解説:「べらぼう」誰袖役も話題の福原遥 今から6年前、宮沢氷魚との共演作で見せた「覚醒」

福原遥さん
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福原遥さん

 海辺の児童相談所が舞台のフジテレビ系“月9”ドラマ「明日はもっと、いい日になる」で主演を務める福原遥さん。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜午後8時ほか)の誰袖役も話題で、同作では、吉原という修羅に生きる女郎ならではのしたたかさと、宮沢氷魚さん扮(ふん)する田沼意知との恋に身を焦がす姿で、視聴者を魅了している。そんな福原さんが今から6年前に出演し、意知役の宮沢さんとも共演した映画とは……。

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 ◇実写「賭ケグルイ」の劇場版第1作

 2009~13年に放送された番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」(NHK・Eテレ)で“まいんちゃん”として人気を博した福原さんは、その後、2022年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」でヒロインを務めるまで成長を果たすが、俳優としての一つの分岐点が、6年前の2019年にあったように思える。

 この年の1月期に放送されたのが当時、大きな話題となった連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)。福原さんは「敵に回すと一番厄介」という恋愛体質系女子の水越涼音役で出演していた。涼音はクラスの中でヒエラルキー高めに位置し、他の生徒に声を荒らげて詰め寄ったり、陥れようとしたりとダークさも秘め、「ピュア」「可愛らしい」といった福原さんのパブリックイメージを覆すような役柄でもあった。

 「3年A組」の水越涼音役の余韻を漂わせていた頃の同年5月3日に公開されたのが「映画 賭ケグルイ」(英勉=はなぶさ・つとむ=監督)だ。河本ほむらさん作、尚村透さん画のマンガを、浜辺美波さん主演で実写化したドラマシリーズに続く、劇場版第1作で、福原さんはオリジナルキャラクターの歩火樹絵里(あるきび・じゅえり)を演じた。

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 「賭ケグルイ」は、勉強や運動ではなく駆け引き、読心術、勝負強さなどギャンブルの強さがすべてを決める私立百花王学園が舞台の作品。「映画 賭ケグルイ」では、学園内で“非ギャンブル、生徒会への不服従”を掲げる白装束集団「ヴィレッジ」が台頭し、生徒会との対立が深まる中、ヴィレッジ解体と、主人公・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ、浜辺さん)潰しをたくらむ生徒会が、全校生徒をタッグで強制参加させる「生徒代表指名選挙」の開催を宣言する……という内容となっていた。なお、宮沢さんはヴィレッジのカリスマ的なリーダー、村雨天音役での出演だった。

 ◇“負の感情”を爆発させ、泣き、叫び、困惑

 「映画 賭ケグルイ」で福原さんが演じた歩火は、かつて生徒会長にギャンブルで敗れた過去を持つヴィレッジの幹部で、ヴィレッジ存続のため、自ら「生徒代表指名選挙」へと身を投じる“物語の重要人物”。当初は村雨を補佐し、荒ぶる生徒たちを一言でピシャリと黙らせてしまうような威厳も持ち合わせていたが、ヒリヒリするような緊張感が続く中、次第に狂気を増していくと、ついには“負の感情”を爆発させてしまう。

 村雨への裏切り行為と“裏の顔”の表出。このときの福原さんの演技は圧巻で、今まで見たことがないくらい泣き、叫び、困惑する姿は「覚醒」と呼ぶにふさわしいものだった。公開時に「福原遥ちゃんの演技力ヤバすぎ。本当に鳥肌たった」「まいんちゃんの演技力がえぐい」「まいんちゃんの迫力にゾクゾクした。鳥肌モノ」「今までの雰囲気と違う役柄、最高!」との声が上がったのも納得だ。

 当時の年齢は20歳で、インタビューでは「怖さは少しあったんですけど、監督が自由にやっていいよって言ってくださって。私もドラマを見ていたからイメージしやすくて。その世界にちゃんと立てたなって手応えもありました」「キャストの皆さんもちょいちょいアドリブを入れて、楽しみながらやっているのを間近で見ることができて。決められたお芝居より、自由に楽しみながら演技する素晴らしさをこの作品で学ぶことができたような気がします」とも語っていた福原さん。

 あれから6年、殺人鬼の女子大生やちょっぴりクールなソロキャンパー、朝ドラヒロインなどを経て、宮沢さんとの2度目の共演作となった「べらぼう」では、いまや立派な“大河女優”としての顔を見せている。現在26歳。“今後”への楽しみは増すばかりだ。

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