新海誠監督が手がけた新作劇場版アニメ「すずめの戸締まり」が11月11日に公開される。本作で、“災い”のもととなる扉を閉める旅に出るヒロイン・岩戸鈴芽(すずめ)の声優を務めたのが、女優の原菜乃華さんだ。原さんは新海監督作品に初出演。アフレコを振り返り、「幸せでぜいたくすぎるような時間でした」とかみ締める。声優初挑戦への思いや、役へのアプローチに迫ると共に、19歳の素顔をのぞいた。
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原さんは参加者が1700人を超えるオーディションを勝ち抜き、今回のヒロインの座を射止めた。「サプライズで合格発表だったのですが、最初は何が起きたのか実感がなく、そのあと一瞬うれしい気持ちになりましたが、またすぐにとんでもないことが起きてしまったとプレッシャーを感じたり、どうにもならない不安が大きくなっていきました」と振り返る。
作品に入る際は「何かをしていないと不安で、いろいろ準備しておきたいタイプ」だというが、「アニメーションに関しては右も左も分からないですし、プロの方に身を委ねるのが一番かもしれないと思いました。固めすぎて柔軟に対応できなくなるのも怖かったので、演技についてはあまり作り込みすぎずに、技術的な面で練習できることだけ準備しました」と語る。
そうして臨んだアフレコでは、アクションシーンに苦戦。そこで、音の出ない範囲で劇中の動きをまねてみることにした。「なるべく心拍数を上げたかったので、その場で駆け足をしてから収録したり、鍵を閉めるシーンなども、実際に手を前に出してひねったりしていました。そのやり方を実践しているうちに少しずつ慣れていきました」と明かした。
「アフレコに入ってからは、目の前に立ち向かうべきものがあるので、そこに対して一生懸命取り組むだけでした」と振り返る原さん。「自分が思うような声を出せなくて、悔しい思いを数え切れないくらいしましたし、そこはつらかったです」と吐露しつつも、「新海監督への安心感があったので、良い悩み方だったなと思います」と分析する。
「現場は本当に楽しくて、一から十までたくさんのことを教えていただきました。新海監督はOKを出した後でも、『菜乃華さんの好きなように』とせりふを言う機会を作ってくださって、まるでレッスンのようにいろいろなパターンを試すこともできました」
声優初挑戦を終えた今、原さんは「大好きな新海監督から『菜乃華さん、すてきでした。ありがとう』と言っていただけて、幸せでぜいたくすぎるような時間でした」とかみ締めていた。
演じたすずめについては「自分の道を自分で切り開く強さのある女の子だと思いました。あとは、行動でも気持ちの面でもよく走っている子だなと(笑い)。危なっかしさもありますが、私にはない強さを感じました」と語る。
「すずめは何かに突き動かされて、思うがままに動いていく。私は考えてからじゃないと行動できないタイプなので、すずめのそういう部分は羨ましかったです」
また、自身の性格については「とてつもなくネガティブ」だといい、「他の人は気にならないようなことでも深く考えてしまって。勝手に反省会をしていることも多く、結果的に自分のことを嫌いになってしまうんです」と打ち明ける。
女優業でも「撮影中はこれでいいのかと常に気にしてしまいますね。ささいなことでもすごく考えてしまう。よくない追い詰め方だなと思うので、もう少し良い悩み方ができるようになれたら、というのがずっと課題です」と話す。
「正直に言うと『つらい』と感じることのほうが多いかもしれません。でも、そのしんどさも、皆さんの元に届いた後には達成感や喜びに変わるんです。皆さんからの反響もありがたいですし、たった一言だけでもやっていてよかったと思える。だから、やっぱりこのお仕事はすてきだなと感じます」
そんな原さんは現在19歳。20歳までの1年は「会いたい人に会うように」過ごしているという。高校を卒業してから特にその思いが強まり、「大学に行っている子もいれば、働き始めている子もいて、環境が変わるとなかなか会えなくなるというのを実感しました。だから、大切にしたいと思う友達には定期的に会って、ちゃんと関係を続けていきたいなと思っています」と明かす。
一方で、「あとは制服でいろんなところに出かけたい」と言う。「高校生活をあまり楽しめなかった気がするので、気心が知れた友達に『制服着て一緒に出かけてくれない?』とお願いしています(笑い)」と年相応の素顔をのぞかせた。
20代は、ネガティブな性格について「前向きになれるようにしていきたい」といい、「お仕事面では自分が好きなものだったり、得意なものを探っていきたいと思っています」と意気込む。
「どんなことにもチャレンジしてみたいですし、何でもやってから決めたい。とにかく今は飛び込んでみたいという気持ちが大きいです」と語る原さんのまなざしに、今後の成長がとても楽しみになった。
ヘアメーク:馬場麻子、スタイリスト:野田さやか
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