名探偵コナン
#1193「キッドVS白馬 青の玉座(前編)」
3月14日(土)放送分
キングレコード、アリア・エンターテインメント、タカラトミーが共同で手掛けるオリジナルテレビアニメ「プリンセッション・オーケストラ」。2025年4月からテレビ東京系で毎週日曜午前9時に放送されており、3月29日の放送で最終回を迎える。「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズの金子彰史さんの企画原案による作品で、子供から大人まで楽しめる「音楽×アニメ×玩具」を展開。「戦姫絶唱シンフォギア」で培った“歌いながら戦う”というスタイルを踏襲し、まるで深夜アニメのようなスタッフが集結しているが、正真正銘の日曜朝のアニメだ。異色かつ挑戦的な作品はどのように生まれたのか。企画原案の金子さん、キングレコードの諏訪豊プロデューサーに聞いた。
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金子さん 自分の肩書きは企画原案です。一言で説明するとプランニング。「こういう作品をやりたい」という夢を語る仕事になります。ちょっと大げさかもしれませんが、作品の方向性や最終形のビジョンを描き、それをプロデューサーの諏訪さんに投げる。そこから全てが始まります。
諏訪さん 僕はプロデューサーとして、金子さんやクリエーターの皆さんからいただいた夢を、どう具体化し、どうビジネスとして成立させるかを調整する役割を担っております。。また、レーベルの音楽ディレクターとしても、作品全体の音楽プロデューサーである菊田大介さんやElements Gardenおよびアリア・エンターテインメントの皆さんと共に、音楽展開の部分も担わせていただきました。楽曲発注の部分から、本作から生まれたキャラソンユニットである「オルケリア」の活動のサポートも担当しています。
金子さん きっかけは、とある別のタイトルの相談だったんです。以前、「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズでお世話になったキングレコードのとても偉い方から、「○○な企画があるんだけど、これを金子さんなら、どう料理する?」と聞かれ「自分ならこうします」と回答したのが、全ての始まりとなります。そこからトントン拍子に話が進み、脚本の逢空(万太)さん、キャラ原案の島崎(麻里)さん、そして諏訪さんが合流して具体化していきました。
諏訪さん 僕は金子さんたちが進めていた草案が出来上がりつつある段階で参加したのですが、何より描かれている夢の大きさに胸を打たれました。金子さんとしては「全人類向け」という表現をされておりますが、弊社にとっても日曜朝のアニメを手掛けるのは初めての挑戦でした。そこに挑戦できることに強烈な魅力を感じ、「ぜひ僕にやらせてください!」と会社に宣言して、晴れて担当させてもらうことになり、そこから監督や制作スタジオといった映像を生み出すための具体的な調整に入りました。
金子さん 放送時間帯や性別、年齢層を問わず、幅広く届けられる王道作品を目指しました。言い換えるなら「子供向けでもあるけれど、決して子供だましでは終わらない」。それが最初からのスタンスであり、理想形になります。
金子さん はい。企画原案として最初の仕事になります。ありがたいことに初めて関わらせていただいたアニメである「シンフォギア」が5期まで続きましたので、次のお仕事も何かチャレンジャブルな取り組みができればと考えてたんです。そこで普遍的な王道作品を、深夜ではなく朝の時間帯に。それも一年、4クールやりたいと提案しました。
金子さん 作品がポジティブで元気であることです。もちろん、ドラマを描くうえで山と同じくらいに谷が必要になりますが、どんな展開であってもプリンセスたちと同様、視聴者も「だいじょぶ、じょぶ」と期待を持って見続けられるような力強さは、キャラクターの可愛らしさや華やかさと同等に大切な要素と考えています。毎話見た後に子供なら「外に遊びに行こう」、大人なら「さあ、布団から出るか」となってくれるとうれしいですね。
金子さん 脚本の逢空さんの言葉を借りるなら、「プリオケ」の主役はプリンセスたちではなく、登場キャラクターの一人一人です。その考えに自分も賛同ですし、そうであるならば、せっかく48話というロングスパンを想定しているので、1クール作品では描けない物語を目指すのは、ある種の必然だったと思います。
金子さん 風花姉妹とトーマのエピソードですね。楽しい可愛いで終わらない骨太なところも逢空さんの筆の魅力だと思います。本読みの場でも諏訪さんや大沼(心)監督から「子供にはわからないよ」と否定的な意見が出なかったのも頼もしかったです。自分が子供の頃に見ていた作品も、視聴当時には全部を理解できないような内容があったので、必要なアクセントだったと思います。
