ATRI:赤尾ひかる×小野賢章インタビュー(1) 注目作のプレッシャー イメージをはるかに飛び越える演技

「ATRI -My Dear Moments-」に出演する小野賢章さん(左)と赤尾ひかるさん
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「ATRI -My Dear Moments-」に出演する小野賢章さん(左)と赤尾ひかるさん

 アニプレックスのノベルゲームブランド「ANIPLEX.EXE」のゲームが原作のテレビアニメ「ATRI -My Dear Moments-」が、7月13日からTOKYO MXほかで放送される。原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来を舞台に、幼い頃の事故によって片足を失った少年・斑鳩夏生が、“失った未来”を取り戻すため、祖母の遺産が眠るという海底の倉庫を目指して潜り、ロボットの少女・アトリと出会う……というストーリー。孤独な少年とロボットの少女のひと夏の青春を描く。ゲームでは夏生の声が付いていなかったが、アニメでは小野賢章さんが夏生を演じる。小野さん、ゲームに続きアトリを演じる赤尾ひかるさんに同作への思いを聞いた。

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 ◇アニメ化で夢がかなった!

 ーー2020年のゲームの発売から約4年の時を経て、アニメが放送されることになりました。

 赤尾さん ゲームの収録の時は、アニメ化のお話はなくて、アニメ化できたらいいねと話していたので、夢がかないました。念願のアニメ化です! ゲームにはなかった夏生さんの声がついて、しかもすてきなお声で、みんなで収録に臨めることがすごくうれしいです。

 小野さん 僕はオーディションに参加させていただき、出演が決まった時はもちろんうれしかったのですが、アニメの情報が解禁になったタイミングの反応を見て、あれ?すごい注目度が高いんじゃない?とプレッシャーを急に感じました。その時はまだアニメの収録はしていなかったので、楽しみな気持ちはずっとありつつ、注目作ということにプレッシャーも大きかったですね。

 ーー作品の印象は?

 赤尾さん 爽やかな物語が始まるのかな?とワクワクしつつ、ビジュアルや映像をよく見ると、後ろに廃虚があるんです。違和感、コントラストにすごくひかれました。ヒューマノイドと人との気持ちの話、終わっていく世界の中で、どう立ち向かっていくのか?などが描かれています。近年、AI化が進んでいますし、これから起こる可能性のあるお話だと思いました。すてきな世界観の作品です。

 小野さん 赤尾さんが言ったことと重なるのですが、ビジュアルを見ると、海がすごくキレイなのですが、違和感を覚えました。僕は、担当するキャラクターの目線で作品をなぞっていくので、最初は不自由なところから始まる印象もありましたね。やりたいことが全然できなくて、生活も全然便利ではない。そのフラストレーションを感じるスタートでした。実際、社会はどんどん便利になっていますが、それが行き過ぎてバランスが崩れることは、リアルにありそうですよね。

 ◇確立していたアトリを少し崩す

 ーーキャラクターの印象は?

 赤尾さん アトリは真っすぐで天真爛漫(らんまん)で、楽しむときも怒るときも時も全力です。お話が進むにつれ、それがシステムなのか?感情なのか?という葛藤が芽生えてきますが、冒頭の段階では、とにかく明るく、可愛らしさが詰まっています。高性能すぎて、ちょっとポンコツなところもあって、意図していないおちゃめさも魅力だと思います。

 小野さん 夏生は不自由です。身体的なところもそうなのですが、気持ちの部分でも自分をセーブしてるような印象を受けました。トラウマや挫折があって、ボロボロなところからスタートします。自分や世界に対しても、諦めてしまっているところから、再生していきます。アトリと出会うことで、自然とアトリのペースに巻き込まれ、それがいい方向に転がっていくような印象です。

 赤尾さん 私はアトリと目線を重ねて見ているところもありますが、諦めざるを得ない世界にいながら、アトリは夏生さんを引っ張り、脚になりたいと思っています。夏生さんは、ふさぎ込んではいますが、一歩踏み出します。その素直さはアトリと同じで、可愛らしくもあります。アニメでは、賢章さんのお声が付いたことで、私の想像を超えたさらにすてきな夏生さんになっています。ギャグのシーンも楽しかったですし、知的でもあって、可愛らしさと尊敬できるところなどいろいろ兼ね備えた男の子だと感じています。

 小野さん アトリは、思ったよりも子供だなという印象があります。ヒューマノイドではありますが、せりふにもあるように、本当に人間そっくりで、人間と変わらない。夏生が毒づいたり、デッキブラシでガン!とツッコむシーンもあって、相手がヒューマノイドと分かっていても、大丈夫かな?と僕自身は感じたり(笑い)。赤尾さんは、ゲームから演じられていることもあって、最初から最後までいい意味で出来上がっている印象がありました。もちろん、アニメならではの表現もありますが、ベースが出来上がっているんですよね。それは、アトリだけでなく、ほかの皆さんもそうでした。アトリの天真爛漫で明るいところが、この作品にとっての光になっていると思います。アトリが登場しなかったら、どんよりするでしょうし、僕も明るくお芝居できなかったはずです。アトリがいてよかったです。

 ーー赤尾さんはゲームに続きアトリを演じますが、アニメで再び演じる中で変化はあった?

 赤尾さん 根本にあるものは変わらないのですが、アニメになることで、まばたきや表情など表現が細やかになっているので、そこに合わせて気持ちを乗せようとしました。より人間感をプラスすることになりました。4年を通して私の中のアトリが確立していたので、それを少し崩して、皆さんと一緒にお芝居をする中で生まれていくものを大切にしようとしました。

 ーーゲームは一人で収録していた?

 赤尾さん そうですね。アニメは皆さんと収録できたんです。私はこれまで男性と関わるキャラクターをあんまり演じたことがなかったので、ドキドキしちゃいました。ゲームとは全然雰囲気が違いました。

 小野さん 一緒にできて本当によかったです。皆さんに作品について聞くこともできましたし。赤尾さんとは初めての共演でしたが、僕のイメージをはるかに飛び越えるような演技で、新鮮で楽しかったです。

 インタビュー(2)に続く。

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