「君の名は。」「すずめの戸締まり」などで知られる新海誠監督の劇場版アニメ「秒速5センチメートル」が実写映画化され、2025年秋に公開されることが明らかになった。新海監督のアニメが実写化されるのは初めて。「すずめの戸締まり」にも声優として出演した人気グループ「SixTONES(ストーンズ)」の松村北斗さんが主演を務めることも発表された。松村さんが映画の単独主演を務めるのは初めて。
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「秒速5センチメートル」は、2002年公開の「ほしのこえ」、2004年公開の「雲のむこう、約束の場所」に続く、新海監督の3作目の商業作品として2007年に公開された。小学校卒業と同時に離ればなれになった少年と少女が大人になるまでの姿を三つの短編からなる連作アニメとして描いた。山崎まさよしさんによる主題歌「One more time,One more chance」も話題になった。
実写映画では、新海監督との意見交換なども経て作られた脚本を基に、約2時間の長編映画として制作される。奥山由之さんが監督を務め、鈴木史子さんが脚本を手掛ける。主人公・遠野貴樹が小学生の頃に出会った転校生・篠原明里と心を通わせたみずみずしい日々、小学校の卒業と同時に明里と離ればなれになり種子島で過ごした高校生活、東京でシステムエンジニアとして働きながら漠然とした閉塞感と焦燥感を抱えて過ごす30歳を手前にした青年期と、18年間にわたる人生の旅が描かれる。
私が20年近く前に監督したアニメーション映画「秒速5センチメートル」は、とても未熟で未完成な作品でした。しかしその未完成さ故に、今でも長く愛し続けてもらえている作品でもあります。初期衝動──未知への憧れと畏れだけをただぶつけたあのような映画は、今の自分には決して作れないでしょうし、再現もできません。ですから、奥山監督をはじめとした若く熱心なチームが再び「秒速5センチメートル」に向き合ってくれていることに、私はとても興奮しています。最も信頼する俳優である松村北斗くんに主演を務めてもらえることにも、人生の不思議さを感じます。どうか、皆さんの今でしか作れない映画にしてください。誰よりも完成を心待ちに、応援しています。
僕自身、何度も見返してきた作品だからこそ、重責を日々感じています。この原作はたくさんの方の人生に深い影響を与えてきました。ファンの皆さんはそれぞれの解釈と世界を持っていて、僕もその一人です。そんな作品の実写化に未熟な僕が参加するのかと一歩踏み出せないでいました。しかし、奥山監督をはじめとする製作陣の原作への憧れと愛。そして、新海さんから言っていただいた「北斗くんで見たいですね」というお言葉がこのチームで挑戦する理由をくれました。「秒速5センチメートル」に影響を受けて憧れてきた者が集まったチームで作る今回の作品。原作チーム、ファンの方への敬意を胸に挑ませていただきます。
新海誠さんが当時33歳の時に紡ぎ上げていた物語を、いま33歳の僕が撮らせていただくことに、ただの数字とはいえ、大切な巡り合わせを感じております。今しか作れないものがあるということ、いずれは忘れてしまう眼差しがあるということに気付かされながら「秒速5センチメートル」と向き合っている日々です。どことない喪失感、焦燥感を抱える貴樹の背中に、温もりある手を添えるようにして、心から信頼するチームの皆さんと共に、1シーン1シーン、1秒1秒を丁寧に、切実さと誠実さをもって、真摯に撮り重ねたいと思います。僕の中に残る「センチメンタル」をこの作品に全て置いていきますので、どうかご期待ください。
新海誠監督の「秒速5センチメートル」を初めて見たのは20代の頃でした。チームの中には中学生や高校生で見たという方も多く、どの地点でこの作品と出会ったかによって違う切実さを感じる深遠な原作を前に、喜びと緊張を持って向き合わせていただきました。人と人が近づいたり離れたりする巡り合わせのことを。とても真摯な奥山監督や信頼するスタッフ、誠実なキャストの皆さんとたくさんの対話を重ね、その時間のすべてを脚本に込めました。多くの方々の“今”に届くことを願っております。
世界中で愛されている不朽の名作を実写化するという無謀な挑戦を受け入れてくださったばかりでなく、言葉を尽くしてのご助言をはじめ本プロジェクトを支えてくださっている新海誠様、コミックス・ウェーブ・フィルムの皆様に感謝申し上げます。映像監督、写真家としてフロントランナーである奥山由之監督、松村北斗さんと共演者の皆様、脚本、映像、音、デザイン、それぞれの専門領域において並外れた才能と技術、そして研ぎ澄まされた感性と美意識を持った方々が集結しています。公開までの続報も楽しみにしていただけたら幸いです。
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