解説:千姫として大河ドラマ史に名を刻んだ瞬間 原菜乃華、20歳の“最高到達点”

NHK大河ドラマ「どうする家康」で千姫を演じた原菜乃華さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「どうする家康」で千姫を演じた原菜乃華さん (C)NHK

 松本潤さん主演のNHK大河ドラマどうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)で、主人公・徳川家康(松本潤さん)の孫・千姫を演じ、話題となった俳優の原菜乃華さん。12月17日に放送された最終回(第48回)「神の君へ」では、祖父・家康に、涙ながらに夫・豊臣秀頼(作間龍斗さん)の助命を訴える姿が描かれ、視聴者に強い印象を残した。本作が初の大河ドラマになった原さんにとって“最大の見せ場”であり、それと同時に、千姫として原さんの名前が大河ドラマ史に刻まれた瞬間となったのではないだろうか。

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 ◇「どうする家康」だけじゃない 顕著だった2023年の活躍

 原さんは2003年8月26日生まれ、東京都出身の20歳。子役出身で、連続ドラマ「真犯人フラグ」(日本テレビ系、2021~22年)や「ナンバMG5(エムジーファイブ)」(フジテレビ系、2022年)などで注目を集め、2022年11月公開の新海誠監督の劇場版アニメ「すずめの戸締まり」では、ヒロイン・岩戸鈴芽(いわと・すずめ)を演じ、声優としての実力も披露した。

 今年の活躍も顕著で、小芝風花さん主演で4月期に放送された連続ドラマ「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系)、菅田将暉さん主演で9月に公開され、大ヒットを記録した映画「ミステリと言う勿(なか)れ」といった話題作に出演。また、丸亀製麺のテレビCMにも起用され、その美少女ぶりがお茶間の間をにぎわせたかと思えば、10月期の連続ドラマ「泥濘の食卓」(テレビ朝日系)では、狂気的な愛情を見せる“ストーカー女子高生”ちふゆとして、視聴者を震え上がらせた。

 そのほか、9月29日と10月6日に2週連続で放送された深夜のグルメドラマ「こむぎの満腹記」(テレビ東京系)に主演し、10月30日には、今年8月に20歳の誕生日を迎えた原さんの“10代最後の等身大の姿”を収めた初の写真集「はなのいろ」(KADOKAWA)を発売と、「どうする家康」以外でも、さまざまなところで「原菜乃華」という名前を目にしてきた印象だ。

 ◇「千姫の心が壊れていく音が聞こえてきそうな」熱演ぶり

 そんな原さんだが、「どうする家康」に登場したのは11月19日放送の第44回「徳川幕府誕生」から。すでに物語は終盤に差し掛かっていて、徳川と豊臣の架け橋として重責を担う千姫として、両家の間で揺れ動く心を繊細に演じてみせた。

 やがて徳川と豊臣の対立は激しさを増し、乱世最後の大戦「大坂の陣」へと発展。千姫自身、望まない戦乱に巻き込まれる形で、「親・豊臣」側に大きく振れ、最終回を迎える時には「徳川の姫」から「豊臣の妻」へと変貌を遂げていた。

 最終回では、家康の首を狙った「乱世の亡霊」たちが次々と倒れる中、家康と父・秀忠(森崎ウィンさん)の元へと、その身を戻されるが、そこで待っていたのは千姫にとって絶望でしかなかった。

 秀頼の助命を受け入れてもらえないと分かった瞬間の千姫の表情と、その後、半狂乱となり、家康、または秀忠に向って「鬼」「鬼畜」といった言葉を投げかける姿。全身全霊を注いだかのような原さんの熱演は、「千姫の心が壊れていく音が聞こえてきそうな」ほど鬼気迫るもので、原さん本人も「自分でも不思議なのですが、泣くことを我慢することができず、お芝居で初めて涙が止まりませんでした。でも、千姫の気持ちに一番近づけた実感はありました」と手応えを明かしていた。

 まさに、“次世代ヒロイン”として期待を集める原さんの、現時点での“最高到達点”。今後の活躍がより一層楽しみとなった視聴者は多かったはずだ。

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