間もなくスタートから1カ月がたとうとしている2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合、日曜午後8時ほか)。2月1日放送の第5回「嘘から出た実(まこと)」には、“美濃の蝮”の異名で知られる戦国大名・斎藤道三が登場するという。その道三の娘で、織田信長のもとに嫁ぎ、正室となった女性といえば濃姫(帰蝶)である。「豊臣兄弟!」では、ここまで“不在”が話題になっているが、過去の大河ドラマでは? 華やかなキャスト陣や印象的だった描かれ方を振り返ってみたいと思う。
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「豊臣兄弟!」の“前・戦国大河”「どうする家康」(2023年)にも登場しなかった濃姫。そのため一番新しい記憶は、6年前の「麒麟(きりん)がくる」(2020年)となるが、このときに帰蝶を演じたのが川口春奈さんだ。
同作の帰蝶のキャッチコピーは「信長の妻 道三(マムシ)の娘」。父・道三の血を濃く受け継いだ性格で、夫の信長を動かし、自らも動くタイプのキャラクターだった。信長と道三による「聖徳寺の会見」を成功に導くなど、随所で発揮される敏腕プロデューサーぶりや女軍師的な働きから、大河ファンに「帰蝶P」と呼ばれ、人気を集めた。
物語が終盤に入り、信長に横暴な振る舞いが目立つようになると、信長とは距離を取るようになり、のちに「本能寺の変」で信長を討つことになる光秀から「道三様ならどうなされましょう?」と聞かれた際には、「毒を盛る。信長様に」と言い放ち、その背中を押した。
そんな帰蝶人気もあってか、川口さんは総集編の語りを担当。総集編自体が、光秀と信長の出会いから「本能寺の変」までを、帰蝶の目線で振り返る……という内容にもなっていた。「豊臣兄弟!」での“不在”に対する嘆きには、この川口春奈“帰蝶”の印象の強さが多少なりとも関係しているのかもしれない。
そんな川口さんに至るまで、誰が濃姫(帰蝶)を演じてきたのか。1963年に始まった大河ドラマで、“戦国もの”とされるのは、20作以上。その中で最初の“戦国大河”となるのが、1965年放送の「太閤記」だ。約60年前の作品で、稲野和子さんが濃姫(役名は濃[こい])に扮(ふん)した。
次に濃姫が大河ドラマに登場したのは、1969年の「天と地と」。上村香子さんが同役を務めると、1973年の「国盗り物語」では、当時20〜21歳の松坂慶子さんが濃姫を演じた。
「国盗り物語」は司馬遼太郎の同名小説が原作。「本能寺の変」では、自らこの場に残る決心を伝えにきた濃姫と、そんな濃姫に「止めはせん、勝手に死ね」と告げる信長という夫婦のやりとりも印象的で、その後、濃姫は、炎に囲まれながら薙刀(なぎなた)を振るって、明智勢相手に奮闘するも、背後から敵兵の槍(やり)につかれて命を落としている。
この濃姫が本能寺で最期を迎えるパターンは、「国盗り物語」と同じ司馬遼太郎原作とした2006年の「功名が辻」のほか、1983年の「徳川家康」、2014年の「軍師官兵衛」と、のちの大河ドラマにたびたび登場。その没年について、明確な史料が残っていない濃姫の一つのイメージとなっている。
キャストに話を戻すと、「徳川家康」で藤真利子さん、1988年の「武田信玄」で麻生祐未さん、1992年の「信長 KING OF ZIPANGU」で菊池桃子さんが“濃姫(帰蝶)女優”として大河ドラマの歴史に名を刻んでいる、2000年代に入ってからは、石堂夏央さん(2002年『利家とまつ』)、和久井映見さん(『功名が辻』)、内田有紀さん(『軍師官兵衛』)が演じてきた濃姫。川口さんを含めると、ちょうど10人だ。
大河ドラマに限らず、多くの創作物で信長とセットで取り上げられてきた濃姫(帰蝶)は、お市や茶々、細川ガラシャあたりと並ぶ「戦国の華」。早くに亡くなったとも、信長の死後も生きていたとも言われ、謎の多い姫であることは間違いないが、その分、信長との夫婦仲も含めて、大河ファン・歴史ファンからいまも高い関心を寄せられているのだろう。
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