分もあるので、最新の情報が向こうから入ってくるのがうれしい」と楽しそうに語り、「この前は恐竜展を見に行ったし、梅田スカイビルの絹谷幸二さんの展覧会にも行きました。普段は展覧会などにはなかなか行かないけれど、勉強にもネタにもなるから面白いですね」と、番組を足がかりに自身の視野が広がっていることを喜んだ。
(取材・文:吉永美和子)
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