特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」(テレビ東京系、2019年)でドラマ初主演を果たし、連続ドラマ「silent」(フジテレビ系)やNHKの時代劇「大奥」(総合、火曜午後10時)など、話題作への出演が続いている若手俳優の井上祐貴さんのファースト写真集「いま」(KADOKAWA)が発売された。「一つの目標だったのでうれしい」と喜ぶ井上さんに、写真集のこだわりや撮影秘話、今年で俳優デビュー5年目を迎える心境を聞いた。
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写真集は井上さんの地元・広島で撮影されたが、「どうやったら面白い写真集になるのだろうと、いろいろ考えました。ファースト写真集ということと、素に近い部分を出せたらという思いで撮影地を広島にしました」と経緯を説明。地元での撮影は「大きかったです!」と声を弾ませる。
写真集のタイトルについて、井上さんは、「すでに撮影時が過去になりつつありますが、“その日の自分”を収めたいと思ったし、撮り終わったものを見て収まってるなと感じた。広島でしか撮れない、その瞬間の井上祐貴を収めることができたと思い、迷わず『いま』にしました」と込めた思いを説明する。
写真集の点数を「間違いなく100点」と自己採点。「写真集をきっかけに知ってくださる方はもちろん、もともと応援してくださっている方には今まで見たことがない表情がちりばめられています。今まで自分すらも知らなかった表情が載っている写真集です」とアピールする。
そんな井上さんは、2018年にミュージカル「ピーターパン」で俳優デビューし、今年で5年目を迎える注目の若手俳優の一人。俳優としての“いま”をどう捉えているか聞くと、「挑戦の日々という感じですね」と口にする。
話題作への出演が続く状況には、「すてきな方々の中に入っていくだけでも、多くのことを知ることができて吸収できるのが楽しいので、現場にいるときは充実を感じています」と話し、注目されている実感があるかには、「ないですね(笑い)。お手紙やSNSなどで応援メッセージをいただける量は増えてきた実感はありますが、それ以外変わりはない」と照れ笑いを浮かべる。
デビュー当時からの成長について、「わかりやすく意識として変わった瞬間は、やっぱり『ウルトラマンタイガ』を経験したこと」と振り返る井上さん。当時の自身を、「今思えば、俳優として良くないし失格だと思うけど、迷いながらも待っている瞬間があった」と苦笑い。「こんなことを聞いていいのかなとか思っていたし、『できていなかったら言ってくれる』と言われ待ち。過去の自分は、分からないなら、迷っているならもっと貪欲に聞くべきだった」と自戒の念を込めて振り返る。
そんな状況を「今はプラスに捉えてはいますけど悔しいし後悔しています」と話し、「そこで聞くようになりました。ちょっとでもわからなかったら聞く。意識としてはめちゃくちゃ変わりました」という。
だからこそ「ウルトラマンタイガ」が「転機になったし大きかった」と感謝し、さらに「ピーターパン」についても、「けいこと本番を含めたら約2カ月、たくさんの先輩方と過ごせる作品がデビュー作で良かった。それがあったから『ウルトラマン』も乗り越えたと思えるぐらい大きかった。どっちも大きかったですね」と神妙な表情で語る。
現在も「タイガ」共演者との交流はあり、「七瀬公君と諒太郎君とはフットサルを一緒にしたり、食事に行ったりします」といい、「仕事の話はあまりしませんが、互いの仕事は気にはなりますね(笑い)。集まると、『あのとき懐かしい』とかウルトラマンの話をすることが多いです」と楽しそうに話す。
今年で27歳となる井上さんだが、仕事に対する向き合い方は「作品ごとに毎回めちゃくちゃ変わっています」といい、「いろんな人に出会って話を聞き、作品ごとにいろんな考え方がインプットされ、試しながら挑んでいる感覚はある。一番しっくりくるものを見つけ、そのときの自分の最大パフォーマンスができるようになれれば」と意気込みを新たにする。
20代のうちにやっておきたいことはという質問には、「バンジージャンプがしたい」と意外な回答が。その理由を、「実は昔から興味があって。高所恐怖症なんですが、手すりがあることは結構いける。崖の上で綱渡りを命綱なしでする人は見るだけでもダメだけど、バンジージャンプはついているので多分いけますね」と説明する。
仕事面では、「今はきたものを全力でやりたい。経験を積んでいろんなことを知ったら、『これをやりたい』と言うかもしれませんが、今は目の前のことに全力で挑戦したい」と力を込め、「求められているのは幸せなこと。多ければ多いほどうれしいし、死ぬまで求められたい。もっともっと求められるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った。
写真集はA4判、128ページ。価格は3300円。(取材・文・撮影:遠藤政樹)