緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
横浜流星さん主演のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(総合、日曜午後8時ほか)で、松平定信を演じる井上祐貴さん。第43回「裏切りの恋歌」(11月9日放送)では、大老の座を狙った定信が、思いもよらない形で幕政から外されるという屈辱を味わった。他の老中からも嘲笑され、一部の視聴者の同情も誘った定信の失脚劇。シーンとして大いに盛り上がったが、よりそこに説得力をもたらしたのは、定信役の井上さんがまとう“青さ”だったのではないだろうか。
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井上さんは1996年6月6日生まれ、広島県出身の29歳。2017年、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞し、翌年、ミュージカル「ピーターパン」で俳優デビューした。2019年、特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」(テレビ東京系)の主人公役に抜てきされ、注目を集めると、2022年のNHKの夜ドラ「卒業タイムリミット」でも主演を務めた。
大河ドラマ初出演は、2023年の「どうする家康」。このときは本多正信(松山ケンイチさん)の息子の正純を演じた。正純は、家康(松本潤さん)に仕える頭脳明晰な若きエリート。正信が三河追放になった後は、大久保忠世(小手伸也さん)のもとで、父のようにはなってはならぬと教え込まれて育った。正信には似ず、律儀で真っすぐな性格……というキャラクターだった。
「どうする家康」の翌年には、「虎に翼」で朝ドラ(連続テレビ小説)にも初出演。祖父は初代最高裁判所長官の星朋彦(平田満さん)、父は裁判官の星航一(岡田将生さん)で、自らも法曹界に進んだ、エリートの星朋一に扮(ふん)した。
自身2作目の大河ドラマとなった「べらぼう」には、第30回「人まね歌麿」(8月10日放送)から本格登場。演じる松平定信は、財政難と風紀の乱れに直面する幕府の再建を託され、11代将軍・徳川家斉(城桧吏さん)の下で老中首座に就任。田沼意次(渡辺謙さん)の華やかな商業重視政策とは対照的に、倹約の徹底、農村復興、風紀の粛正、朱子学の奨励など「寛政の改革」を断行。町人文化にも厳しく、洒落本や黄表紙の出版統制を強化。蔦重(横浜さん)の出版活動にも大きな影響を及ぼす……という人物で、第39回「白河の清きに住みかね身上半減」(10月12日放送)では、蔦重との“直接対決“もあった。
ちなみに同回の終盤には、長谷川平蔵(中村隼人さん)が、先の将軍の「ご落胤」と偽って商家を次々と襲った盗賊・葵小僧を捕縛するも、その一味が「ことごとく生業を失い、その果てに悪の道に堕ちた者ども」であったことから、本多忠籌(矢島健一さん)が定信に「倹約令や風紀の取り締まりは切り上げられるべき」と進言する場面も。さらに忠籌は「人は『正しく生きたい』とは思わぬのでございます。『楽しく生きたい』のでございます」とはっきりと口にし、松平信明(福山翔大さん)からも「このままでは、田沼以下の政との誹りを受けかねませぬ」と言われてしまった定信。この頃からすでに、周囲は定信のやり方についていけなくなっていたのだろう。事実、第43回で定信は、忠籌、信明にも“笑われている”。
話を第43回に戻そう。同回では、オロシャ対策に全力を注ぎ、この一件を見事さばいた定信が、次に狙ったのは大老の座。家斉には、将軍補佐と老中の兼任を解いてもらった上で、その代わりに大老職を命じてもらえる、そう信じて疑わなかった(手前で密約らしきものを交わすシーンもあった)が、家斉からは「では越中守。これよりは、政には関わらず、ゆるりと休むがよい」と言われてしまう。
将軍補佐と老中の職を失い、大老にもなれないことを知った定信は、自身が罠にはめられたと気づき、怒りに震えるが、時すでに遅し。家斉や、他の老中らが自分を笑う声を耳にしながら、城を去った。
この定信の失脚劇。視聴者側からしたら、家斉の父・治済(生田斗真さん)が仕組んだものと考えるのは容易い。一方で、そんなことは予想だにしなかった当事者としての、定信の“青さ”が際立ったシーンでもあった。己と、己の“正しさ”を過信したことが招いた(本人にとっては)悲劇。その後、定信は「嫌われようとも、煙たがられようとも、やるべきことをやり通したのは私ではないか! クズどもが……地獄へ落ちるがよい」と血走った目で恨み言を口にしたが、その姿は、定信がまだ、寺田心さん演じる“田安賢丸”だった少年時代、自分を陥れた意次に対して「なぜ足軽上がりにここまで愚弄されねばならぬ!」と怒りを爆発させ、「今に見ておれ、田沼……」と復讐を誓った、第4回「『雛形若菜』の甘い罠」(1月26日放送)でのワンシーンとも重なった。
定信役の井上さんが、何回も見て、目に焼き付けたと話すシーンであり、この頃から定信のエリート意識とプライドの高さを内包した“青さ”は変わらぬまま。井上さん自身も、定信として登場してからずっと、この“青さ”をまとったまま来ており、だからこそ、この大事な局面で、いとも簡単にはしごを外され(または足をすくわれて)しまったのであろう。それこそ、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する治済が相手なら当然の成り行きだ。
そんな失意の定信に、今度は高岳(冨永愛さん)が接触し、前将軍・家治(眞島秀和さん)の嫡男・家基(奥智哉さん)の命を奪ったとされる、“呪いの手袋”を差し出すという意外な展開を見せている「べらぼう」。以前、井上さんは定信について「失脚した後もどのように活躍するのか、ぜひ注目してみていただきたいです」と話していて、ここから反撃があるのかどうか、最終回に向けての大きな見どころとなりそうだ。
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