金子さん 「プリオケ」への影響というのではありませんが、「アイアンキング」という特撮作品が大好きなんです。まつろわぬ少数民族や、怪獣を使って政権転覆を狙うアナキストが戦う相手として描かれているのですが、当時はその意味が理解できなくても、子供心にものすごい衝撃として胸に刻まれています。パロディーの元ネタと同じく、全部が分からなくてもいいんです。「プリオケ」を見た子供たちも、10年後くらいに、あの時の話は!と、ふと気が付いてくれたらうれしいです。
金子さん 「プリオケ」に限らず拙作の基盤は、自分が子供の頃に摂取した「楽しい」と「面白い」なので、特に参考にはしていないのですが、せめてネタはかぶるなと意識はしています(笑)。
金子さん 自分はこの年齢になってもアニソンが大好きなんです。特に子供の頃に聴いた曲を今でも大切に聴いています。下心満載で言うなら、子供たちに拙作の音楽を聴いてもらい、何十年経っても「あのときに聴いた曲、よかったな」と思い出してもらいたい。それがElements Gardenの楽曲だったら最高だなという野望がありました。
諏訪さん その点は制作現場でも議論になりました。今の子供たちに流行している音楽を採りり入れるべきかなどなど、何度もも迷いましたが、最終的には、日本を代表するアニソンブランドであるElements Gardenとアニソンレーベルとしての歴史があるキングレコードが届けるアニソンだからこそ、僕たちも大好きだった熱く格好いいアニソンを次世代に届けようという指針で、クリエーターの皆様と目線を合わせました。僕は「こんな言葉があるんだ」「こんな言葉の組み合わせがあるんだ」と学んだり感じたりしてもらえるものこそがよい歌詞だと思っており、そういった体験を届けてられたらとも考えおりました。楽曲タイトルの付け方一つとっても何度も議論を重ね、ポップスとも童謡とも違う「アニソン的な格好よさ」を追求しました。例えば「ゼッタイ歌姫宣言ッ!」などは、上松さんと何度もやり取りする中で、上松さんがおっしゃってくださった「自分たちらしさ」というキーワードを全開にしてもらったことで生まれた素晴らしい楽曲だと思っております。
金子さん 自分はロボットアニメも好きなのですが、バトルの魅力はただの取っ組み合いではなく、パイロットたちの内面のぶつけ合いにあると思っています。それをセリフではなく歌でする強みは、歌詞となることでセリフにはしにくいもっとプリミティブな感情を、よりパンチ力を持って表現できる点にあります。
諏訪さん 映像的にも“歌う”とはどういうことかを突き詰めました。単に口を開閉させるだけでは中々臨場感のある歌唱シーン、戦闘シーンにならないと感じまして、各話数ごとの歌唱シーンごとに、それに適した口を作画し、コンマ数秒の単位でタイミングも細かく合わせていくという途方もなく緻密な作業をSILVER LINK.さんは担ってくださっております。歌唱シーンの口パク演出については助監督の関根(侑佑)さんが責任を持ってブラッシュアップしてくれていました。物語の序盤と後半を比べると、飛躍的に精度の高い演出になっています。クリエーターの執念が、歌を起点とした迫力の映像を生み出したのだと感じています。
金子さん シリーズ構成・脚本の逢空万太さん、キャラクター原案の島崎麻里さん、そして監督の大沼心さんという布陣はこちらから提案させてもらいました。逢空さんは友人でもあるのですが、泣かせ、熱さ、ギャグのバランスが素晴らしい作家です。キャラ原案の島崎さんは、かつて「BAYONETTA」のデザインを見たとき、格好よさの向こう側に可愛さを感じ、バトルヒロインものでその可愛さを出してほしいとお願いしました。世間が持っているイメージとは真逆のサプライズを出せるんじゃないかなとも考えていました。大沼監督は原作を非常に大事にしてくださる信頼感があります。そして何より、特徴的なオープニングのコンテを切る方です。「歌いながら戦う」今作は、いわば毎週オープニングを作っているようなものですから、そのスキルとセンスが最大限に生きると考えました。
諏訪さん 大沼監督の所属するSILVER LINK.さんとしても連続4クールの作品は初めてでしたが、大沼さんご自身に加えて、SILVER LINK.さんもやりたいと言ってくださり、今回の座組みが出来上がりました。
諏訪さん 日曜朝の連続4クールのオリジナルアニメという弊社にとっても初めての大きなチャレンジでしたが、なんとか走りきることができそうです。普段は深夜アニメを手掛けている僕たちにとっても、この作品だからこそ出会うことができたファンの方々と巡り会えた経験は大きな財産です。放送は終わりますが、この48本の物語とたくさんの楽曲をさらに多くの方に楽しんでもらえるよう、また新しい展開も作っていけるよう頑張りたいと思います。
金子さん 1年間お付き合いいただき、本当に感謝しかありません。深夜アニメとはまた違う皆さんからのレスポンスを見せていただき、自分自身も多くの刺激を受けました。「プリンセッション・オーケストラ」が、これからも、誰かの心の中で響いて広がり続けてくれることを願っています。 (阿仁間満/MANTANWEB)
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