ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
荒木飛呂彦さんの人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の第6部が原作のテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」。主人公・空条徐倫たちとエンリコ・プッチ神父との戦いがクライマックスに差し掛かり、手に汗握る展開が続いている。第36話では、徐倫を愛するナルシソ・アナスイが、徐倫の父・承太郎に「お嬢さんとの結婚をお許しください」と申し出る名場面が描かれたことも話題になった。アナスイを演じる浪川大輔さんに収録の裏側を聞いた。
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「ジョジョの奇妙な冒険」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)1987年1・2合併号で連載が始まった人気マンガ。ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーという2人の少年の出会いから始まるジョースター家の血縁と因縁を描く壮大なストーリーや、独特の擬音を用いた表現、印象的な立ちポーズなどが人気を博している。第6部「ストーンオーシャン」はシリーズ初の女性主人公で、空条承太郎の娘・空条徐倫が、無実の罪で刑務所に収監され、脱獄しようとする。第25話から最終となる第38話が今年1月6日からTOKYO MXほかで放送中。
浪川さんが演じるアナスイは、個性的なキャラクターが数多く登場する「ストーンオーシャン」の中でも、外見も行動も奇抜なキャラクターで、ストーリーの中盤から本格的に登場し、「徐倫との結婚」を条件に徐倫の救出に協力する。浪川さんは収録に参加し、「圧倒されました」と振り返る。
「もう既にチームの雰囲気作りはできていたので、新たなキャラクターとしてインパクトを残せるといいなと考えていました。前もって準備はしていきましたが、具体的なところは現場の空気を感じながら、掛け合いながら演じるのが一番かなと思って臨んだら、圧倒されました。エネルギーの塊でした。ブースの外で待っていても、徐倫が戦っている声が聞こえてきて、音だけでもすごく熱量を感じました。2、3話のみ登場する敵を演じている方も最後まで全力でやっていて『これはだいぶ体力が持っていかれるな』と。せりふがどんなに多かろうが、一言だろうが、同じ集中力で臨んでいる。それを見て最初に覚悟が決まりました。『ジョジョ』にとって覚悟は大事なキーワードですからね」
浪川さんは「~じゃあないか」といった「『ジョジョ』ならではのしゃべり方」にも難しさを感じたという。
「あのしゃべり方は、ただ単に『~じゃあないか』の『あ』の部分を大きな声を出してしっかり立てるというよりかは、本当に『ジョジョのしゃべり方』というか。『ジョジョ』の世界ではそれが自然なんです。自分の体が覚えるまではすごく違和感がありましたし、頭で考えていてもなかなか答えにたどり着けない。収録の途中でシナリオに修正が入る時もあるのですが、せりふの語尾の『ッ』『!』に対して『ッの数を一つ足してください』『!を二つに』と言われるんです。それにみんなが普通に『はい』と言っている姿を見て、最初は『何を言っているんだろう……?』と(笑い)。スタッフも声優陣も深い原作愛があって、周りになんと言われようが“ジョジョに徹する”という。すごく熱い世界だと思いました」
「ジョジョの奇妙な冒険」の世界に徹する収録の中で、浪川さんは自身が演じるアナスイが「前にいるような」感覚を覚えた。
「普段のお芝居の作り方だと、まず自分の芝居をして、キャラクターとすり合わせるというか、キャラクターありきというよりも、自分の心ありきみたいなところもあるんです。でも『ジョジョ』の場合は、自分の気持ちよりも『ジョジョ』の世界の中の心、キャラクターの動きが先行して走っているイメージでした。だから演じていても、自分が演じているという感覚よりも、アナスイというキャラクターの鎧(よろい)を着てしゃべる。自分よりもキャラの方が圧倒的に強いんです。もちろん、ほかの作品でもキャラクターがしゃべるようにやらなければいけないのですが、『ジョジョ』ではより鮮明に、前にキャラクターがいるような感覚がありました。自分よりもキャラが心を占領している。お芝居としてはついていくのに必死でした」
アナスイは、当初はミステリアスな存在として登場したが、ウェザー・リポートと共に刑務所を脱獄してからは、その独特な個性がさらに発揮される。浪川さんは「途中で気付いたのですが、意外とアナスイは説明係だったなと」といい、「テンション」を大事にしたという。
「その時の状況や、気持ちの説明が多かったのですが、どんな状況でもテンションはなるべく落とさないように、アクセルは踏み続けるように気を付けていました。自分の気持ちを伝える時も、ピンチの時も、テンションは高いままだけど、高い中で違う、というところを意識していました。ヘタレっぽくても、バカっぽくなっても、テンションが高いままバカになる。収録はすごく汗だくでやってた記憶があります」
中でも、浪川さんが印象に残っているのは、アナスイが徐倫の父・承太郎に「お嬢さんとの結婚をお許しください」と申し出るシーン。命を懸けた死闘が繰り広げられる真っただ中で、突然アナスイが思いを語る名場面の一つだ。
「演じる前から『このシーン来るな』と構えていたシーンです。後半に向けて、緊迫度が高まってきて、絶体絶命の時に承太郎さんが駆け付けてくれて……という時にアナスイが急に語り始める。あのシーンはどういうふうに表現しよう?とずっと考えていました。絶体絶命のピンチの時に、その空気を崩しちゃいけないし、あまりにもバカすぎてもいけないし、どのぐらいがちょうどいいんだろう?と。めちゃくちゃ面白くすっとんきょうな感じもありかもしれないけど、やっぱり違うよな?とか。印象に残るシーンにしたいけど、だからといって悪目立ちしてはいけないし……そのバランスはとても考えていた記憶があります」
数々の人気作に出演してきた浪川さんも頭を悩ませたシーンだったが、収録は一発OKだったという。
「『ジョジョ』の収録に関しては、皆さんほとんど一発OKでした。『ジョジョ』では、本当に一発勝負にかけているところがあったかなと思います。テストと本番の2回演じて終わりというのがほとんどでした。じっくり何回も吟味して作り上げる方法もあるとは思うのですが、『ジョジョ』では全員がベストをぶつけ合うような台風みたいな収録でした」
いよいよクライマックスを迎える「ストーンオーシャン」。最後に作品の魅力を聞いた。
「『ジョジョ』はシリーズを通して、主人公が人間離れしているのですが、そんな中で『ストーンオーシャン』の主人公の徐倫は人間寄りと言いますか。ピンチが非常に多く、絶体絶命の中で周りの仲間たちと助け合いながら乗り切る。見ている方も『ここからどうやったら勝てるの?』『生き残れるの?』というハラハラドキドキ感はかなり強いんじゃないかと思います。徐倫の成長物語でもあるので、共感できる部分も多いのではないのかなと。一緒に歩んでいるような、一緒に旅をしているような感覚を味わえるのではないかと思います」
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