山田涼介:何年たっても色あせない“主人公力” 物語を背負わせたくなる期待と任せられる安心感

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 人気グループ「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さん。ジャニーズJr.時代から俳優として活躍し、2007年のCDデビュー後は数々のドラマや映画で主演を務めてきた。それから15年以上、山田さんは今もなお主人公であり続けている。何年たっても色あせない彼の魅力とは――。

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 ◇振り返ればいつも“ヒーロー”だった 物語を担う“宿命”

 山田さんは今年、2本の映画とドラマに出演。そのどれもで主演を飾り、グループのデビュー15周年にもふさわしい華々しい活躍ぶりとなった。

 2月に公開された映画「大怪獣のあとしまつ」では、初めて特撮作品に出演。倒された怪獣の巨大な死体を、誰がどうやって始末しているのか、といった“その後”を描く斬新な物語で、松竹と東映が初めてタッグを組んで製作したことも話題になった。

 怪獣の死体処理を任されることになったのは首相直轄組織の特務隊。山田さんはその隊員の帯刀アラタを演じ、劇中では特務隊専用のバイクに乗る姿や、泥にまみれ、傷を負いながら任務に当たる姿を披露した。

 また、怪獣の死体に爆弾を仕掛けようとするシーンでは、映画の小道具として作られた特注の爆弾を背負うことに。撮影時の様子について、山田さんは「ミサイルを背中に抱えて、怪獣を登っていくところはキツかったですね(笑い)。めちゃくちゃ重いんですよ……」と話しながらも、「でも大変なのはそのくらいで、結構楽しんじゃうんです。こんな撮影方法があるんだって思うことの連続でした」と充実感をのぞかせていた。

 5〜6月には、荒川弘さんの人気マンガ「鋼の錬金術師」を実写化した映画「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成」が公開。2017年に公開された映画の続編かつ、シリーズ完結編となった。

 山田さんは、前作に続き主人公のエドワード・エルリック(エド)を演じたほか、本作最後の敵でホムンクルスの生みの親“お父様”の若き姿、エドの父親ヴァン・ホーエンハイムの若き頃の“奴隷23号”と、一人三役に挑戦。ラストには、若い肉体を手に入れた“お父様”とエドとのバトルシーンが描かれ、山田さんは役作りのために半年間の筋トレにも励んだ。

 48キロまで落としていた体重を、63キロまで15キロ増量して筋肉を作ったといい、舞台あいさつでは「ドラマの撮影が深夜に終わっても、そのあとジムに行って2時間くらいトレーニングして、朝6時に(家を)出てという生活が半年間続いたので、まあ、つらかった。今こうして言えることが本当に幸せ。ハガレンの撮影のために今、鍛えてるんだっていうことを誰にも言えなかったので」と当時を振り返った。作品に対して熱く、ストイックに向き合う彼の姿勢を、改めて感じたエピソードだった。

 ◇連ドラで新境地 “まだ見たことのない山田涼介”に

 4月期には連続ドラマ「俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?」(テレビ朝日系)に主演。「可愛い」を武器に生きてきた主人公・丸谷康介を演じ、恋愛経験ゼロのヒロインとの不器用な初恋を描くラブコメディーに初挑戦した。

 これまでは少年マンガの主人公のような役柄が多かった山田さんだが、今作では“あざと可愛い”姿や“胸キュン”演技を披露。見逃し配信サービス「TVer」で総合ランキング1位を記録するなど注目を集めた。クランクアップでは「難しいなって感じるお芝居もたくさんありました。自分はまだまだだなぁと、痛感する瞬間もありました」「今後演技を続けていく上でとても勉強になりました」などと語っていた。

 10月期には連続ドラマ「親愛なる僕へ殺意をこめて」(フジテレビ系)に主演。井龍一さん作・伊藤翔太さん画の同名マンガが原作で、山田さんは浦島エイジとB一という二重人格を持つ主人公を演じた。

 山田さんが二重人格の役を演じるのは初めてだったが、それぞれのキャラクターを見事に演じ分け、視聴者からは「B一とエイジくん見た目同じなのに雰囲気まるで違っててすごい」「別人にしか見えなかった」といった声が上がった。

 ◇俳優デビューから15年以上 主人公で居続けられる理由は……

 2022年、異なる主人公像で見る者を楽しませてくれた山田さん。「鋼の錬金術師」の原作者・荒川さんからは「(映画を)見ている途中から、山田涼介という名前がどこかへ飛んでいってしまうぐらいエドでびっくりしました。体のつくりから、仕草、すべてがエドそのものでした」と絶賛された。

 また、「大怪獣のあとしまつ」の三木聡監督は「彼の雰囲気が逆のベクトルに働いたら面白いんじゃないか。つまり強そうなやつが強い相手に向かっていくより、繊細な人間が無理な仕事を振られる方が面白い。誰を困らせようかと考えたとき、山田君は僕にとって新しいタイプの“困らせたら面白そうな人”だったんです(笑い)」と起用理由を明かしていた。

 山田さんが主人公で居続けられる理由――それは、例えどんなに難しい役柄であっても、彼になら任せられるという安心感と、最後までやりきってくれるという信頼、そして彼なら面白く演じてくれるという期待があるからだ。

 2023年には30歳の大きな節目を迎える山田さん。俳優デビューから15年以上がたっても、いまだ“新しい”を更新し続ける彼は、きっと30代でもまだまだ進化していくことだろう。

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