ドラゴンボールDAIMA
第10話 ウナバラ
12月16日(月)放送分
故・水木しげるさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期の劇場版「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が、昨年11月の公開以来、口コミでじわじわと人気を集め、現在までで興行収入26億5400万円、観客動員数185万5000人を突破するヒットを記録している。長寿シリーズとなった「ゲゲゲの鬼太郎」だが、どうして今回はここまでの人気になったのか。アニメコラムニストの小新井涼さんが、ヒットの理由を解説する。
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昨年11月に公開された映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が、興収25億円を超える大ヒットを記録しています。
鑑賞した人々の熱量が話題を広げ、従来は収束していくはずの上映館数も後発的に増えていくなど、公開後から徐々に盛り上がりを大きくし続けてきた本作。先月には日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、公開から3カ月が経った今もその熱は冷めやりません。内容の魅力は大前提として、人々がここまで長く深く本作にハマり続ける要因には、他にどんなものがあるのでしょうか。
私はそのひとつに、ハマった後にどこまでも深掘りし、追いかけ続けることができる、本作を含めた「鬼太郎」シリーズの存在もあるのではないかと思います。
本作はテレビシリーズ6期に通ずる物語でありながらも、内容は原作マンガや過去作を知らずとも楽しめるオリジナルストーリーであり、主役となるのも「鬼太郎」ではなく「水木」と「かつての目玉おやじ」です。そのため人々の興味関心も本作内のみで完結してしまうのかと思いきや…起源や背景となるシリーズ全体の世界観を知り、本作をより深く楽しむための関連要素を探るべく、ファンの食指はテレビアニメや原作マンガなどの関連作品にまで伸びていきました。
実際にファンの中には、本作と通ずるテレビシリーズ6期どころか、Netflixの「悪魔くん」や他のテレビシリーズ、「墓場鬼太郎」や「続ゲゲゲの鬼太郎」といったマンガにまで触れだしている人も少なくありません。そうなると歴代テレビシリーズは500話以上、マンガや関連書籍も膨大な数がある「鬼太郎」シリーズは、本作ファンにとって掘っても掘っても本作にも通じる新しい発見や考察のタネが無数に存在する、一度入ると抜け出せない底無しの穴となり得るのでしょう。
加えて、「鬼太郎」シリーズには、マンガやアニメだけに止まらないグッズやイベント、関連施設といった、どこまでも追いかけていける様々な展開が既に無数に存在しています。
今でこそ、この盛り上がりを受けて本作関連グッズやコラボイベント の発表も続々と行われていますが、そこは元より歴史ある「鬼太郎」シリーズです。実はそれ以前から、調布の鬼太郎茶屋はじめ、ちゃんちゃんこやゲタ、目玉おやじのヘアクリップといったグッズなど、本作好きにも刺さる展開が既に数多く存在していました。それらが今、本作ファンからも改めて注目を集め、こんな場所がある、こんなグッズがあると、本作の盛り上がりとの相乗効果を生んでいるようなのです。
実際に、本作ファンの間で従来の「鬼太郎」グッズ等が話題になったり、そうした反響を受けた販売側の公式SNSアカウントが改めて本作ファンに向けても情報発信を行ったりすることで、お互いに盛り上がるといった 様子も見受けられます。そうして、本作以前から既に無数に存在していた歴代「鬼太郎」シリーズのグッズや関連施設は、人々をまるで出口のないトンネルのように奥へ奥へと誘い、ファンが本作に益々夢中になる一因ともなっていったのでしょう。
このように、本作「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の長く深い盛り上がりには、元来「鬼太郎」シリーズが持っていた世界観の奥深さや展開の広がりといった要素も大きな後押しとなってきたのだと思います。それと同時に、実は本作自体も、元々の根強いシリーズファンによる手招きも手伝い、生まれた時から近くにあったのに気づかなかった「鬼太郎」シリーズの新たな魅力を再発見し、深く広い「鬼太郎」の世界へと誘われるための入口にもなっているのかもしれません。
先月行われた「水木しげるロード30周年記念事業」でも、さっそく本作の水木役の木内秀信さんの出演がファンの間で話題になっていたように、これからも本作単体の展開だけではなく、歴史あり幅広い「鬼太郎」シリーズのひとつとしての展開も数多く期待されます。今の爆発的な盛り上がりが落ち着いたとしても、作品を巡る展開やファンからの注目は、シリーズ同様に今後も長く深く続いていくのでしょう。
こあらい・りょう=KDエンタテインメント所属、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約10年前から継続しつつ、学術的な観点からもアニメについて考察・研究し、大学や専門学校の教壇にも立つ。アニメコラムの連載をする傍ら、番組コメンテーターやアニメ情報の監修で番組制作にも参加している。
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