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俳優の仲野太賀さん主演のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合、日曜午後8時ほか)。4月19日放送の第15回「姉川大合戦」では、副題通りに織田・徳川軍と朝倉・浅井軍による合戦「姉川の戦い」が描かれた。戦は織田・徳川軍の勝利に終わったものの、夕陽(ひ)と血で“赤く染まった”姉川を前にし、小一郎(仲野さん)が藤吉郎(池松壮亮さん)の横で「ここは地獄じゃ」とひざから崩れ落ちた姿も印象的だった。一方、視聴者からは「まだまだ地獄の入り口」との声も上がっている。12月まで続くドラマの放送は間もなく3分の1を消化。転換点を迎えつつあるのではないだろうか。
◇「生き延びるため」戦い、返り血を浴びた小一郎
「豊臣兄弟!」は、65作目の大河ドラマ。豊臣秀長(小一郎)を主人公に、兄・秀吉(藤吉郎)とともに強い絆で天下統一という偉業を成し遂げる豊臣兄弟の奇跡を描く、夢と希望の下剋上サクセスストーリー。脚本は、「半沢直樹」(TBS系)や連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」などで知られる八津弘幸さん。また音楽を木村秀彬さんが手がけ、語りを俳優の安藤サクラさんが担当する。
第15回では、信長(小栗旬さん)は朝倉・浅井に反撃するため、義昭(尾上右近さん)や家康(松下洸平さん)に援軍を要請。だが、内心では信長の失脚を願う彼らの動きは鈍い。
一方、小一郎と藤吉郎は、市(宮崎あおい)を逃がすため時を稼ごうとするが、市の思いは長政(中島歩さん)とともにあり、策は実を結ばない。そんな中、信長は北近江へ進軍を開始。そして、元亀元年6月28日早朝、横山城を助けるべく出陣した朝倉・浅井軍1万3000と、それを迎え撃つ織田・徳川軍2万1000が、姉川を挟んで向かい合うと、法螺貝の音を合図に激突。世に言う「姉川の戦い」が始まった。
地の利を生かして攻め込む浅井勢に織田勢は苦戦。「生き延びるため」小一郎と藤吉郎も戦うが、その中で小一郎は、藤吉郎を助けようとして敵を殺めてしまう。その後も返り血を浴びながら刀を振るう小一郎は、朝倉側の兵の一人として、藤堂高虎(佳久創さん)と出会う。
ここまで劣勢にあった織田側だが、徳川家康(松下洸平さん)の“別動隊”による奇襲をきっかけに形勢を一気に逆転。朝倉・浅井軍は撤退を決め、織田・徳川軍は深追いせずに勝どきを上げた。
◇視聴者にも重くのしかかった「姉川」ラスト 次は「比叡山焼き討ち」?
信長の首を狙った遠藤直経(伊礼彼方さん)の決死の“特攻”も阻止した小一郎と藤吉郎だが。戦に勝った喜びはなく、やがて静まり返った姉川の前にし、ぼう然となる。夕陽に照らされた川は血で赤く染まり、その前には敵か味方も分からなくなった死体の山。藤吉郎は「本当に、わしらは勝ったんかのう」とつぶやき、小一郎(仲野さん)も「分からんけど、ここは地獄じゃ」とひざから崩れ落ちた。
この小一郎と藤吉郎と視聴者にも重くのしかかるラストと凄惨描写。前回第14回「絶体絶命!」(4月12日放送)で描かれた命がけの撤退戦「金ヶ崎の退き口」からの流れを受け、小一郎と藤吉郎の兄弟のやりとりにあった良くも悪くも作品を特徴づけていた「軽いノリ」が、決してなくなったわけではないものの、かなり薄れてきた印象だ。
そのほか視聴者からは「でもこれはまだ地獄の入り口なんだよなぁ」「今後の史実を考えるとまだまだ地獄の入り口だぜ」「小一郎が地獄とか言ってるけどまだ入り口。次回はあの比叡山だししかもその先は最も信頼している秀吉が信長以上に残忍になるんだから」とのコメントも寄せられていて、その言葉通り、第16回「覚悟の比叡山」(4月26日放送)では、「比叡山焼き討ち」がやってくると予想される。
ある種ここからが本番、死が身近な「本当の“戦国ど真ん中”へ」と見る向きもある「豊臣兄弟!」。いずれにせよ“戦国大河”らしい重厚さをまとい始めたドラマには、さらなる盛り上がりが期待できそうだ。