解説:大河7年ぶり「真田丸」で存在感 「どうする家康」真田信繁役の19歳 日向亘の時代ものにこそハマる精悍さ

大河ドラマ「どうする家康」で真田信繁を演じる日向亘さん (C)NHK
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大河ドラマ「どうする家康」で真田信繁を演じる日向亘さん (C)NHK

 松本潤さん主演のNHK大河ドラマどうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)。12月3日に放送された第46回「大坂の陣」では、日向亘さん演じる真田信繁が、大坂城に築いた「真田丸」で徳川勢を迎え撃つ姿が描かれた。ここまで決して出番が多くはなかった信繁の見せ場の一つとなったが、それと共に、弱冠19歳ながら、戦国屈指の人気武将に扮(ふん)した日向さんにもスポットが当たった。ここでは日向さんの俳優としての魅力をひもといてみたい。

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 ◇芸能界入りのきっかけは? 「仮面ライダー」後も作品続く

 日向さんは2004年3月18日生まれの19歳。徳川家臣団の最年少・井伊直政役の板垣李光人さんや、悲劇的な最期を迎えた松平信康役の細田佳央太さんよりもさらに若く、大河ドラマ出演は「どうする家康」が初となる。

 芸能界入りのきっかけは、2019年に「ホリプロ」が主催した「HORIPRO MEN’S STAR AUDITION」。俳優としての可能性と輝きを秘めたスターの原石を発掘する同オーディションで、見事にグランプリを受賞すると、2020年のWOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 太陽は動かない -THE ECLIPSE-」でデビュー。同年の10月期ドラマ「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・フジテレビ系)では、主人公・安達桃子(有村架純さん)の3人の弟のうち、次男の優輝を演じた。

 そんな日向さんは、2021~22年に放送された特撮ドラマ「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系)に、1年間にわたってレギュラー出演。主人公一家=五十嵐家の次男・五十嵐大二(仮面ライダーライブ)を好演し、人気を博すと、続編として、期間限定で劇場公開されたVシネマ「リバイスForward 仮面ライダーライブ&エビル&デモンズ」では、門田ヒロミ(仮面ライダーデモンズ)役の小松準弥さんと共に主演を務めた。

 「仮面ライダー」後に目を向けると、今年1月期の「Get Ready!」(TBS系)で日曜劇場初出演。主人公の天才執刀医・波佐間永介(通称エース、妻夫木聡さん)が率いる“闇医者チーム”の最強ハッカー・白瀬剛人(通称スペード)に扮すると、4月期の「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」にも、名門高校に通う医者志望の受験生・江口和真(えぐち・かずま)役で出演。さらに、ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」の大倉空人さんとダブル主演を務めた「君となら恋をしてみても」(MBSほか)、放送中の「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)と連続ドラマへの起用が続いた。

 これは“俳優・日向亘”への周囲の期待の表れと言えるだろう。

 ◇「大坂の陣」で“乱世を愉快に泳ぐ”真田信繁を見事に体現

 「どうする家康」には、8月末から登場。演じる信繁は、真田昌幸(佐藤浩市さん)の次男で、父から不屈の精神を受け継ぎ、類まれなる知略、武力を駆使して、最後まで家康(松本さん)の天下取りに抵抗する……という役どころだ。

 真田信繁といえば、2016年の大河ドラマ「真田丸」の題材にもなった人気武将だが、「どうする家康」における立ち位置はあくまで、主人公・家康の敵。日向さん自身も「『表裏比興の者(表と裏を使い分けるくせ者)』と言われた父・昌幸」から、「本当に何を考えているか分からない、ずる賢くて、頭が切れる、とてもやっかいな、という部分をそのまま受け継いだ敵」と役をとらえていた。

 そして迎えた第46回。大河ドラマでは7年ぶりの登場となった「真田丸」で、存在感を放つ。

 真田丸に籠(こ)もり、「この真田丸より先、一歩も城に近づけるな~!」と兵に指示を出し、「(銃を)放て~!」と近づく敵を一網打尽にする信繁。鳴り響く銃声の中、今は亡き父・昌幸の言葉「乱世を泳ぐは……、愉快なものよ」をなぞる姿も、同回のハイライトの一つとなった。

 「大坂の陣」のときの信繁の年齢は40代半ばから後半と言われるが、日向さんは、この“乱世を愉快に泳ぐ”真田信繁を見事に体現。SNSでは「日向亘君、まだ若いのに信繁のオーラをまとっている!」「日向亘君、すごすぎない? 19歳で日本一の兵、真田信繁オーラをまとっている! これからが楽しみな俳優さん」といった声も上がっていた。

 デビューから約3年の間、「仮面ライダー」を含むさまざまな役に挑んできた日向さん。笑顔などに人懐っこさはあるものの、どこかギラついた色気と、時代ものにこそハマる精悍さは、やはり大きな魅力。だからこそ今回の信繁役も、若さが決してマイナスにならなかったのだろう。

 ドラマは残り2回。物語がクライマックスへと突き進む中、「家康に切腹を覚悟させた男」とも言われる信繁の散り際を、日向さんがどう演じてみせるのか、引き続き注目だ。

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